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	<title>モントルーの調べ</title>
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	<description>ヴェルサイユに恋して</description>
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		<title>（1）誕生日の朝</title>

		<description>いい加減に寝ろよ！

こういうものは、…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ いい加減に寝ろよ！

こういうものは、ジックリと見る物だ。

もう夜が明けるぞ！

構わない。

こっちが、構うんだ。
明るくなったって、それは、おまえにちゃんとくっついているから、
頼むから寝かせてくれ。

うん、そうだな。

そう言って、傍らの箱に、それを納めた。
しかし持ち主は、再び、起き上がった。

どうした？

侍女たちが、間違って捨てたら困る。
そう言って、箱ごと胸に抱いて、横になった。

おまえねぇ、自分が思っている程、寝相良くないんだぞ。
それこそ、明日になったら、ベッドの下や、あちこち、探す羽目になるぞ！

う～～ん
じゃあ、おまえが持っていろ…！

やっぱり、身に付けている。
おまえは、箱を持っていてくれ。

こうして、幸せな2人は、眠りについた。
筈だったが、やはり、1人は相変わらず、幸福な輝きに見入っていた。

　　　*********************

う～～ん、良い寝心地だ。背中が、ふかふかだ。枕もふかふかで、気持ちがいい。これで、アンドレの腕枕が有ったら申し分無い。

わたしは、なんて幸せなオンナなんだ。

おい！起きろ！寝坊した！

って、誰だ！このオスカルさまに命令する奴は！
とっちめてやる！

顔を見せろ！
え゛…わたしか・・・。
なんだ、つまらない…。

ああ、そうか、月誕生日だったな。
それでも、元に戻っていなくて、アンドレとヤケ酒したのだ。
自分の顔と呑まないよう、
お互い壁に向かって…
一言も話さず…
あ！一言位は話したな…。

頼む！アンドレ、そんなに怖い顔をして、わたしを見るな。
おまえの姿をしているけれど、わたしはおまえの恋人だぞ。

でも、わたしの顔は、そんなに怖い顔になれるのか・・・。
注意しよう。

こちらは、ゆっくりと考え事をしているんだ。
そばで、何をごちゃごちゃ言っているんだ？

おまえは、そんなに、うるさい恋人じゃなかったはずだが…。
起きろ？

相変わらず、だなぁ！
え゛…なんだって、もうそんな時間？
それで、朝食抜きで出かける。

冗談だろう！
このオスカルさま、これまでの人生で。昼食、夕食を抜いた事は、何度もある。

朝食を抜くなんて、人生初だぞ！朝飯前、なんて言葉があるが、朝食はその日のパワーの源だ。

って、そんなに、引っ張り出すな！
そうか…。
わたしは、おまえを持ち上げる位の、力は有ったんだ。
忘れていた。

おれは、ドレスを着る。…え？ああ、そうだったな。
だから時間が掛かる。ふむふむ。
で、わたしは？どうするんだ？

向こうの部屋の、服を着るのか。
で、それは、どういう意味か？
軍資金がついた？
一日の事だから、レンタル？

弾薬が底をついたのなら分かる。
おお！え゛…やはり、分からない。

それに、レンタル・・・。軍備費を？
それは、困る。
まあいいか。着替えよう。

って、いつもの事だが、わたしは、この姿になってから、真冬だというのにやけに暑い。だから、パンツ一丁で、寝ている。本来のアンドレなら、何も着ないだろう。

だけれども、わたしには、チョットだけ、入れ替わっても、身だしなみと、恥じらいが残っているんだ。夜中に脱ぎたくなるのも、我慢している。

ん？アンドレがシャワーを浴びている。
わたしも、浴びたいなぁ！
入れ替わらなかった時は、一緒に浴びたのに・・・。

わたしの身体を、見ながら浴びるのも、嫌だし・・・。
侍女たちに、もう一人分用意させるのも、怪しまれる。
だいたい、本来のわたしの身体は、そんなに寝汗をかかないんだぞ！

そんな事、知っているだろう？
それとも、この一か月で、わたしの体質も変わったのか？
汗臭いオスカルさまなんて、御免だからな。

え゛…なんだって？
シャワー室Bに、もう一人分用意してあるから、そっちを使え・・・どういう意味だ？侍女たちに、言って用意させた。もしかして、わたし達が、子供じみた喧嘩をしているとでも、思っているのか？

まあ、先月までは、子供じみた喧嘩をして、だから、この姿になっている。アンドレも、わたしの何かを見て、むかついていたようだ。わたしは、清廉潔白だ。

うん、オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェ准将に、かけて誓う。
兎に角、シャワーを浴びよう。汗で気持ち悪い。でも、この匂いも好きなのだ。

う～～ん、いい匂いだ。

お！この姿になってから、ジックリ嗅いでいなかったな。惜しい事をした。まじかにアンドレの匂いが有ったのだ。この匂いに包まれて、眠りについたら幸せだった。勿体ない事をしたもんだ。

ああ。この湯加減。これまで、冷水に耐えてきた身体に、染み込む。でも、アンドレの匂いも、流れていく。勿体ない。

あ！歯ブラシが、無い！
どうしよう！

どうにかしよう。
わたしは、オスカルさまだ。
ほう！どうにか出来た。
さすが、オスカルさまだ！

ふ～ん、アンドレは、この様な服を着たかったのか。
ちょっと、鏡に映してみるか。
おお！イイ男だ。

この口で言うのだな。
「オスカル、愛しているぞ」

え゛…！
「命をかけた、言葉をもう一度言えと言うのか？」

アンドレが、わたしに愛を告げている。
なんだ、なんだ。
鏡の中は、アンドレだ。

鏡を見れば、アンドレがいるのだ。
わたしは、また、勿体ない事をしたのか？
オスカル・フランソワ、一生の不覚。

暇に任せて、暇を持て余し、
アランとの、剣の負けざまに、落胆した。
おひとりさまチェスもした。
人生ゲームもした。

ただ一つ、しなかったのは、鏡を見る事だ。
鏡を見れば、いつでも愛するアンドレがそこに居たのだ。

おお！アンドレ、おまえは、誓い通り、死ぬまで、傍にいてくれるのだな。

さて、気を取り直して、アンドレの装いを見てくるか。
それからまた後で、アンドレの顔と遊ぼう。
ふふふ・・・アンドレは、気付いているのだろうか？

今回の月誕生日は、アンドレがわたしをもてなしてくれる。
そう聞いていた。
どの様になるのか、楽しみだ。
片腹痛いわ（？）

勿体ないが、アンドレの顔とは、しばらくお別れだ。
まあ、どうせ、月誕生日が明けても、この姿だ。
思いっきりアンドレに囁いてもらう事にしよう。

　　つづく


 ]]>
		</content:encoded>
		<dc:subject>-</dc:subject>
		
		<dc:date>2023-01-08T18:46:33+09:00</dc:date>
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		<title>（10）飛び交うドレス</title>

		<description>気に入った指輪を、見つける事が出来たア…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ 気に入った指輪を、見つける事が出来たアンドレは、足取りも軽い。
アランは時間の超過に、ブツブツ言っている。

それに、アランは小腹が減ってきた。
そろそろ、三時のおやつの時間だ。

なにか、食わせろ！
アランが、上から目線で、訴えた。

アンドレも、これからの算段。そして、リングに入れるメッセージを考えなくてはならず、アランに賛同した。

地下2階ジュースバー「リニュー」がいいか？そ
れとも、地下１階の「茶の葉」がいいか、アランに聞いた。

でも、その前に、3階の婦人服売り場を、一周したい。
そうアンドレは、言った。

アランは、何で初めて来たデパートなのに、そんなによく分かるんだ？顔に、クエスチョンマークをいっぱい付けて、アンドレを見た。

おまえ、入口にあった店内案内を、見ていないのか？
あれで、このデパートの様子が、分かった。
分れば、その通りに回ればいい。
時間短縮だ。

この言葉にアランは、飛び上がった。
時間短縮～～どこがっ！
時間短縮どころか、オーバーだ！

漸く、２人は畏まらない、でも、居心地が良さそうなカフェに落ち着いた。

アランの前に、プリンアラモードとチョコレートパフェが置かれた。
初めて見るスイーツだ。

どちらから、手を付けようかと、目をキラキラ光らせている。
先程の、チョコレートとシャンパンに、やられたようだ。
だが、このカフェには、シャンパンは無かった。

が、代わりに、プリンアラモードがあった。
アンドレが、両方食ってもいいぞ…って言ってくれた。

アランは、飛び上がりたいのを、我慢しないで、全身で喜びを表した。
やはり、まだ、ケツの青いガキだ。

アンドレ、外見オスカルの前に、ショコラが置かれた。
これは、通常通りだ。

アンドレは、早速紙とペンを取り出し、考え始めた。
アランは、パフェ用の長いスプーンを持って、パフェに挑戦しようとしている。何処から手を付けても、崩れそうだ。

アンドレが、何か、書き出した。

アランが、手を止めて見た。
「I touch your lips with mine 」
(by Freddie Mercury　
Scream voice by Roger Taylor)

おいおい！長いんじゃねえか？
アランが、窘めた。

アンドレも、納得し、バッテンした。
また、アンドレが、考えに没頭した。
アランは、プリンアラモード、チョコレートパフェと、格闘中だ。

「おい！飲まねえのか？
冷めちまうぜ！」

「オスカルは、ぬるいショコラが、好きなんだ。
まだ、熱すぎる」
アンドレが、考えながら答えた。

ふ～～ん、隊長は、猫舌か…。
そういや、外側は外側の味覚や、嗅覚を持っている、って言ってたな。

うん、だから、こいつ、俺たちの食事を良くしようと奮闘してたのか。そんなに、俺たちの食事は、隊長のお口には合わないのか…。

そりゃ、悪い事をさせちまった。悪かった。って思うんだ。おまえは、仕入れ先に、交渉していたらしいが、向こうも向こうの、都合ってのが有ったようだな。

最近は、観念したか？
ああ、そうだ。おまえの事だ。俺たちの為にも、隊長の為にも、これからも、孤軍奮闘するのだな。

俺たちの事は、もういいぜ。
隊長には、ジョルジュにでも厨房に入ってもらって、美味いもん食べて貰いて～もんな。誰も、文句を言う奴はいないぜ。

おお！次が出来たか！
見せて見ろ！
俺さまが、見分してやる。

「Ｏへ、愛をこめてＡより」
いいじゃあないか？
え゛…なんで、却下なんだ？

Aが、アランに見えてきた。
いいじゃあないか！
うんそれで、決まりだ。

じゃあ、隊長のイニシャルは、どうだ？
おお！書き出したぞ！

「Oスカル・Fランソワ・ド・	Ｊャルジェ」
アンドレは、気付いてしまった。

このイニシャルが、
オスカル
フェルゼン
ジェローデル
という事を。

もしかして、これが、オスカルに課せらせた運命だったのか…。
何も知らないアランは、これが一番だ。
文字数も少ない。その後に、AGって付ければ完璧だ！

さあ、次に行こう。
とは、言わずに、目の前のスイーツとの、格闘に戻った。

一方で、アンドレは、普段避けていたオスカルの唇を弄び、頬をさすり、考えに没頭している。

そして、遂にアンドレが、指を折り始めた。
アランも顔を上げた。

アンドレの顔が、輝いた。
「決まったか？」
アランが、口の周りをクリームだらけにして、聞いた。

アンドレが、頷きながら、親指を立てた。
「教えろ」
「ダメだ。これは、オスカルとおれだけが、知っていればいいんだ」

そう言うと、アンドレは、ショコラを一気飲みした。
そして、伝票を持って、立ち上がった。

格闘中のアランは、抵抗した。
アンドレは、アランをパフェとプリンから強引に引き離した。
が、アランは、サクランボ2個、咥えていた。

アンドレは、足取りも軽く、ドレス売り場へと直行する。
「どの店に行くんだ？
さっき、決めたんだろう」

「ああ、こっちだ。
この店の、シックな感じが、気に入った」

アンドレは、足取り軽く。
アランは、まだ、スイーツに未練たらたらで…。

例によって、店員が、歩み寄ってきた。
アンドレが、例のセリフを言わず、
「少し、見て構わないか？」

それなので、店員は離れた所に立って、スタンバった。

「これ、隊長に似合いそうだぜ」
「ああ、こっちも、オスカルに合いそうだ」

店員の頭の中で、
【隊長】と、【オスカル】という、人物が浮かび上がった。
だが、彼女の認識の範疇では、両方とも男性だ。

もしかしたら…いいえ、間違える筈はないわ。
だって、ここは、見るからに女物の店よ。

と、思っている店員など、気にせずに2人は片っ端から、手に取って、眺めて…キープするものを、肩にかけながら、店の中を歩き回った。

「おう！アンドレ！
此れなんて、どうだ？」

「ああ、いいなぁ。
さすが、アランだ。いいところを、責めてくる」
そう言って、アンドレは、姿見の前に立ち、自分にあててみた。

店員の目が、座った。
そこに、アランの声が、響いた。
イイ感じだなぁ。
アンドレ、試着してみろ！

そうだな、着て見なきゃわからないな！

目が座ったままの店員に、声がかけられた。
試着してもいいよな？

はっは～～い！
裏返った店員の声も、響いた。

アンドレが、ドレス2着を持って、カーテンの奥に消えた。
アランは、ウキウキして待っている。

隊長が、プロポーズされるドレスを、俺が一番に…と、違った。俺だけが、見ることが出来るんだ。これも、奴らに自慢したいけど、隊長の事だ。お口にチャック。

「お～～い、アンドレ、どうだ？
何か、手伝う事があったら、言ってくれ」

「ば～～か！おまえの手伝いなんか、
やめてくれ」

アランの耳には、カーテンの向こうから、何やらガサゴソと音が聞こえてくる。漸く、アンドレが出てきた。が、アランは、ガッカリした。何故なら、アンドレは、軍服姿で出てきた。

「ダメだ。これは、オスカルには、乙女チックすぎる。
見て見ろ」

アンドレは、再び姿見の前で、ドレスを充てて、アランに見せた。
「着ないと分からないんだが、この袖、膨らみ過ぎる。
それに、レースがわしゃわしゃしすぎている。
…と、胸が、余る。」

アンドレは、言いにくそうにアランに伝えた。
アランは、即、納得した。

そうだよなぁ！隊長、多分ぺったんこだ。
軍服着ていりゃ…って、それしか見た事無いけど…美青年…にしか、見えないものなぁ。

アンドレは、思った。
オスカル…おまえ、こんなに、ぺったんこだったのか（ため息）。
国王陛下のお許しが出たら、おれがもっとデカくしてやるぞ！
（なんのこっちゃ）

アンドレとアランが、それぞれの思いに浸っていると、やや持ち直した店員が、寄って来た。

そちらは、コルセットで、胸を寄せて上げて着用するのです。
ですから…おとこの…ここでまた、店員は、黙ってしまった。

目を座らせたまま、考えた。
仮装舞踏会用のドレスを探しに来たのだわ、そう理解考えようと、決めた。

が、近寄ったら、違うようだった。
必要最低限の、ドレスの下に身に付ける物を、出してくれないか？
その様な言葉が、店員の耳に入って来た。

店員は、我と我が耳を疑った。
聞こえない振りをしてみた。
また、同じ事を言われた。

店員は、言われるまま、目を座らせて、口を閉じ、耳を信用せずに…ただ、客の命ずるままに、動いた。

店員が、持って来たもので、山が出来た。
アンドレとアランの目が、点になった。

2人で、片っ端から、見ていった。
しかし、どれをどう身に付けるのか、さっぱりわからない。

そりゃあそうだ。アランはともかく、アンドレは、女性のドレスを脱がす。なんて事をした事はない。

まずは、仕分けから始まった。
これは、多分…上半身。
こっちは、多分…下。

やっとこさ、山が２個になった。
が、着ていく順番が分からない。

見ざる聞かざる言わざる店員に、聞く事にした。
店員は、プロだった。
見ざる聞かざる言わざるでも、的確に指示し、教えてくれた。

再び、ドレス選びをする。
アンドレが、下着と共にカーテンの奥に消えた。

どうだ～～！？
アランが、叫んだ。

すると、カーテンの中から、
「最初のドレス…明るい色のが有ったろう？
そっち、くれないか？

お！入って来るなよ！
投げ入れてくれ！」

「了解！
もう一個、似合いそうなのが有ったから、そっちも投げるぞ」

こうして、ドレスがカーテンの中に投げ入れられ、
また、カーテンの中から、投げ捨てられて行った。

そして、試着室の中にドレスハンガーを持ち込み、候補のドレスはそこに掛けられた。アンドレは、試着疲れしてきた。

だが、オスカルの為だ。そう思って、頑張った。
それに、先程、ルイ・アンドレで、予算オーバーしてしまった。
ここでは、少し抑えなければならない。

幸い、ドレスには値札が付いていた。
しかし、高価な物は、それなりに良い出来栄えだ。
アンドレは、アランに聞こえないよう、巾着の中を確認した。

アンドレが、試着してボツになったドレスが、試着室から、飛んでくる。
それをアランが、キャッチして、次のドレスを投げ入れる。

ボツにされた、ドレスは、店員がテキパキと片付けて行った。
何も考えず、いつものルーティーンで…。

こうして、店中のドレスが、出たり入ったり、飛び交った。

そうして、一着を決めると、アンドレが、嬉しそうに出てきた。
アランが、着て見せてくれないのか？
ブツブツ言った。

アンドレは、無視して、お会計をする為、ドレス一式と、下着一式をもって、店の奥へと、行ってしまった。

こうして、仲が良いのか、悪いのか謎の２人は、ドレスの大きな包みを持ち、ルイ・アンドレへと、向かった。

そして、ルイ・アンドレに着くと、アンドレはアランに、荷物番を頼んで、中に消えた。が、直ぐに出てきた。

アランが、また却下されたのか？
心配そうに、外側オスカルを覗き込んだ。

内側アンドレが、一発オッケーだ！
と、親指を立てた。

何て、名セリフにしたんだ？
アランは、興味深々。

アンドレは、それを、ぶった切った。
これは、オスカルとおれだけが、知っていればいいって言っただろう。
他の奴には、絶対に秘密だ！

アンドレは、後日、またルイ・アンドレに、刻印の入ったリングを取りに来ることとなり、２人はデパートを後にした。

「しっかし、すげえな～
ドレスって、こんなに嵩張るんだ。

こんな重いのを着て、踊るのか？
それも、一晩中。
お貴族様は、大変だな。
体力なくちゃ、やってられねえな。

おう！俺も、体力なくちゃあ、ヴェルサイユまで、帰れねえぜ！
ここら辺で、何か食わせろ！呑ませろ！ディナーだ！ディナーだ！」

暗闇の中で、外側オスカルの顔が、真っ青になった。
アランには、その様子は見えなかったが、内側アンドレに異変が起きたのには、気付いた。

「どうした？」
アランが、聞いた。

「ディナー…」
アンドレが、弱々しい声で言った。

「って、だから、ディナーに行こうぜ」
腹が減っているアランが、急かした。

「ああ、そうだ、ディナーだ！
ディナーの予約が未だだった」
アンドレは、思い出させてくれたアランに、感謝した。

「チッ！そんなの、明日でいいだろう？」
アランは、イライラしてきた。

「ダメだ。クリスマスの夜だ。
早く予約しなければ、何もかもおじゃんだ。
今、行かなくては、一歩遅れてしまうかもしれない。
そうしたら…」

アンドレが、辻馬車目がけて走り出した。
アンドレは馭者と交渉し始めた。

アランは、大きなため息をついた。
平民貴族には、辻馬車のオヤジとの交渉は無理だな。

ここは、俺に任せておけ。
アランは、大きな包みを抱えながら、辻馬車に近づいた。

「どうしたんだ？
なにを困っているんだ？」

「ああ、ダンナ、このお方が、あっちの方へ行ってくれ！
ってんだが、俺は、この辺りをもう一周したら、上がりなんだ」

そう言う事か…。
やっぱり、俺さまの出番だな。
「オヤジ、往復の賃金に、上乗せするから、頼むぜ！」
ふん！これで、大丈夫だ。

オヤジ、考えてやがる。
もっと、吹っ掛けるつもりか？
よっしゃー！

こうして、アンドレとアランと大荷物が、辻馬車に入った。
辻馬車は、北を目指した。
アランは、このオヤジ、遠回りをして、金を稼ぐ気か？

すると、アンドレが、
「こっちでいい」
そう言った。

アランは、今日、何度目かの太っ腹アンドレを見た。
パリを大回りして、ヴェルサイユへ…。

が、辻馬車は、左に回らず、ひたすらに北へと向かっている。
アランは、アンドレを見た。

こっちで、いいんだ。
アンドレが、再び言った。

そして、辻馬車は、パリからも、ヴェルサイユからも、ドンドン離れて行った。すきっ腹のアランを乗せて…。

　　12月２４日まで、終わり。
 ]]>
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		<title>（９）アランの長い、１０分</title>

		<description>
おい！アンドレ、どうしたっていうんだ…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ 
おい！アンドレ、どうしたっていうんだ！？
う～～ん。何かが違う。
オスカルが、身に付けるイメージが、湧かない。

ふんふんふん…って、何を言ってやがる！
今更！

おまえの、なけなしの全財産を、はたいても隊長に似合うものなんて、手に入れられね～ぜ！
俺が、保証してやる。

それに、恐れ多くも、伯爵将軍家で、准将で、その上ご令嬢への婚約指輪だぜ！こんな、デパートで見つけようってが、間違っている。

それを、自分のなけなしの、全財産って言ったって、限度があるってもんだ。サッサと、屋敷に帰って、御用達ってのを、呼んだほうがいいぜ！

オットット、ヤツ、あっちに行った。
あ、離れた。今度は、向かいか！
あ、また、離れた。

なんだ、なんだ。
まるで、あちこち匂いを嗅ぎ回る犬っころじゃねえか！
（アラン、鋭い！アンドレが、戌年なのに、気づいたか！）

ほう、やっと、前進し始めたか。そうだ、そうだ。
おまえも、一応、隊長の訓練を受けているだろう。
まあ、匍匐前進しないだけましか。

おう、壁が見えた。そこがどん詰まりだな。
だけど、10分で終わるはずの、『お買い物』が、
何でこんなに時間がかかるんだ？

頼む、あと１０分…ダメだ。
ドレスがあるから、５分で決めてくれ！

ほう！どん詰まりに着いたな。
さあ、トットト決めな！
このアランさまを待たせるな！
サッサと決めて、酒と肴だ。

ま、奴は、今日の戦利品の、見聞と、反省会と、隊長にお渡しする算段でもしてるがいい。おまえは、黙っていればいいんだ。

その間、おれは隊長のご尊顔を拝見しながら、美味しい酒が飲めるってもんだ！

お！ヤツ、店に寄って行った。ちょいと、俺も見させてもらうぜ。値札だ。そんな、小さなもので、どれだけ金を取ろうと算段決め込んでいるんだ？

って、なんで離れるんだ～
そこで、決めちまえってんだ！
おまえ、そんなに優柔不断な男だったのか？

うん？
何か考えだしたぞ…デパート中を見まわしてる。
うん、そうだぁな！おまえの身長なら、何処までも見えるってもんさ！
俺もだけどな。

それにしても、俺は、何の為に付いて来ているんだ？
助言が欲しい。
とも言ってたよな？

おまえ、勝手にウロウロ歩き回るだけで、助言どころか、見もしないじゃねえか？俺は、金魚のフンじゃねえぞ！

だから～、デパートじゃ、ダメだって、今更気付いたのか？けれど、おまえのポケットマネーとかで、やりてえんだろう？そこから、考え直した方か、いいんじゃないか？

オッ！止まった。
何か考え込んでるぞ。
おうおう、ヤツ得意の、眉間に指か…。
こりゃ長いぞ。いっちょ相談に、乗ってやるか！

どうした？えっ？良いのがない。そうなのか？
おまえチラ見しただけじゃないか？

この辺りの店は、30歳半ばのおれが、婚約指輪として、贈るには、相応しくない。

そ～か！そ～か！おまえは、俺が、悪臭の中を耐えて、耐えて付いてきたのに、たったその一言で、片づけるのか！

ふん、ここ迄来たんだ。ひとつ、値段でも見てやるか！そして、このアランさまが、相応しいかどうか、決めてやる。

どれどれ、2リーブル、3リーブル…。うん、まあ、大口叩いている、おまえにはちょうどいい値段じゃないのか？アンドレ？ああ、俺には、出せねえけどな！

おお、また、歩くのか？やめてくれ〜今度は、化粧品売り場を、突っ切るのか？スッゲー臭いぜ。もしかして、隊長にドレスを着せた時にも、コレ塗りたくるのか？やめて欲しいな！

そういえば、中身おまえが司令官室で、ブッ倒れた時。外側隊長、いい香りがしていた。それに、隊長ならスッピンで、オッケーだ。俺が保証する。

ん？オディール。なんだココ。デパートの中なのに、一軒の店みたいだ。お！アンドレ入店。俺も付いていこう。

お！断られてる。どうしたんだ？順番待ち？なんだそれ？店の中が、ごった返さないよう、人数制限…。

たっまげた店もあるもんだ。アンドレ…静かに並んでいる。おい！外側の隊長だったら、絶対に並ばないぞ。俺が保証する。隊長は待つのが嫌いだ。

やっと順番が来た。いったい何時間待たされたんだ。
え？もう出るのか？なになに、指輪がない。

そうか、そうか、確認するだけの為に、並んだのか？ふん！こういうのを、時間の無駄遣いって言うんだ！知ってるのか！

でも、ココに飾ってあるヒョウ柄の袋は、隊長にあってるぞ。
あゝ、そうか、今日は指輪とドレスだ。

余計な事を言って、寄り道されちゃあ困るぜ、黙ってるぜ！
なにせ、口が堅い男だからな！

次は、エンディ？コッチも高級そうだ。
おう、何か覗き込んでいやがる。
おうおう、指輪があるじゃあないか？

ウゲッ！なんちゅう値段だ。目の玉、飛び出る。おまえ、こんなに高いの買えるのか？どうした？出ていくのか？そりゃそうだよな！おまえには、高すぎる。でも、隊長には、似合いそうだ。

次は何処だ？とことん付き合うぜ！時間限定だがな。
おう！ここにも、入口があったんじゃねえか！ここから入れば良かったんだ。ここなら、悪臭も来ねえしよ！

ルイ・アンドレ？
ほー！おまえの為にあるみたいだなぁ！
じゃあ、ルイ・アランって、ないのか？

しっかし、超高級そうだなぁ。入口に黒服が、立っている。だけど、俺には分かるぜ。ヤツは、優男に見えるが、かなりのやり手だ。つまり、ガードマンって奴か…。

へー！流石アンドレだ。堂々と入店！仕方ねぇ。俺も続くか。やっぱ、高級店だ。早速、店員が張り付いたぞ！えっ？俺にも？俺は、アイツと一緒だ。

ふう、ヤツにピッタリ着いていよう。変な汗かいたぜ。酒、１0本追加だぞ！おう、アンドレ真剣だ。この店にありそうなのか？ニヤニヤしてやがる。早く決めろ？

ふ～～ん、隊長がニヤケルとそんな顔になるのか…。
でも、ニヤケルのは、男の特権だ。
ハハハ、俺だけが、知っている隊長のお顔だ、やっぱ、着いて来て良かったぜ。

だけどもよ～金あるのか？この店の値札。やたらと、０が多くねえか？おまえ、目は、隊長のがくっ付いているんだよな…。見えてるはずだ。

それとも、隊長が、乱視で数字が重なって見えているのか？

謎だ！この2人は、謎なんだ。
拘わりたくないけど、拘わりたい…隊長限定だがな。
う～ん。でも、単独なら、OKかもな。

ヤツ、店員に何か話している。
ガラスのケースの中を、指差してる。
おお、今日初めて、ヤツが、指輪にご対面～～～。

ここで、終わるか？
で、やっぱり俺は、何しに来たんだ？

おうおう！身なりの良いねえちゃんが、正しいオフランス語で話しかけている。

それで、そのお幸せなお嬢さまの、リングのサイズは、お判りでしょうか？
ああ、そうだな！服なら、多少でかくても、ちっこくても、何とかなるさ！でも、指輪が、小さかったり、大きかったりしちゃあ大変だ！

ん？アンドレ、手袋を外した。
おうおう！綺麗な指が登場！
ああいうのを、白魚のような指、ってんだろう？
白魚…見た事も、食った事もないけどな！

隊長は、訓練の時は、手袋をしている。
それでも、俺様は綺麗なお手に傷を付けてはいけないと、配慮させて頂いているんだ。

そして、司令官室に向かう奴の仕事を取り上げて、隊長のお綺麗な、手を拝しに行く。あの瞬間が、堪らね～

この指が、彼女…オスカルの指だ！
おう！アンドレ！今日一番の、決め台詞だ！

うん？ねえちゃん、固まっているぞ。
どうしてだ？

だって、その綺麗な指こそが、隊長の指なんだぞ。
俺は、その美しい指に合う指輪を探して、悪臭の海の中を彷徨ってきたんだ。

あの～、贈る方のではなくて、贈られるお嬢さまのサイズ、なのですが…。

おお、ここからが、俺の出番だ。
この指の持ち主が、贈られるお嬢さまの指なんだ！
すっげー、俺。
こんな高級店でも、話せたぜ。

ねえちゃんも、納得されたの…かな？
あ、ですから、お嬢さまの…。

納得しなかったか…。
簡単な事なのにな～
おう、ヤツが俺の方を見て、困った顔をしている。

だけどもよ～、俺の助け舟は、効き目なかったようだぜ！？
そりゃそうだよな～

中身のアンドレが、外側の隊長に贈るんだ。
そして、助っ人に俺がいる。

ですから、この指が、彼女の…オスカルの指なのです。
アンドレ、頑張れ！

ねえちゃん、もう1人手招きしている。
ぼそぼそと、話している。

新しいねえちゃんが、来たぞ。
もう一度聞いた。
しつこいぞ！俺は、心の中でドついた。

ヤツが、何度も同じことを言うから、アイツらも、観念したようだ。
それよりも、ヤツの事を、俺の事もか？二重人格と、思っているらしい。

だけれどなぁ、ここに、もう1人居るって聞いたら、
おまえら、気取っている場合じゃないぜ！
ぶっ倒れるぜ。

ん？ここには、内側アンドレと、外側隊長、俺、幸せなお嬢さま、そして、ヤツがオスカルなんて、言いやがるから、5人になっているのか？
ホントに、面倒くさいヤツだ。
隊長には、気の毒だがな…。

まあ、いい。さっさと、選んで次行こう。けどよ～アンドレ、その、ぶっ高い指輪…。買えるのか？マジで、隊長の目は、乱視なんじゃあないか？俺が、0の数を教えてやるか！

え？
分かってるって？
おまえ、幾ら貯めこんだんだ。
俺たちと、呑みに行くと、気前よく、奢ってくれるじゃないか？

ああ、それ以外には、使い道がないのか？
隊長と出かける時は、隊長持ちだな！
それに、仕事も、衣食住が、揃っている。

お屋敷住まいだから、それなりのお衣装を着て、それなりの物を食って、それなりのお部屋にお住まいだろうな。そして、隊長の心を、ゲットか～幸せなオトコだ。

少しは、幸せのおすそ分けをしてくれても、いいんじゃないか！酒、２０本追加だな！

俺も、転職するか！
軍隊より、楽そうだな！

って、ヤツが、何か言っている。おうおう！四本の指に、指輪を付けたか？ほう、どれもまた、キレイなもんだ！

隊長の、お綺麗な指には、やっぱりこの位のが、似合うのか…。
で、おまえが贈るのに、相応しいのか！

決めた途端、金が無い！なんて、ずらかるのは、御免だぜ。値札は…。ちゃっかりしてるぜ。取り外してやがる。

けっ！ヤツの金だ。遠慮なく、ご助言させていただくぜ。
おまえは、どれが、その指に合うと思うんだ？

ん？また、目の前の、ねえちゃんが目を白黒させてやがる。
だから～。この指は、隊長の指だって言ってるだろう！
いい加減に、観念しろ！

ふん、おまえは、勝手に見ていろ。
俺は、こっちの見ているぞ。
ほう、随分とちっこいのが、並んでるじゃねえか？

もしかして、子供用か？
金持ちは、子供も飾るのか！
ふん！ご苦労なこった。

こんな所、用はないが…。
おっ！この指輪、隊長に似合いそうだ。

んん？目の前に圧を感じる。
綺麗な制服を着たねえちゃんさまだ。

口を開き始めたぞ。
このアランさま、下を向いていても、その位わかるってもんだぜ。ちょいと、聞いてやるか！俺だって、女には優しいんだぞ！隊長限定だがな。

「お客さま、こちらは、ピンキーリングと言いまして、小指に付けるリングです」え！子供用じゃねえのか？おっと、いけねぇ、いけねぇ、すましたねえちゃんの前で、焦っちゃあいけねぇ！落ち着け！落ち着くんだ！アラン！

おお！おれ、ニコッと笑ってねえちゃんを見れたぞ。
アランさまも、上流階級に一歩接近！

なになに、左手だと、今ある幸福を長続きさせる。
ふむふむ。右手は、更なる幸せを求める。

ふ～ん、指輪って、左の薬指だけじゃねえんだ。
隊長は、どっちが好みか？

悔しいけど、今も幸せだよな～
暇を持て余して、イライラしているが…。

俺が行って、剣の相手をしても、思うように動けなくて、
ますます、イライラ度を上げるだけになっちまった。
そうなんだ。俺なんか、お払い箱なんだ。

俺になぁ。こんな指輪買えるカネでも、有ったらなぁ。
隊長に、プレゼントするのになぁ！
でも、俺からじゃ、してくれないよなぁ！

おっと、いけねぇ、アンドレが呼んでるぜ。
やっとこさ、俺の出番か！

なになに、そっちと、こっちどっちが、隊長に似合うか？って？
そりゃあ、決まってるだろう！

こっちの、派手なヤツだ。
隊長の、その金髪には、こっちの燦然と輝くダイヤが目立つ方が、絶対にいいって、もんだ。

おお、アンドレ！決めたか？
おまえもそう思うのか！？
俺の方を見て、ニコニコしてるぜ。

うん、今日最高の気分なんだな？
え゛…存分に見たか？だと、ああああ！
隊長のお指に装着したら、毎日司令官室に通ってやるぜ。
おまえは、当分見れないからな！

なに？そっちにするのか？
何でだ？俺の助言は、嫌なのか？

ん？
俺が、選んだのは、イ・ヤ・ダ！
それに、存分見ただろう？
ああ、見させてもらった。
だから、そっちにする！

なんだと！
俺は、品評会に来ただけか？
ふざけるな！

なになに、そっちの方が、手袋をしていても、邪魔にならない。
こっちでは、着ける時も、外す時もダイヤが邪魔になる。
そして…うん？なんだ？嬉しそうに話すな！ってんだ！

オスカルだと、手袋に引っ掛けて、どこかに放り投げるかもしれない。
ウーン、そうだな！隊長なら、やりかねないな！

よ～～～し、そのエンゲージリングを失くしたら、俺が贈るぜ。
って言えない俺が、情けねえな。

それよりなぁ！おい！
聞いてんのか？
こっちの、ピンキーリングっての、どうだ！

え゛…！おまえ知らないのか？
じゃあ、俺さまが、いっちょ、ご教示してやるか。
だから～、左が…で、右が…なんだとよ！

でさ！これなんか、隊長にぴったりだぜ！
結構隊長、ああ見えても、可愛い所あるからな！

ん？なんで、ムッとしているんでい？
俺が、隊長にピッタリのを見つけて、口惜しいか？
でも、俺なら、隊長に似合うものが分かるから、って、連れてきたんだろう？

違うのか？
…なんだ、もう、実食…じゃなかった…装着してらぁ！
おお！素晴らしい！

うん？左か？
ほう！今が、幸せって事か…勝手にやってろ！

おいおう！ねえちゃんが、寄ってきたぜ。
また何か、ご託を述べるんだろう！
おまえ、お上品なのと付き合うのは、慣れてんだろう？
頑張れよ！

へ～～！ねえちゃんも、良い事言うじゃないか！
左手に装着すると、エンゲージリングと、ごっつんこ！
はは～っ！
指輪を装着するのも、大変なものだ。
俺には、一生縁がないけどな！

で、それも買うのか？
はいはい、何でもいいから、決めて、次行こうぜ！

え゛…奥に案内されたぞ。おう！豪華な応接セット。
ここに腰かけるのか？
さっきの店で、会得したぞ。

もう二度と、アランさまのケツが、触れる事がない、豪華な椅子。
て～～～～！いい座り心地だ。
おまえ、いつもこんなのに、座っているのか？
シリが、安定してるぜ。

ねえちゃん、消えちまった。
長いぞ！少々お待ちください。っつたのに…。

かなり長いぞ！
ん？何持って来たんだい？
そんな、長～～い、コップ…じゃなかったぜ、グラスっつ～んだな。

俺とアンドレの前に置いたぜ。
それと、なんだ？この皿の上の茶色い塊。
ヤツは、平然としてやがる。
さすが、平民貴族だ。

飲んでもいいのか？
おい！アンドレ、なんとか言え！

ん？一気に飲むな？
むせるぞ。

はいはい、畏まりました。
おお！美味い。

おい！平民貴族、これ、何でい？
シャンパン…ほう、これが、シャンパンか…。
そうだな、一気に飲んじゃあ、勿体ない。

味わおう。
で、おい！平民貴族、この茶色い塊は、何だ？

チョコレート？
え゛…隊長の好物か…。
隊長が、お好みなら、こいつもゆっくりと…って、
なんで、酒と甘いのが、合うんだ？

いいから、食べてみろ！
ああ、分かったよ。

へ～～～！
そ～か。
合うなぁ。コレ、癖になりそうだ。
けど、もう二度と会う事は、無いな。

俺、他の奴らに、自慢したくなってきたぜ。
悪いな、平民貴族、口の堅い俺でも、
自慢したい事に関しては…。

ダメだ。隊長に関する事は、お口にチャック！
お！ねえちゃんが、戻ってきたぜ。
もう一杯！って、言っちゃダメなのか？

リボンをお掛けしましょうか？
箱のままで宜しいでしょうか？

な～に、聞いているんだ。
リボンに決まってるだろう。

え゛…平民貴族、箱のまま？
どうしてだ？
で、ピンキーリングだけ、リボン…。
何考えているんだか、分からねえぜ。

うん？平民貴族が、シャンパングラスを、こっちに寄せてきたぜ。
え゛…吞んでいいのか？
付いて来てくれた礼。
そんじゃまあ、遠慮なく。
うめ～～～な！

あ！ねえちゃんが、話し出した。
ほう！エンゲージリングの内側に、メッセージ。

ふーん、アンドレ、おまえ考えてきたのか？
おう！頷いたな。

さあ！披露しろ。
隊長への、愛のメッセージ！
俺が、聞いてやる。保証人だ！

「ふりそそぐ、
金色の光の中…。」
ほうほうほう！詩人アンドレのお出ましか！

スゲーの、かっ飛ばして、ねえちゃん達を、びっくり…。
そんな事は、どうでもいいんだ！
隊長が、とろけそうな、メッセージ。

俺が、最初に聞いてやるなんて…。
ちくしょう～～～～耐えられねえぜ！

次は、どう来るんでい！
「ブロンドの髪、ひるがえし。
馬上ゆたかに、指揮をとる。」

け～～～～～っ、泣けるぜ！
隊長、もう絶対に、おまえから離れないぞ！

なんだ？ねえちゃん達、わさわさしてやがる。
ちゃんと、詩人の詩をメモって、エンゲージリングに入れてやれ！

さあ、アンドレ！
次は？

「あ……青い瞳、その姿は……
さながら、天に吼ゆる、
ペガサスの
心ふるわす
翼にもにて……」

く～～～～～！
いいぜ！アンドレ！
女らしいだの、可愛いだの、じゃなくて、
おおおお！おまえ、ちゃんと、凛々しい隊長に惚れてんだな！

え゛…なんでえ？ねえちゃん？
そんなに、長い文章リングの中に入らないだと…。

ちょいと、メモったの見せろ。
それと、リングもな！

まずいぞ！アンドレ、無理だ。
こんな事、俺にでも、分かる。
おまえなら、言わなくても分かるよな？

なんだ、なんだ、真っ青になって、
隊長の瞳より真っ青だぞ。

しっかりしろ！アンドレ！
ふう、正気に返ったか…。

おい！他のは無いのか？
詩人！

え゛…これしか、考えていない？
う～～～～ん、

おっ！
何か閃いたか？

金を払っていく。
暫く、考えてから、戻って来る。
ほう！いい考えだ。
ここで、グタグタされたら、堪んねえもんな。

で？
両方買うのか？
金はあるのか？

巾着を取り出した。
おまえ、まさか小銭チャラチャラ出すんじゃないだろうな？
数えるの大変だぞ。

え゛…なんだ、そのデカイの？
10リーブル…初めて見たぞ。
50リーブル…そんなもん、この国に有ったのか？知らなかったぞ！
おお！詩人だけかと思ったら、小金持ち…いや、大金持ちだぜ！

恐れ入りやした。
さすが、隊長にプロポーズするだけの、太っ腹だ。
へっ！目の前に、大判小判が、ザックザックだ！

さあ！次行くぞ！
ン？ああ、領収書に、引換証…。
おお！文字数まで書いてくれるか！

そうだよな！また、長～～～いの、
持ってこられちゃあ、堪んねえもんな！

ねえちゃん達も、分かってら！
で、俺たちを、サッサと追い出すのか…。
まあ、変な客だもんな。
２人じゃなくて、5人おん出るぜ！

さあ、アンドレ、少し疲れたぜ。
それに、3時のおやつだ。

まだ、見るのか？
ああ、そうか。
ドレス売り場を、一回り。

一回りだけだぞ。
そしたら、3時のおやつだ！

　　　つづく

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		<dc:subject>-</dc:subject>
		
		<dc:date>2022-08-14T15:20:13+09:00</dc:date>
		<dc:creator></dc:creator>
		<dc:publisher>WOX</dc:publisher>
	</item>
	<item rdf:about="https://winter-tale.novel.wox.cc/entry192.html">
		<link>https://winter-tale.novel.wox.cc/entry192.html</link>
		
				
		<title>（8）仲良く、銀ブラ</title>

		<description>「おい！そこら辺のカフェとやらで、何か…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ 「おい！そこら辺のカフェとやらで、何か飲ませろ。
喉が渇いたし、おまえが何で、俺をパリまで連れてきたのか？
そろそろ、聞かせてくれても、いいんじゃねえか？」

「ああ、そうだな。
だけれど、カフェに入る金が無い。
歩きながら、話そう」

「何言ってやがる！
さっき、辻馬車のオヤジに、大金はたいただろう？」

「ああ、そうだ。あれで、今日の予算が狂ってきた」

事情は話さず、付いて来させた。
だが、頼りにされれば、不可能な事も根性で、やり遂げる。
例え、専門分野以外でも。

そこで、アンドレは、さりげなく伝えた。
「女物の、ドレスと、装飾品が、欲しいのだ。
それで、おまえなら、分かるかと思って来てもらった」

「へ！？
おまえが着るのか？
とうとう、え？

外側おまえの隊長も、そんなもの着ないぜ！
今度は、頭がおかしくなったか？」

アランはアンドレの額に手をやろうとした。
この時のアランには、外側も内側もなかった。
マジに心配していた。

だが、アンドレが、避けた。
そして、オスカルの顔に、気安く触るな！
そう怒鳴った。
アランは、カッとした。

が、隊長の声で、すっかり忘れた。
「おれは、正常だ。
おれは、オスカルに似合うドレスと、その他一式が、欲しいのだ」

「それを、外側おまえの、隊長に着せるのか？」

2人とも、足が止まってしまった。
外側アンドレに、ドレスを着せて、ゴージャスなアクセサリーを身に付けた姿を、想像してしまった。

アンドレは、気分が悪くなってきた。
実際、国王陛下より、アンドレが女装して、家の中を取り仕切る。
そう、国王陛下より下知された事もあった。

2人共、頭を振って、妄想をアルゴスに食わせた。
「そうじゃない！
外側も内側もオスカルであるオスカルに、着てもらうんだ！
そして、プロポーズする！」

「ヒュウ！」アランが、短く口笛を鳴らした。
「おまえらが、元に戻る？
で、プロポーズ？」

アンドレは、また、頭を振って、
「未だだ。
だから、付き合ってくれ！」

アランは、目を白黒させた。
「どっちが、まだなんだ？
プロポーズって、もう婚約しているんじゃないのか？
周りは、そう思ってるぜ？」

「ああ、周りが言っているだけだ。
正式には、プロポーズしていない。
だから、男としてけじめをつけたい。

今回の事で、おれの目も良くなる。
そうすれば、堂々と、オスカルの婚約者として、
夫として、やっていける！

だから、オスカルの誕生日に、決行するつもりだ！」
アンドレが、堂々と言った。

「って、おまえら、元に戻れる保証もないんだぞ！
このままだったら、どうするんだ？
そしたら、入れ替わったまんま、結婚式もすんのか？」

「うん、それも考えたが、なんとなく、戻れるような気がする。
いつか…。」
アンドレは、力強く言ったが、語尾が消えて行った。

「だけれども、一生に一度の事。
思い出に残るものにしたい。
だから、オスカルの誕生日に決めたんだ」
今度は、堂々と言った。

「で、おまえ、パリで超高級ではなく、そこそこより上の店、知らないかと思って、誘ったんだ」

「馬鹿野郎！俺がそんな店、知るか！」
「ディアンヌが、行っていた店とか、どうなんだ？」

「だから、馬鹿野郎ってんだ！
俺のうちは、貧乏貴族だぞ！
古着だ！古着を着るんだ！

で、そんな物…って、何買うんだ？」
カッカと怒るが、隊長の声で話されると、調子が狂うアランだ。

アンドレは、嬉しそうに、
「まず、婚約指輪！
それから、ディナーの時に、プロポーズするから、ドレス。
そんなもんかな？」

「それだけか？じゃあ何も、半休取らなくてもいいじゃないか！
ものの10分で終わるんじゃないか？

取り敢えず、何もかも有るけど、ちょいとお高いらしい、
ところに行ってみようぜ！」

こうして、士官の軍服を着たアンドレと、
兵卒のアランは、路地から路地を抜け、
西五番街、みゆき通りをこっそりと、渡り。
更に、路地に入った。

すると、視界が開けた。
アンドレが、この様な広い道にいたら、奴らに見つかるんじゃないかと、心配した。

アランが、ここは「Rue Argent」。幸い今日は、ホコ天だから、馬は入れねえ。安心しろ！そう告げた。

アンドレが、「『ホコ天』って、なんだ？
天ぷらを、振る舞ってくれるのか？
食ってる暇なんて、ないぞ」

するとアランは、首を振り振り、だから、この平民はやることする事、全て、お貴族様なんだ。
「ホコ天は、歩行者天国の、略。
今日は、歩道も馬車道も、人だけが歩いていいんだ。

だから、馬は入れない！
奴らが、俺たちを見つけても…。
誰かが、馬から下りてきたら、一大事だ！

お！正面に、水色の豪華っぽい店があるぞ。
上にあるのは、時計か…。

足慣らしにちょいと覗いてみようぜ！」

こうして、２人は「Rue Argent」を横切り、
ファニティーに、近づいた。

ショーウインドーに、目がチカチカするほどの、
宝石が、アンドレを呼んでいた。

アンドレが、躊躇っていると、アランが威風堂々と入ってしまった。
ファニティーの、品格を知らない故の行動だ。

勿論、アンドレも初めてだ。
だが、ウインドーの品々で、どの様な店か見当がついた。
後を追ってみた。

アランは、店員を摑まえて、
「エンゲージリングが、欲しいのだ。
見せてくれ」

と、言ってしまった。
アンドレは、連れでは無い振りをして、逃げようかと思った。
しかし、此処に連れてきたのは、自分だった。

まあ、手慣らし（？）で、見てみるか…。
すると、店員が２階へ、２人を案内した。
そして、豪華な応接セットに座らせた。

「当店のエンゲージリング。
特にダイヤモンドは、超一流でございます。

そして、全てオーダーメイドとなります」
アンドレは、頭を抱えた。
この店は高級なのだ。

１階には、チョットだけ、カジュアルな物があったのを見て、
アンドレは、ホッとした。
けれど、婚約指輪は、違うようだ。
撤退しようと思った。

アンドレの思いなど知らずに、店員は、続けていた。

「ですから、台座のデザインを決めて頂き、
それから、それに相応しいダイヤモンドをお選びいただけます」

怖いもの知らずのアランが、聞いた。
「すると、値段は、どうやって決まるんだ？」

無知なアランの問いにも、店員は丁寧に、
だって、隣に超高級士官。
しかも、超美形。が、いるので…。

「それぞれの、デザイン。
ダイヤモンドの価値。
それらを組み合わせて決まります」

アンドレは、天を仰いだ。
だが、アランはまだ、続けた。

「はなっから、出せる金が決まっていたら、
どうなるんだ？」

「ほほほ・・・それでしたら、
そのご予算の範囲で、御誂え致します」

アンドレが、腰を浮かせようとすると、
まだ、懲りないのか、それともこの様な店に入って、
舞い上がってしまったのか、アランは続けた。

「んで、注文したら、いつ頃出来上がって来るんだ？」
「はい、全てが受注生産ですので、
1か月ほど、頂きます」

アランの口が、あ～～～んぐりと、開いたまま閉まらなくなった。
やっと、アランが大人しくなった。

やっとアンドレが、口を開く間が出来た。
「申し訳ございません。
それでは、間に合いませんので、
わたくしどもは、失礼させていただきます。

お手数おかけしまして、申し訳ございません」
と、丁寧に頭を下げ、日ごろのオスカルを真似て、
店員の手を取ると、甲に口付けをした。

店員は、時間を無駄にさせられた事など忘れて、
ウットリと、立ち尽くしていた。

ファニティーを出ると、２人はトボトボと、左右の店を見ながら…つまり、ウインドーショッピングを楽しみながら…本人達にはその気は無くても…歩いていた。【ガリブル】も、覗いてみた。2人顔を見合わせて、スルーした。

トンヴィ・ルイは、目に入らなかった。

「予算は、どうなんだ？」
アンドレは、嬉しそうに、
「有り金全部持ってきた」
「隊長のか？」

「ば～か！おれが、今まで貯めた虎の子だ！
明日からは、文無しだ。
酒奢れよ！」

そう言って、両脇のポケットから、
ずっしりとした巾着袋を出して、アランに見せた。

「スッゲーな！
でも、付き合ってやる俺が、なんで、明日から、奢らなくちゃならないんだ！
それよりも、今晩の、酒と飯代くらいは、残せよ！」

「でも、なんで、おまえの金で買うんだ？
隊長の顔パスで、何でも、最高級品が手に入るだろう？」

アンドレは、これまでの経緯を話した。

アランは、「ふーん、伯爵将軍家に婿入りするのも大変なのだな。でも、一生に一度くらい、金に糸目を付けずに、やっちまえばよかったのに！」

アンドレは、「それでは、おれからの愛がこもっていない。
今は、今のおれの精一杯の物を、贈りたい。

それで、将来おれが、ジャルジェ家の人間に相応しくなった時。
もっと、金に糸目を付けぬ物を贈る。

だけど、オスカルは、おれが今日、心を込めて選んで、贈るものを、
一生大事にしてくれるだろう」

*********************

アンドレは、思い出していた。
オスカルと入れ替わってから、書斎に行った。
すると、机の上に、何やら丁寧な文字で書かれた上等な紙があった。

手に取ると、アンドレが、ジャルジェ家に引き取られてから、
ずっと、オスカルと、アンドレの間で、贈り合っていた、
誕生日プレゼント、クリスマスプレゼント、
その他、折りに触れてのプレゼントが、びっしりと書かれていた。

そしてその横に、アンドレに贈った時、アンドレからもらった時の、
お互いの気持ち、反応が書いてあった。

初めて、アンドレがお屋敷に着いた日は、
『剣を、贈った』
『驚いて、固まっていた。
そして、ばあやに、抱きついて、
涙を流していた。

護衛と聞いたから、もう少し、出来る奴かと思っていた。
こんなにも、何も出来ないとは、思っても見なかった。

けれど、毎日一緒に居られるし、
案外と、根性のある奴で、楽しくなりそうだ。

それから、アンドレに剣の扱い方を教えた。
人に教える事の難しさを知った』
そこまで、書いてあった。

多分、前々回の月誕生日に、書斎で、１時間毎に飲み物を催促していた時に、書いていたのだろう。アンドレは、自分自身の目の所為で、これが見えなかった事を、残念に思った。

あの時、気付いていれば、この様な言い合いもしなかった。オスカルからのパンチも受けずに、入れ替わる事もなかっただろう。でも、愛し合っている事を、確認した。

それに、月経前なんちゃらの時は、ストレートに心配する事が苦手なオスカルが、本気で労わってくれた。

そんな、おれたちが、ずっとこのまま入れ替わったままで、いる筈はない。アンドレは、確信していた。そう遠くない、未来にある日突然戻っていると…。

　　　*********************

アンドレが、ウットリと思い出していると、ガサツな声が聞こえた。
「それで、なんで、俺なんだよ〜
俺なんてそんな物、買った事もなければ、見たこともないんだぞ！」
ファニティーで、赤っ恥をかいことも、自覚なかった。

一見ガサツで、やさぐれているようだが、実は、面倒見が良く、人の心の内も見抜くことの出来る男だった。ただ、その様に見られるのを嫌っている。まだ、けつの青いガキだった。なので、一応駄々をこねないと、行動に移せなかった。

「そんなのは、分かっている。
だけれどなぁ！残念ながら、おまえならオスカルに似合う物、似合わない物が、分かる。
それに、おまえが、1番口が、硬いからな」

すると、「やまつ」という、デパートにぶち当たった。

憎まれ口を叩きながら、2人は、『やつま』に一歩足を、踏み入れた。

そして、アランはアンドレの肘を掴んで、即引き返した。

「なんでぇ？あの匂い？
胸くそ悪い」
アランが、鼻を抑えて、文句をたれた。

アンドレは、笑いながら、
「化粧品と、香水だよ！宮殿では、もっと凄いぞ！」

「ふーん、隊長も、使うのか？」

アンドレは、笑いながら、それは、おれだけの秘密だ。
おまえなんかには、教えない！

そう言って、今度はアランを引きずって、中に入っていった。
アンドレは、アランを引きずりながら、壁を見上げて、指差し確認をした。

そして、アランを従え、真っ正面を見据えた。
先ずは、指輪だ。アンドレは、嬉しそうだ。

宝飾品売り場は、化粧品売り場を、通って行く。
アンドレは、先程の指差し確認で、このフロアーの配置図を確認していた。

先を行くアンドレが、店員から何かを受け取っていた。
アランが、店の名前を見た。
「ネルシャ」

ふ～ん、そこら辺にある赤いのは何でえ！？
グラデーションになってらぁ！

と、鼻をつまんで歩くアランにも、店員が、
「恋人さんに、プレゼントしてください。
お気に召したら、いらして下さいね」
そう言って、何か渡された。

「おい！アンドレ！
これなんだ？
黒い紙だぜ？」

「ああ、口紅のサンプルみたいだな。
開けてみろ、入っているだろう」
慣れた様に、アンドレが答えた。
って、なんで、アンドレがそういう事を知っているのかは、永遠の謎です。

アランは、中を見ると、「うぎゃ！」と声を上げ、サンプルをそそくさと、ポケットにしまうと、再びアンドレの後を追った。

始めから言ってくれれば、防臭マスクかヘルメットを持って来たのに…と、また、ブツブツ言いだした。が、どうせ、ものの10分で終わりだ。

そうしたら、酒と肴にありつける。自分を励まし、この悪臭と戦った。

パリの下町の悪臭に慣れているアランには、香水の匂いは初攻撃だ。

しかし、アランにとって次なる難関が待っていた。
その修羅場を抜けると、今度は眩しさに眩暈がしてきた。

先ほどの、ファニティーでは、平気だったが、
あの時は、此処で決まりだ！
次は、酒と肴だ！
という、歓びがあった。

隣を歩くアンドレを見ると、目を輝かせていた。
アランは、サングラスが欲しかった。
勿論、おしゃれ用ではない。軍務用のだ！

しかし、アンドレはその眩しさに突撃している。
おまけに、手招きまでしている。

アランは、このアンドレのお買い物は、軍務よりも大変なモノだと、悟った。
でも、１０分だ。と、再び自分に言い聞かせた。

アランが、アンドレの隣におずおずと近づいた。
ろうそくの光が、宝石の光をさらに増しているようだ。
な～んて事は、アランには、分からなかった。

分かったのは、宝石・・・指輪というものが、沢山ある。という事だけだ。

おい！早く、隊長に似合うモノ探せ！ここ迄、あっちの匂いがプンプンしてくる。酒、1本追加だからな！

相変わらず、ブツブツ言うアランなど無視して、アンドレは、シンプルなリングを見ていた。

すると、店員が寄ってきた。
「マリッジリングをお探しですか？」

え！アンドレは、思い出してしまった。数々の貴族の結婚式に、オスカルと共に出席してきた。その時、新郎新婦は、リングを交換していた。

アンドレの予算には、マリッジリングは、入っていなかった。アンドレは、焦った。プロポーズしてから、結婚式まで…どのくらい期間があるのだろうか…。

が、気づいてしまった。国王陛下との約束を…。

もう、どのくらい延期されたのか分からないが、1年は確実だ。その間に、エンゲージリングの為に、チビチビと貯金箱を一杯にすればいい。アランに酒をおごらせて…。

アンドレは、ホッとした。
そして、プロポーズしても、直ぐには結婚できない寂しさも感じた。
が、立ち直りも早かった。

「いえ、エンゲージリングを探しています」
アンドレは、嬉しそうに答えた。

するとまた、店員が、
「こちらは、お隣のリングとペアになっていまして、
マリッジリングになります。

エンゲージリングでしたら、こちらにございます」
アンドレを促した

アンドレの身なりを、立ち居振る舞い、そして、何よりも美しさ。
店員は思った。

この男は、軍務に就いている。
しかも、金モール、司官だわ。
かなりの、お金を落としてくれるはず。

私は、歩合制で働いている。
昨日売れなかった分を、この男で取り返してみせる！
店員は固い決意をした。

その様な店員の、決意など知らずに、アンドレはショーケースを見た。
そしてその横には、アランが鼻を押さえながら、突っ立っていた。

そして、店員は接客体制に入り、対戦しようと息をのんだ。
ら、アンドレは回れ右をして、撤退してしまった。
店員は、口が開いたまま、動けないでいた。

その後を、アランが追った。
鼻を、押さえながら…。

　　　つづく

 ]]>
		</content:encoded>
		<dc:subject>-</dc:subject>
		
		<dc:date>2022-08-10T14:34:08+09:00</dc:date>
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		<dc:publisher>WOX</dc:publisher>
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		<title>（7）フランス衛兵隊、第一班の結束。但し、アラン抜き。</title>

		<description>フランス衛兵隊、第一班の結束。但し、ア…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ フランス衛兵隊、第一班の結束。但し、アラン抜き。

アランが、昼食も食べずに、出掛けた。
午後は、半休と１班の面々は、聞いていた。
しかし、アランが有給休暇を使うとは、考えられなかった。

アランに、ジャンが張り付いた。
ピッタリと…。

フランソワは、隊長が、いつもと変わりなく食事をしているのを、見た。
そして、いつものテーブルで、ジョルジュとロジェも、一緒だった事も…。

すると、１班のアランを抜かした『隊長親衛隊』つまり、アンドレが不在の今、隊長をお守りする為に、組織された面々は、…元々は、アランもいたが…。

ここの所の、アランと隊長の、距離感がおかしいと感じ始めていた。
それなので、アランをハブして行動していた。

とにかく、彼らはそれぞれの持ち場に、散って行った。
そして、隊長とアランの間に、何が起こったのか、今日こそ突き止めようと、捜査が始まった。

ジャンは、アランが正門を出て、直ぐ右に曲がったのを見た。
まだ、隊の中にいるピエールに、指笛で、知らせた。

更に、ジャンが付いて行くと、アランは、アランに全く似合わないカフェに入った。そして、テラス席に腰を下ろした。そのカフェの名は、『アンジェリーナ』。

ここは、いつか彼女が出来たら、向かい会ってランチをする…隊員隊の夢のカフェだ。そこに、絶対に、似合わないアランが座っている。これだけで、十分に要警戒情報だ。

情報が次々と、本部であるピエールの元に、飛び込んでくる。それぞれ、兵舎の中では、指笛を鳴らし、目を見かわし、持ち場へと散る。

すると隊長が、護衛なしで、正門を出た。が、アランが向かった通りと反対の、左手に折れて行った。真逆の事をした。この行動は、彼らの捜索意欲を燃え立たせた。

ここまでは、オスカルの日頃の訓練が、行き届いていると、褒められる筈だ。だが、そのオスカルが、衛兵隊には、ずっと…１か月近く…出仕していないなど、アラン以外、誰も知らなかった。

今日こそ、真相を突き止めてやる！
そして、我らが隊長をお守りするのだ！
宿敵アランから…。

アランが隊長にお熱なのは、誰でも知っていた。けれども、アンドレが護衛できなくなると、アランは率先して、隊長を護っていた。

誰の目にも、アランが自分の心を偽り、心底隊長を護衛しているのを、褒めたたえていた。

それなのに、ここに来て、妙に親しくなっている。しかも、タメで話している。気安く肩を組もうとまでして、慌てて止める。そして、とんでもない事に、隊長と２人だけで、呑みにまで行っているようだ。

けしからん！
１班マイナス、アランは、団結した。
元々、結束が固い班だった。
それだけに、敵を見つけると、更に、強化された。

フランソワが、オスカルの後を追った。しかし、これは超困難な任務だ。隊長は、何時でも、何処でも、360°目を光らせ近づいてくるものに、警戒を怠らなかった。アンドレ然り。

あまり近づくと気付かれる。さりとて、離れても煙に巻かれるだろう。フランソワは、軍服を着てきたことを、後悔した。が、軍服以外、着る物など持っていない。仕方がないので、家々の入り口のくぼみに隠れながら、付いて行った。

フランソワの後には、ジュールが、交代要員として、付いている。すると、オスカルは手を上げ、通りがかりの辻馬車を止め、乗り込んだ。

う！フランソワは、息をのんだ。隊長が、辻馬車に乗るなんて、誰一人予想していなかった。追わなくては、フランソワは持ち前の、足の長さを駆使して、追いかけた。ジュールは、フランソワの行動を確認すると、本部に走った。

ピエールは、考えた。隊長を追うのは、無理だ。それならば、アランだ。ジャンを『アンジェリーナ』へと、向かわせる。しかし、アランも曲者だ。オスカル同様、根っからの軍人。下手に近づくと、見破られる。

１班マイナス、アランは、必死だった。
今日を逃しては、もう後がないと、皆思っている。

アランに張り付いているジャンの元へ、ルイ・マローが、助っ人に来た。すると、何処からか、疲れた、ひづめの音が聞こえてきた。辻馬車である。

アランが、辻馬車を止めるでもなく、馬車はアランの目前に停まり、アランは無言で乗った。

辻馬車は、走り出す。
その後ろから、息を切らしたジュールとフランソワが、来た。
四人揃って、顔を見合わせた。

辻馬車に、アランが乗り込んだ。

事実は、それだけだ。
だが、大問題だ。

アランが、辻馬車に乗るなんて、前代未聞の事だった。
多分、中には隊長が乗っていた筈だ。

本部に知らせようとも、彼らの連絡手段は、指笛だけ。
衛兵隊内なら、耳をすませば、聞こえる。
たが、正門を出たとなると…。

今日の、追跡は無駄だったか…。
ジャン・シニエ、ルイ・マロー、ジュール・ロセロワ、フランソワ・アルマンの４人は、トボトボと兵舎に戻った。

しかし、ピエール・アルマンは、笑顔で４人を迎え、労った。
そして言った。果報は寝て待て…と。

　　*********************

アンジェリーナに居るアランの、目前に辻馬車が、停まった。
アランが目を剥いた。
外側だけだが、隊長ともあろう方が、辻馬車…。
この前の襲撃事件で、懲りたか？

アランが、ブツブツ言っていると、
中から、怒鳴り声が聞こえた。
早く乗れ！

アランが乗り込むと、辻馬車は、走り出した。

アランは、アンドレの正面に座ろうとした。
アンドレは、黙って自分の隣を指差した。

アランは、正面に座って、隊長のご尊顔を、拝見する魂胆だった。
アンドレには、それが、気にくわなかった。

アンドレは、しばらく馬車の揺れに身を任せ、黙って外を見ていた。しばらく行くと、木々の生い茂りが少なくなって、パリに近づいた事を知らせていた。

アランは、外側オスカルを見つめて、メロメロになりかけたが、
ここ最近、何度も言い聞かせている言葉を、思い出した。
こいつは、隊長ではない。
隊長の皮を着たアンドレなのだ！と…。

「おい！アンドレ！何処に行くんだ？
まさかこのまま、辻馬車で優雅にパリ巡り、じゃないだろうな？
まあ、おれとしては、おまえが黙って、隣に乗っているのなら、付き合ってもいいぜ！」

「それもいいな！
このまま、パリを散策するか…」

「バッ！バカ言うな！
その為に、俺の貴重な有給休暇を、使わせたのか？」

「馬鹿は、おまえだ。
気付いていないのか？」

「エッ？なんだ？
もしかして、隊長にお戻りなされたのですか？」

アンドレが、後ろを指差した。
アランは、すかさず窓の外に、頭を出そうとした。

「頭を出すな！バカ野郎！
ヴェルサイユから、ずっとだ。
一頭は、レーヌ・ノワール、それから、レーヌ・ブラン、レーヌ・ルージュだ」

アランは、アンドレの制止を忘れて、振り向こうとした。
アンドレは、アランの前にナイフを出し、制止さした。

「何すんだ！馬鹿野郎！
手で、止めりゃあいいだろう！」

「イヤダ！オスカルの手で、おまえに触れたくない！」
「けっ！全く、こんな時にも、こだわるのか…。

でも、誰だ。レーネ・ノワールは、暴れ馬。
乗れる奴は…衛兵隊の中でも、限られてるぞ。」

「ああ、4人だ。オスカルとおれ。そして、おまえ。
それから、もう１人…メルキシオール・シャロンだ」

「ほ～、わざわざ、付けてきたのか。
ん？何の為に？」

「おまえ、バカか？
最近、おまえが、おれに気安くちょっかい出す。
おれが、ブラブラしていると、現れる。
だから、１班の連中は怪しんでいるんだ。

それで、別々に隊を出ようとした。
う～ん、これが間違っていたか？
やはり、豪華馬車で、出た方が、良かったか？」

「おい！呑気に反省会を今からするな！
今の状況を、考えろ！
それに、何を企んで、パリまで来たんだ？」

「ああ、そうだな。
路地なら、馬では入って来られない。
飛び降りるか…」

アンドレは、辻馬車の馭者に、思いっきりスピードを上げてくれ。場所を見計らって、飛び降りる。その後も、暫く走ってくれ。それからは、好きにしてくれ。金は、多めに渡す。

それだけ伝えると、馭者は、後ろの三頭を、撒けばいいんだな。だいたい、おまえさんの様な、お偉いさんが、辻馬車に乗ってきた時から、おかしいと思ってやした。

任せてくれ。こういう事には、慣れっこだ。
行くぜ！旦那方！
そう言うなり、辻馬車は、速度を上げた。

瘦せこけた馬が、悲鳴を上げるが、お構いなし。
追う３人も、馬に鞭を入れた。

３人が、暫く追いかけると、辻馬車のスピードが、戻った。
あちらこちらと、流しているようだ。
と、手を上げている客を乗せた。

え！
レーネ・ノワールの、メルキシオール・シャロン。
レーヌ・ブランの、ミシェル・ヴェール。
レーヌ・ルージュの、ラサール・ドレッセル。

３人は、手綱を引き、馬を急停車させた。
隊長とアランは？
気付かれたか…。

他人を乗せて迄、我々を欺く、必要があるのか…。
ますます、１班の疑惑が、３人の中で大きくなった。

メルキシオールが、２人の制止を無視して、
辻馬車の横に、レーネ・ノワールを付けた。
恐る恐る、中を覗いてみた。

いなかった。

どうしよう？
隊に戻るか？
それじゃあここ迄追ってきた、意味が無くなる。

じゃあ、別れて探すか？
多分、路地に入ったと思う。
見つけても、独りでは対処できない。

３人で、回ろう。
こうして、衛兵隊第一班の、馬術に長けた３人は、トボトボとパリ市内を並足で、歩く事となった。

そして、ヴェルサイユの衛兵隊内には、アランと一線を交えるという、過酷な任務を与えられたルイ・アローが、ポツンと待っていた。

一方で、路地に入り込んだ2人は…。

「おい！アンドレ、これからどうするんだ？
いくら、中身がおまえでも、外側隊長と、こんなに接近していると、変な気分になって来る」

「それは、困る。
もう奴らも、遠ざかっただろう。
ここを出よう」

こうして、外見オスカルと、外見も中身もアランは微妙な距離感で、歩き始めた。

　　　つづく

 ]]>
		</content:encoded>
		<dc:subject>-</dc:subject>
		
		<dc:date>2022-08-04T20:34:45+09:00</dc:date>
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		<title>（6）アンドレの決意</title>

		<description>
昼間、ロジャーが司令官室に、挨拶に来…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ 
昼間、ロジャーが司令官室に、挨拶に来た。無論、中身がアンドレだとは、知
らずに。今夜の船でロンドンに帰ると言った。夢を手に入れる仲間を見つけた。

そして、あの夜サロンで、オスカルとキスした以外、何もなかった事を、アンドレにキチンと話した方がイイ。とまで、念を押して行った。
そして、ニコリともせずに、出て行った。

その姿は、アンドレが知っていたロジャーより、大きく見えた。
多分…きっと、ヤツの言うことは、本当なのだろう。

もう1度、抱きしめるか、口付けをするか、それとも、あの、女殺しスマイルをするのかと、思った。

案外、ヤツの言っていた事は、本当の事なのかも知れない。だいたい、オスカルが、おれ以外のオトコに、目を向ける筈はないのだ。

ホッとした時、ふと思った。
アイツ、もみあげが有ったな。
もみあげ男は、年上女に惹かれるのか…。

　　********************

ロジャーは、司令官室を出ると、ほっと息を吐いた。
嘘だろう！アレは、どう見ても、オスカルだけど、中身は、アンドレだ。

もう一度、キスして、ハグして、一緒にロンドンに行こうか？って、誘うつもりだったのに…あぶね～あぶね～！

アイツに殴られたら、ロンドンに辿り着けるかわからないぜ！
早く、船に乗ろう。

いつか、パリ公演ならいい。
でも、絶対にヴェルサイユ公演は、しないぞ！
ロジャーは、自分に言い聞かせた。

　　********************

アンドレは、広くてふかふかのベッドに横になっていた。
上には、アンドレの部屋にある、年輪を数えられるような、羽目板ではなく、豪華な天蓋があった。

が、アンドレの目には、入っていない。アンドレは、アンドレの考える人ポーズ。すなわち、片足を立て、その上に片方の足首を乗せ、頭の下で、手を組んでいた。

勿論、オスカルのすらりとした足も目に入っているはずだ。
でも、もう、見慣れたものだったし、それ以上に、考えに没頭していた。

昼間、衛兵隊に来た宝石商を思い返す。ビロードの張られた箱に、窪みがあって、横の列には、左から右へと大きさの違うダイヤモンドが、並んでいた。縦には、同じ大きさだったので、アンドレは、聞いてみた。

すると、これは1番上が特上の品質。下に行くに従って、煌めき、カット具合が劣ってきます。ジャルジェさまなら、ご存じかとも思いましたが…。次期当主さまであらせるオスカルさまからの、初めてのご依頼。失礼かとも存じましたが、持参させて頂きました。

どうぞ、比べてみてください。
お目の高い、ジャルジェさまなら、きっと違いが分かる筈です。

そう言って、宝石商は、手揉みした。
アンドレは、許可を得て、最上段のモノと、最下段のモノを取り、手のひらに乗せてみた。なんとなく、違いは、分かった。だが、直ぐ下にある物同士を比べると、分からなかった。

次に、大きさを比べることにした。最大の物は、オスカルの細い指には、似合わなかった。それなのに、宝石商は、そのくらい大きな物が、ジャルジェ家の次期当主さまには、宜しいかと存じます。そう言った。

でも、アンドレが、いくらみてもオスカルの指には、似合わなかった。宮廷に集う貴婦人たちを思い出した。今まで、その者たちの指輪など関心なかった。思い出そうとしても、やたらと、ギラギラ輝いて、眩しかった事だけだ。

つまり、指には、不釣り合いな大きな宝石を着けていたのだろう。（ガッテン）

アンドレは、何が何やら分からなくなってきた。
取り敢えず、オスカルの指に合う大きさの物を、左の薬指に乗せてみた。

軍務に支障なく、オスカルを上品に見せるもの。元々が、ゴージャスなので、流石に小さい物は、似合わなかった。だが、日常生活で、身に着けてもらうとすると、また、違ってくる。

アンドレが、気に入った一点を指に乗せて、宝石商を見た。
渋い顔をしていた。

ドレスも、指輪も持ってくるだけで、金額は分からない。そして、最高級の物を勧める。多分、ジャルジェ家ならば、金額など関係ないと思っているのだろう。実際に貴族達は、金額など知らずに、より豪華な物を求めるだけなのだろう。

しかし、ジャルジェ家は、質実剛健をモットーとしている。その奥様が、何も気にせずに、お好きなようにしなさい。そう仰ってくれた。

女性として生まれたのに、男として育てられた。それでも、軍務にいそしみ、健気に、准将という地位まで上った。

その娘に、愛する男が、それもジャルママにとっても、息子として育てられた男が、プロポーズするという。質実剛健など、殴り飛ばしていた。

娘には、絶対内緒だ…と、現在病院で、暇を持て余している愛娘に付き添っている侍女にも伝えた。そして、神に感謝した。娘が、愛する男性から、プロポーズされるという、幸せを、与えて下さった事を…。

多分、ドレスだけでも、指輪だけでも、おれが、一生働いても、支払えないだろう。

そんな物で良いのだろうか？
おれは、その指輪を見る度に、そのドレス姿を思い出す度に、ジャルジェ家の大きさに押し潰されるだろう。

おれの、身の丈にあったものを贈りたい。
でも、ゴージャスなオスカルには、似合わないだろうな！

そう思ったが、オスカルは、そのような事に、惑わされる女ではないことに、気付いた。

庶民の着る、ファストファッションも、喜んで着てくれた。
ベルばランドも、楽しんでくれた。
ピザも、美味しい美味しいと、食べていた。

俺の懐具合で、みたこともない世界に連れて行かれたのに、我を忘れて楽しんでいた。おれの、誕生日プレゼントを、忘れるくらい。

おれへの、誕生日プレゼントは、豪華なものだった。けれど、おれに知られないよう、そっとパリまで出かけて用意してくれた。

金額よりも、オスカルの気持ちの方が大きかった。オスカルには、あのような物しか分からなかったから、豪華になった。でも、もしかしたら、庭園で珍しい石でも見つけたら、それをプレゼントしてくれただろう。

アンドレは、起き上がると、そっと本物のアンドレの部屋に行った。
そして、外側の姿の部屋に戻り、明日を思いながら眠りについた。

満足そうな笑みを浮かべて…。但し、相変わらず、手のひらを外側に向けて、絶対に体に触れないようにしていた。

　　********************

アンドレは、立ち上がると、見廻りに行ってくる。
そう言って、司令官室を出て行った。

ロジェもジョルジュも、後を追わない。彼らは、気づいていた。外見は、オスカルだが、何故か中身がアンドレである。と。

もう、数ヶ月も寝食ならぬ、食職を共にしてきた。雰囲気で、直ぐにわかった。でも、アンドレが、何も言わない。そして、オスカルも何も言わず、さらに、アンドレの目の治療に専念している。

知らんフリするしか、なかった。

アンドレは、衛兵隊内を歩き、アランを探そうとした。が、歩いていれば、向こうから、やって来るだろう。そう思い、ブラブラしていた。

ブラブラしていると、目論見通り、現れた。

おう！ブラブラ歩くと、衛兵隊は、危ねぇぞ！アランは、笑いながら、気安くアンドレと、肩を組もうとして、慌ててやめた。

中身は、アンドレでも、大事な隊長の身体だ。ぞんざいに扱ってはいけない。しかし、アランにとっては、今が、チャンスだった。中身はアンドレだが、隊長に触れる機会は今しかない。

だが、その様なことをしたら、中身が許さないだろう。
全く〜訳がわからない、お二人さんだ！
アランは、天を仰いだ。

すると、アンドレが、
「明日、付き合ってほしいのだが？」
聞いてきた。少し、恥ずかしそうに…。

見た目、隊長にそう言われれば、断れなくなってしまう、アランだ。
が、中身は、アンドレだ。

どうせ、憂さ晴らしに、飲みに行こう！ってんだろう！
まったく～！やっていられないぜ！

やっていられないけど、
アランは、中身はアンドレだが、黙っていてくれれば、
目の前には、隊長がいる。

いい、シチュエーションだ。
それに、明日は、暇だ。
用事が入って来たら、蹴飛ばしてやる。

「いいぞ」
即答した。

アンドレは、ホッとして、
「おまえの、明日の午後の半休届は、サインしてある。
昼飯が終わったら、正門前に来てくれ」

そう伝えると、アンドレは司令官室へと戻ってしまった。

アランは、ポツンと立っていた。

当然、夜、付き合えって事かと思っていたのが、勝手に半休にされてしまった。ただでさえ、少ない有給休暇。半日分引かれてしまう。

明日は、一発蹴りをくれてやってから、出掛けよう。と、思った。しかし、それでは、隊長の大事な身体を傷つけてしまう。しかも、誰かに見られたら、袋叩きに合う。

では、病院に行って、アンドレの身体を蹴り飛ばそう。と考えたが、面倒くさいことに、そうすると、隊長が痛い目に会う。面倒くさい野郎どもだ。

翌日、まだ、悪態をついているアランは、午前中の訓練が終わると、急ぎ食堂に向かい、昼食をかっこんだ。

　　　　　つづく
 ]]>
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		<dc:subject>-</dc:subject>
		
		<dc:date>2022-07-29T19:28:23+09:00</dc:date>
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		<title>（5）アンドレ再び、苦悩</title>

		<description>12月某日仏滅

「アラン！どうした？」…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ 12月某日仏滅

「アラン！どうした？」
オスカルが、アランに駆け寄った。

「おれが、司令官室に行って、隊長と話していたら、
急にあのどっしりとした椅子から、倒れ落ちたんだ！」

オスカルは、目の前にある自分の顔を、覗き込んだ。
「そうか、よくわからないけれど、分かった。
つまり、オスカルは、今日は、ずっと司令官室にいて、座っていたんだな」

そして、アランの手から、アンドレを受け取ると、
「アラン、おまえは、帰っていいぞ！
オスカルは、おれがみる！」
そう言って、階段に向かおうとしたオスカルに、アランが言った。

「隊長！」
オスカルが、振り向いてしまった。

アランは、不敵な笑みを浮かべ、
「おれは、隊長のお身体が、心配なんです。
中身のヤツなんて、どうでもいいんです」

オスカルも、笑って、
「中身も、外側も心配ない！
おまえは、隊に戻れ！
いいな！」
オスカルが、アンドレの声で命令すると、アランは、オスカルに向かって敬礼すると、キリッと回れ右をして、出ていった。

そう言うと、オスカルは、本物のオスカルの部屋に向かった。
オスカルの身体を、お姫様抱っこして…。
ジャルママが、後に続いた。

部屋に着くと、オスカルは寝室には入らずに、
居間のソファーにオスカルの身体を投げた。

「いて〜！おまえ、おれは病人なんだぞ！
もう少し丁寧に扱ってくれ！
おまえの、身体でもあるんだぞ！」

まだ、クラクラする頭と、
むかむかする胸をさすりながら、
アンドレが、嘆願した。

ふん、病気なんかじゃない！
オスカルが、キッパリと言った。

アンドレの口が、ポカンと開いたままになった。
ジャルママが、オスカルの側に寄って、何か囁いた。
すると、オスカルもそっと答えた。

ジャルママが、安堵して、ソファーにゆっくりと、腰掛けた。

オスカルは、腕組みをしたまま、アンドレを見下ろした。
そして、言った。

「おまえ、今朝から調子が悪かったんだろう？
頭が重く、腹の奥がじんわりと痛くて…。
それも、休暇を取るほどでもなく、そのうち治るくらいの？」

すると、アンドレが、うなずいた。
しかし、アンドレには、分からなかった。
今朝、会ってもいないオスカルに、何故、自分の事が分かるのか？

それに、外側、内側は、兎も角、この様にオスカルの体調管理をするのは、おれの役目じゃないかと、思いつつ。
遂に、おれの姿をしている中身オスカルも、外側に準じて外側オスカルの、体調管理をするようになったのか…と、天を仰いだ。

オスカルは、続けた。
「おまえは、月経前症候群だ！」
断言した。

アンドレは、聞いた事もない言葉に、目をパチクリさせた。
「おまえ、毎朝、基礎体温計を咥えているだろう？
それで、１週間から10日後位で、来ると身構えていただろう？」

アンドレは、その事と、今日の気分の悪さが、どう関係あるのか分からない。
それなので、真剣にオスカルの話を聴いた。
そして、うんうんと頷いた。

オスカルは、アンドレには、全く理解できていないのを知って、ニヤリとした。

「いいか？よく聞け！
月のものになる、１週間から１０日前に、具合が悪くなるんだ。
人にもよるがな。
以上！」

そこで、アンドレが、やっと口を挟んだ。
「だって、おまえは、そんな素振りも見せず、普通にしていたじゃないか？」

すると、ジャルママが受け取って、
「オスカルもわたしも、ずっと前から、月のものと付き合って来たのよ。だから、その時、どの様に対処すればいいのか、ある程度分かっているのです。

だけれども、貴方は、初めて女の身体になってしまいました。ですから、いつものオスカルの時より、ずっと、きつく反応してしまったのね。

そして、それが、起きようとして、身体はどんどん準備しているのに、心の準備を教えなかったわたし達にも、責任があるわね。オスカル？」

アンドレは、静かに聞いていたが、首を傾げながら、話しだした。

「でも、オスカルは、長雨で冷える時位しか、辛そうでは有りませんでした。
それに、月経前症候群とは、何ですか。この様に、辛いのなら、私にも分かって、オスカルに気分良く過ごせる様配慮しています」

オスカルは、笑いながら、

「月経前症候群とは、なんちゃらで、わたしは、どう対処していいか、分かっていたから、おまえは、気付かなかったのだ。

おまえ、今日はずっと、司令官室で、座っていたらしいな？」

アンドレは、具合が悪いのだから当然だと、うなずいた。
すると、オスカルが、

「おまえ、わたしが、月のものの前、せっせっと、歩き回って、剣の訓練にも、銃の訓練にも、練兵場10周にも、積極的に参加していたのを、知らなかったな？

余りにひどい時は、休んだ方がいい。
だけど、わたしの場合は、動いて、血流をよくしたほうが体にあっているのだ」

そこまで言うと、オスカルは、アンドレの手を取って、
「顔色が、良くなって来た。
少し、庭園を散歩してこよう。
後は、母上お願いします」

娘の言葉に、ジャルママは、うなずいて、
「ガトーに、必要なものを、用意させます。
お散歩から、帰ってきたら、呼んでください。
それらを、どう使うのか、アンドレに説明するわね」

　　********************

オスカルが、アンドレの手をとったまま、部屋を出た。
アンドレへの、雑な言葉遣いとは、逆に身体のことは、とても気遣ってくれていた。。
自分の身体だからではない。オスカルは、オスカルだからだ。

庭園に出ると、オスカルは、日向をゆっくりと歩いた。

まるで、恋人同士…オスカルとアンドレが、仲睦まじく、歩いているようだった。実際にそうなのだし、誰にもそのように見えたが、残念な事に中身が入れ替わっていた。

アンドレは、【隠密】が頭を横切ったが、今回は、女である事の先輩…オスカルに任せる事にした。

少し歩くと、オスカルが、アンドレを見下ろして、
「どうだ？歩くと、気分が良くなってきただろう？」

アンドレも不思議そうに、
「あゝ、司令官室で、動かないでいた時より、ずっと良い。考えてみると、今日は、馬車で隊に着いて、司令官室まで、歩いただけで、全く動かなかったからな！

動くと、倒れそうで怖かった」

オスカルが、笑いながら、
「たまには、代わってもらうのもいいな！
女の辛さを分かってもらえる。

だが、わたしは、そんなに、辛くないから安心しろ。
多分、おまえは、初めて女になったから、身体が、鋭く反応したのだろう」

「それより、おまえ…」そう言うと、オスカルはアンドレの頬を、思いっきり殴った。

アンドレが、目をパチクリさせた。

「ふん！顎を砕かれなかっただけ、感謝しろ。
なにせ、わたしの顔だからな！
でも、元に戻りそうもないから、砕いても良かったか！」

更に、オスカルは、怒鳴りだした。
人生で1番の、怒鳴り声だったが、涙声も、混ざっていた。

「おまえ、何故黙っていた？
全く見えない訳ではないが、霞んでいるし、時々真っ暗になる。
そんな状態でわたしを、護衛していたのか？
職務怠慢じゃないのか？

それより、何故わたしに話さなかった？
だけれど、この状態で、よく彼方此方と歩いていたな！

わたしは、おまえの目の事を気付かなかったことに、とても、恥じている。
気をつけていれば、気づいたはずだ。

気付けば、勿論、その対処もした。
おまえが、このジャルジェ家で、特別扱いされている。
その様な思いで、隠していたのも分かる。

でも、それと、これとは別問題だろう？
そうだろう？アンドレ？」
オスカルは、一気に言うと、今度は、本気で泣き出した。

アンドレは、うなだれたまま、
「済まなかった。
もし、告げれば、おまえは、おれの目が傷ついた責任を思って、
一生悔やみ続けるから、黙っていた。

今だって、そうだろう？
彼方此方歩けたのは、まだ、微かだが見えているからだ。

それと、最悪の場合を考えて、おまえの行くところ、全ての歩数を覚えて、階段の高さ、幅、兎に角、見えているうちになんとかしようと思っていた。

それに、よく見えていないから、と言って、おまえの護衛の任務を解かれるのが1番怖かった。
…で、どうするつもりだ？

いつか、見えなくなって、足手まといになるだろう。
護衛はロジェが、出来るようになっている。
そして、そのような、恋人は、願い下げか？」

オスカルのげんこつが、その日2度目のパンチを繰り出そうとした。

が、オスカルは、アンドレの温かい胸に顔を埋めたくなった。
でも、その相手の外側は、自分であった。

でも構わず、アンドレの心が入っているが、自分の体でもある、人間を抱きしめた。アンドレも、自分の身体を、抱きしめた。

アンドレが、
「そして、どうするというんだ？」
恐る恐る聞いてきた。

オスカルが、笑いながら言った。
「明日から、入院だ。
ラソンヌ先生は、眼科の知識はあるが、そこまでは、出来ないと。

それで、眼科専門の病院で、手術する事にした。
かなり、見える様になるらしい。
ついでに、左眼も診てもらう事にした」

「入院か…おまえ、男部屋で過ごせるのか？」
アンドレは、あくまで、外側アンドレが入院するのだから、大部屋としか、考えなかった。

「バーカ！この、オスカルさまが、過ごすのだぞ！」
オスカルに言われて、アンドレは、うなずいた。
オスカルは、続ける。

「5ＬＤＫバストイレ付き300坪だ。文句あるか？」
オスカルは、オスカルなら、いつもしているが、アンドレの姿では、見た事のない、仁王立ちをした。

アンドレは、また、呆気にとられながら、
「それじゃあ、誰か世話をするものが、付くのだな？
おまえ、男に世話されて、平気なのか？」

オスカルは、真面目な顔になると、
「ふん、腐っても、じゃなくて、男になってもオスカルさまだ。

母上の侍女に、以前看護師をしていて、口の硬い女性がいる。
会ってみたが、お喋りではないが、無口でもない。

そして、かなり聡明だ。
見えない間の、話し相手にもなるだろう。
だから、快適な入院暮らしだ」

アンドレは、自分の身体が、そんなお貴族さま対応をされて、ビックリしないのか、心配になった。

第一、アンドレは、女になっている。そして今まで、オスカルが、素通りしてきた、月経前なんちゃらで、苦しんでいる。

オスカルも、おれの身体になって、おれが、今まで受けた事がない待遇をして、平気なのだろうか？

アンドレは、その事に触れず、
「退院したら、よく見えるのだろう？
そうしたら、いつまでも、奥さまの部屋にこもっている訳にもいかないぞ？」

オスカルは、また、アンドレの口を、ニヤリとした。

「だから、5ＬＤＫだと、言っただろう！手術が、終わって、病院に用が無くなっても、帰ってくるな！と、母上のご命令だ。心配するな、次の月誕生日には、戻ってくる」

アンドレは、気分が悪くなっていたことなど、すっかり忘れて、やはり、このお嬢さまのやる事は、長年付き合ってきたおれにも、敵わない。アンドレは、降参した。

そして、お嬢さまは、続けた。
「おい！おまえのスマホ！パスコードは、なんだ？何か、来ているか、確認しようとしたが、出来なかったぞ！パスコードくらい、わたしに教えておけ！」

アンドレは、笑いながら言った。
「パスコードは、【630520】だ。それに、スマホは個人情報だ。
おまえにも教えられないさ」
アンドレが、自分のスマホを持って、パスコードを入力した。

オスカルは、オスカルのスマホはかなり、軍務関わる連絡が多かった。だが、それは、最高機密だったので、アンドレが、個人情報と、言ったのに納得した。

真っ白な画面があらわれた。
「本当は、ここにおまえの顔が出るはずだ。それに、おれ宛に私的なLINEなど、来ない。サロンの時を除いてな。ああ、大丈夫だ。

けれど、次のサロンは、いつ開かれるのか？て、誘われる準備をしている方々からだ。これらは、おまえのスマホで、対応してあるから、心配ない」

そして、アンドレは、真顔になると、
「で、おれは、どう過ごしたら良いんだ。取り敢えず、動くのか？おまえは、いつも普通にしていた。おれが忘れてしまうほどにな！」

オスカルは、今まで、からかっていたのを、やめて、
「あゝ、動いていたほうがいい。それから、この季節だ。冷やさないように。それは、侍女たちが、真っ赤な毛糸のパンツと腹巻きを出してくれるから、されるままにしていれば良い。

後は、母上が、教えてくれるだろう。
あまり心配すると、返って辛くなるかもしれない。気楽に過ごすんだな！

それに、アランに知られているのなら、しばらく、休暇って事にしてもいいし、アラスにても、行ったことにしておけ！

ただし、屋敷に居ても、ベッドに、横になったばかりでは、ダメだぞ！できる限り動け！」

オスカルの、レクチャーを聞いてアンドレは、すっかり安心したが、
この時代、まだ、羽付きのナフキンも無かったのはもちろんだ。

しかしながら、タ○ポ○は、あった。
オスカルは、アンドレに伝えた通り、動き回らなければ、やり過ごせなかったので、愛用していた。

つまり、アンドレは、入浴以上に、意識が無くなる日々が来るとは、予想出来なかった。

そして、手術が無事終了したオスカルは、スマホを開いて、ヴェルサイユ四剣士隊を誘い出し、暇つぶしをしようとした。が、これが、アンドレのスマホだと、気づきやめた。（そこじゃなくて、アンドレの皮を着たオスカルだから！でしょ！）

姿がアンドレなので、オスカルが好む本、バイオリンを持ってこさせることも、出来ず、手持ち無沙汰になった。

そこで、アランを呼び寄せた。
剣を2本持ってくるように、とも伝えた。

しかし、アランと剣を合わせてみると、身体が思うように動かない。
「どうしたんですか？隊長？」
アランが、やってられね～ぜと、笑いながら剣を投げ捨てた。

「今、アンドレの奴と、対峙すると俺が負けるんだ。
そして、あいつは、もの凄く嬉しそうなのを、堪えている。

だもんで、隊の連中は誰も、中身がアンドレなんて気付かないんです。
それだから、隊長は、外側のアンドレ並の、動きしか出来ないんだ。

アンドレの奴も、その程度で隊長の護衛なんて、良く言えたもんだぜ」

オスカルも、アンドレはもう少しは剣を使えると思っていた。こんなに、弱いとは…。よ～し！今度の月誕生日には、思いっきりしごいてやろう！そう思うと、ワクワクしてきた。

だが、それは先の楽しみである。今は、ひま～な、自分を持て余していた。そしてなぜか、独りでに、シャドウボクシングをしているのが、不思議でたまらなかった。

　　つづく

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		</content:encoded>
		<dc:subject>-</dc:subject>
		
		<dc:date>2022-07-20T15:28:57+09:00</dc:date>
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		<title>(4) オスカル、男社会を垣間見る</title>

		<description>
オスカルは、鯱張って座っていた。アン…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ 
オスカルは、鯱張って座っていた。アンドレの仲間に連れて来られた、店は、庶民の店の筈なのに衛兵隊員と行く、店とは全く違っていた。

元々、衛兵隊の面々も、この様な店には、出入りしていた。しかし、隊長とご一緒する時は、彼らなりに気を使って、上品な単なる酒場を選んでいた。

まず、ざわついていた。女の嬌声が、耳をつんざくように、聞こえる。そして、脂粉の匂いが鼻に付いた。オスカルは、せっかく、勇気を出して、シャワーを浴びたのが、無駄になるとがっかりした。

しかも、女たちは、胸をあらわにし、下品な色気をむんむんさせ、男たちに媚びている。男たちもそれを喜んでいた。そのうち、仲間の一人が、消えた。オスカルは、キョトンとした。

前に座っている男が、上に行ったんですよ！と、にやけながら言った。が、オスカルには、意味が分からなかった。意味が分からないから、アンドレに聞きたかったが、ここには、アンドレの身体しかなかった。

なので、黙っている事にした。すると、今度はオスカル達のテーブルに、女たちが数名やってきた。男1人の左右に女が座り、イチャイチャしながら、話し出した。

ある男は、にやけた顔をしている。女の開き過ぎた胸の谷間に、手を入れ、女の手に小銭を握らせた。そうすると、女は男に、更に近づき、首に手を回した。すると、男は、更に今度は、もう少し高額のコインを掌に載せた。そして、2人は消えた。2階へと…。

その内、1人の女が、男の膝に座った。
オスカルは、確信した。

侍女たちの言っていた事は、事実だったのだ。アンドレも、この様な店に来て、下品な色気の女を、あの、わたし専用だと思っていたひざの上に乗せていたのだ。

そして、わたしのささやかな胸では満足せず、あのような大きな胸を、眺めて、口付けをして、触れていたのだ。

しかしながら、オスカルが、酒だか、何だかわからないのを、怒りに任せて飲もうとした。すると、ロジェが止めた。そして、背中越しに、小瓶を渡した。

すると、顔と同じくらいの大きさの胸を持った女が、やってきた。
そして、怒鳴りだした。

まったく、あたし達のような、色っぽくて、美しい女が待っているのに、いつも、手も出さずに、座って、持ち込んだ酒を呑んで、話し込んでいるのは、あんた達くらいだよ！

女は、ロジェ、アンドレ、ヴァッサンを、次々と指差した。

そして、あたし達に用がないなら、他の店に行って頂戴！
ここは、あんた達が来るところじゃないからね！

あたし達は、ここの給金なんて、どうでもいいんだよ。男と遊んで、寝て、男達から、いい金を取っているんだ。さあその椅子を、他の女好きのために、空けとくれ！

「あゝ、分かったよ。他の店に行こう！
アンドレ、ロジェ！」
ヴァッサンは、そう言って、立ちあがった。

オスカルも、それに倣いながら、立ち上がった。
アンドレの、無実が晴れた。
オスカルは、嬉しかった。
始めから、アンドレを疑っていた訳では、無いが、確かめられた。

そうしたら、屋敷に戻っているアンドレが、心配になってきた。
早く屋敷に帰って、アンドレがどうしているのか、確かめたかった。

まさか、生まれて初めての、風呂に入って、のぼせて、更に昇天したなどとは、オスカルでさえ、思いもしなかった。

その後、３人は落ち着いたパブへと行き、まったりと酒を楽しんだ。
酒を呑むと、饒舌になるオスカルも、今夜はどう話していいのやら、分からずもっぱら聞き役だ。２人もそんなオスカルを、気にもせずに吞んでいる。いい酒だった。

オスカルは、アンドレの仲間と出かけて良かったと、心から思った。
アンドレを本当の友と思っている２人は、とてもいい奴だと思った。
そして、そんな彼らを、自分の傍に置いた、アンドレの目の付け所にも感心した。
アンドレの自分に対する想いに、感動した。

感動したので、部屋に戻ると直ぐに、ベッドに入り、目を瞑った。アンドレの大事な目を休める為に、しかし、睡魔は無かった。アンドレの胸の上に手を組んで。

だが、前途多難だった。
今夜のところは、身体も磨いたし、久しぶりに爽やかな気分だ。

もっと、部屋が温かければ良いのにと思った。アンドレは、ずっとこのような部屋で過ごしてきたのだ。おまえが耐えてきた寒さなら、わたしも耐えてみせよう！

とりあえず、明日の朝だ。
オスカルは、何かを決行する決意を固めた。

翌朝、オスカルは、サンルームに陣取って、書き物をしていた。しかし、オスカルにしては、捗らないらしく、考え込んだかと思うと、指を折り、首を傾げながら進めていた。

1番上には、540826、次は、551225。だが、その２つの数字には、線を引いて消されていた。その下には、やはり、6桁の数字が、並んでいる。

そこへ、ジャルママが、来た。
「まあ！目を酷使しては、いけない！って、お医者様が、仰っていらしたのを、忘れたのですか？オスカル！」

オスカルは、ため息をつきながら、
「コレを、何とかしなければ、ゆっくり、入院など、出来ません」
キッパリと、告げた。

アンドレの髪は、もの凄いくせ毛で、器用な彼自身も、毎朝格闘していた。オスカルは、自分で、このあちこちを向いた髪をどうしていいのか、分からなかった。更に、昨夜、シャワーを浴びて濡れた髪を、タオルで、バサバサとしただけのなので、大変な事になっていた。

それでも、鏡を見て、己の姿をチェックする習慣は、あった。けれども、アンドレの部屋の鏡は、使い古しだった。
それなので、ベートーベン並になった髪のまま、振り向いた。

ジャルママは、この娘は、やっと昨夜、身ぎれいになったようだ。
だが、侍女たちに身なりの事は、任せっぱなしのようだ。
少しは、自分でも出来るようこの１ヶ月間に身に付けさせようと、誓った。

オスカルは、オスカルで使用人達の部屋の改善策も考えていた。

ジャルママは、オスカルが向かっている机に、
紅茶を置きながら、オスカルの手元を見た。

そして、首を傾げながら、オスカルに聞く。
「何ですの？数字の羅列は、プロ野球の乱数表みたいね。
軍を辞めて、監督にでもおなりになるつもりなの？」

オスカルは、紅茶の香りを嗅いで、心を落ち着かせようとしたが、無理だった。

「アンドレのスマホがどうしても、開く事ができないのです。」

すると、ジャルママは、ビックリして、
「だって、顔認証すれば、簡単じぁないの。
だから、自分のパスコードを、覚える必要なんてないのよ」
ビックリしているものの、相変わらず、おっとりとしている。

オスカルは、イライラと、
「アンドレのヤツ、両眼が見えていたときに、認証したようなのです。
ですから、この、左眼が開いていないと、認証出来ないようです。

ですから、こうして、思い出せる限りの、パスコードを書いて、試そうと思っているのです」

その言葉に、ジャルママもアンドレの不憫さを思い、言葉が出なかった。

「アンドレの、誕生日は？」
「試しました。ダメです」
オスカルが、ため息交じりに、告げた。

「じゃあ、アンドレの事だわ。貴女の誕生日は？…あら、ダメだったのね。
それだったら、ばあやの誕生日は？」

オスカルは、絶望的に。
「母上、噂でお聞きになった事は、ございませんか？
パスコードは、１０回間違えると、スマホが壊れると…」

ジャルママは、手を頰に当てて、青ざめた。
「聞いたわ、オスカル。
でも、壊れた…と言う、噂は、聞かないですよ」

オスカルは、半ば怒りながら、
「だから！誰もが、怖くて試していないのです。
それに、自分のパスコードを忘れる【バカ】も、いないでしょう」

母娘は、顔を見合わせて、ため息をついた。

その時、サンルームに、執事が飛び込んできた。
「奥さま、アンドレ！
オスカルさまが…」
執事の言葉を最後まで聞きもせず、オスカルは玄関ホールに飛び出して行った。

アランに抱き抱えられた、オスカルの身体があった。

　　つづく
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		</content:encoded>
		<dc:subject>-</dc:subject>
		
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		<title>（3）アンドレの苦悩</title>

		<description>夜遅く、アンドレは、ジャルジェ家に戻っ…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ 夜遅く、アンドレは、ジャルジェ家に戻った。この様に遅い時間に帰宅しても、使用人たちは待っていてくれる。そして、ズラリと並んで、気持ち良く挨拶をしてくれる。

その間を、アンドレは、もう何日も、何回も経験したはずなのに、ギクシャクと、恐縮しながら歩く。

自室に入り、侍女たちに軍靴を脱がせてもらう。
アンドレは、思った。
専用の金具を床に取れつけてくれれば、一人で脱げる。

それに、そうすれば、軍靴を鼻に近づけて、オスカルの香りを、堪能できる。アンドレが、オスカルになってからの不満は、ここにもあった。

ボケーッとしているアンドレに、侍女たちが、着替えに室に、誘った。

アンドレが、口を開こうとすると、ショーが、
「今日も、食事は済ませて来た。」
アンドレが、どんぐり目を…と言っても、外側はオスカルだったが…

次に、フォンダンが、
「今夜も、調べ物があるから、後は、自分でする。もう下がっていいぞ」

11月27日から、ずっとアンドレが、言い続けている、言葉を言った。

アンドレは、焦った。
どうしたらいいのだろう。
取り敢えず、
「最近の、衛兵隊は、忙しいのだ。
分かってくれ！」

「いいえ！分かりません！！！」
ガトー、フォンダン、ショーの３人のトーンの違った声が、頭の上から鳴り響いたように、聞こえた。

アンドレは、今、気付いた。いつもオスカル付きの侍女は、2人でシフトを組んでいるはずだ。それがどうして、今夜は、３人もいるんだ！

アンドレが、また、焦っていると、
「オスカルさま、失礼ですが、ホコリの匂いが、物凄いです」

「更に、硝煙の匂いも混ざっています。
御髪も、いつもの輝きを、失っています」

「それから、お肌。全く、お手入れさせて下さらないです。側から見ても、荒れていらっしゃるのが、分かります」

「まだまだ、有ります。
手のひら、美しかった白魚の指が、泣いています」

「さあ！今日こそ、お風呂に入ってくださいまし！」
再び、３人の声が、ハモった。

アンドレは、退いた。
しかし、背後には、いつの間にか、ショーが、居た。

「オスカルさまは、オスカルさまの美しい姿を、保とうと思わないのですか？いくら、軍人として、生きていかれるのでも、
次の月誕生日に、ボロボロのお姿で、アンドレにお会いするつもりなのですか？

少しは、ご自分の容姿にも、お時間を取ってあげてくださいませ。
それは、オスカルさま、ご自身の為でもあるのございます」

それを聞いたアンドレは、自分が、美しいオスカルの身体を、いい加減に扱ってしまった。もし、戻った時、オスカルが、ホコリと硝煙の匂いがして、髪の艶まで無くなって、美しい指が…あゝ、そうなったら、オスカルは、おれを避けてしまうかもしれない。

アンドレは、決心した。
自分ではない。
オスカルを、磨くのだ！
そう思えば、何のこともない。
それよりも、喜びになる。

アンドレは、侍女連と共に、浴室に向かった。
侍女たちに、チャカチャカと脱がされた。
アンドレは、ただ、立っているだけでよかった。

すると、ガトーが、
「オスカルさま、肘が硬くなっています。このままでは、角質になる所でした。

ちょっと、踵を拝見させてください。
まぁ！此方も、今日は、髪の先から、足の指先まで、たっぷりと洗わせて頂きます。

オスカルさまは、ゆったりと過ごしてくださいね。」
この言葉を聞いて、アンドレは、ホッとした。
なんだ！風呂に入るって言っても、ボケっとしていればいいのだな！

オスカルの事でも、考えていよう！
とは、思ったが、どうしてもバスタブの中で、オスカルの身体に手が触れてしまう。
もちろん、今までも、ベッドのなかでは、触りまくった。

でも、オスカルの外側を持った、アンドレはオスカルに触れることが出来ないでいた。

なので、手の平をバスタブにしっかりと付けて、固まった。
アンドレが、苦心して、オスカルの身体から、逃げている間に、髪を洗われ、あちらこちらを、洗われると、湯の色が変わってきてしまった。

アンドレも、こんなにもオスカルを埃まみれにしてしまったか…反省した。

ガトーが、アンドレに言った。
今夜は、この様になると思いまして、もう一つバスタブをご用意させて頂きました。
さあ、あちらに、お移りください。

アンドレは、下…つまり、オスカルの身体を見ないように、こうべを上げ、そしてやはり、両手は、身体につかないように、もうひとつのバスタブに移った。

もう一度、隅から隅まで、洗われた。
足を持ち上げられ、軽石で、踵を擦られた。

侍女たちが、ひと段落した。アンドレは、終了した事にホッとした。こんなに、簡単な事なら、これからは、毎日風呂に入ろうと、決心した。

すると、ガトーが、申し訳ございませんが、もう一度、先程のバスタブにお戻り下さい。お湯は、新しいのが入っております。

それから、オスカルさまのお好きな、バラのオイルも垂らしてありますので、どうぞ、ゆっくりお過ごし下さいませ。

ませ。って言ったって！アンドレは、今まで、湯に浸かったことが無かった。いつも、一年中、水のシャワーだ。それが、バスタブ3個を移動し、その間、湯につかっている。

のぼせてきた。
頭がクラクラしている。

でも、多分オスカルも毎晩この様にしているのだろう。
オスカルが耐えた苦しみだ。
おれも耐えて見せよう！

オスカルの香りの新しい湯に浸かり、まったりと、横になると、アンドレは、寝てしまいそうになったが、慌てて、手を裏返した。

すると、今度は、フォンダンが、小ぶりの真っ白なタオルを持ってきて、アンドレに渡した。

「オスカルさま、全てお綺麗になられました。あとは、この布で、大切なところを、ご自分で洗って下さいませ。オスカルさまの、事ですから、お綺麗ですが、今夜は、少しシャボンを含ませました。

もう、１枚用意してございますから、
どうそ、まずこちらから…」

アンドレは、手に真っ白なタオルを持った。
そして、考えた。

大切な所って…。
今まで、洗ってもらっていない所…。
つまり…だよな…。

フォンダンが、見ている。
どうしたらいいのだ！

アンドレの、意識は、そのまま真っ白になってしまった。

オスカルさま！
オスカルさま！

遠くで、オスカルを呼ぶ声が聞こえる…。
アンドレは、今、自分がオスカルである事など、忘れていた。

そして、そのままバスタブに、溺れて、昇天した。

　　　つづく

 ]]>
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		<dc:subject>-</dc:subject>
		
		<dc:date>2022-06-20T09:32:21+09:00</dc:date>
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		<title>（2）オスカルの超難関任務</title>

		<description>月誕生日から、数日が過ぎた。
だが、オ…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ 月誕生日から、数日が過ぎた。
だが、オスカルは、未だに、アンドレの姿をしていた。
そして、アンドレは、オスカルの姿をしていた。

オスカルは、起床とともに、ジャルママの部屋に行く事が、日課となった。
その朝も、母の部屋に行くべく、アンドレが教えてくれた、使用人が一番屋敷内を、歩いていない時刻に、部屋を飛び出した。

ジャルママの居間には、まだ、誰もいなかった。オスカルと同じ時間に、ジャルママが起床しても、身支度に時間がかかる。それに比べて、オスカルの身支度は、簡単だ。

オスカルは、まだ、何も置かれていない朝食用のテーブルについて、姿勢を正していた。

そこへ、ジャルママが入ってきた。その途端、ジャルママは、顔をしかめた。
気分が悪くなる臭いが、鼻をついてきた。そこには、オスカル…アンドレしかいないはずなのに・・・。

ジャルママは、息を止めて、アンドレに近づいてみた。そして近づくと、そっと、息を吸ってみた。アンドレからは、男の臭いが、プンプン漂ってくる。

しかし、今までアンドレから、この様な匂いがした事は無かった。ジャルママは、堪らず、顔をしかめながら、愛娘に聞いた。

「オスカル？貴女、身体は、洗っているのですか？」

オスカルが、真っ赤になって答えた。
「洗っていません」一言、言った。

「まあ！オスカル！何故なの、愛するアンドレの身体を清潔に保とうとは、思わないの」

更に、真っ赤になったオスカルが、
「ですが、母上。どの様に、洗ったら良いのか、何処で洗ったら良いのか分からないのです」

「嘘おっしゃい！アンドレの事なら、なんでも知っているはずです。それに、この部屋にいらしても、全く飲み物に手をつけず、お食事の時も、スープ類は、控えているわね？

一体、何日おトイレを我慢しているのですか？それが、アンドレの身体にとって、どんなに悪いことか、軍人である貴女に分からないとは、言わせません！

良いこと！今すぐ、おトイレに行って、今日は、身体を洗いなさい！」

オスカルは、困った。軍務のどんな作戦より、衛兵隊を纏めるより、オスカル史上初の難関だった。でも、やり遂げなければならない、任務だ。

そうだ！任務だと思えば、何とかなる。
兎に角、トイレにgo だ！

そして、その夜。
使用人室から、ニュッと顔が出た。廊下が薄暗く、誰もいないのを確認すると、部屋から、そっと出て、シャワー室に飛び込んだ。

オスカルである。
タオルとマルセイユ石鹸を持ち、小さな何かを持っていた。

飛び込んだはいいが、シャワーが、数個あり、それぞれの間は、オスカルにとっては、ほんの小さな仕切りしかなかった。

シャワーを浴びるには、服を脱がなくてはならない。（当たり前のことだが・・・。）

だから、オスカルもそっと、脱いだ。
脱いだ服をどこに置こうかと、キョロキョロした。

シャワー室の中央に、木製の長椅子のようなものがあった。
多分、そこに置くのだろう。
だが、オスカルにとっては、遠かった。

それなので、シャワーブースの仕切りに掛ける事にした。
バスタオルに、シャツ、キャロット…どんどん、仕切りに掛けると、いっぱいになってしまった。

独りで、シャワーを浴びるのが初めてのオスカルにも、これでは、びしょ濡れになるのは、理解できた。


オスカルは、今度は、シャワー室から顔を出し、辺りに人気が無く、シーンと静まっているのを確認すると、着てきた服を、長椅子の上に乗せた。

オスカルが、栓を捻ると、晩秋の冷たい水が身体に当たった。

こんなに、冷たい水で、アンドレは、身体を洗っているのか…オスカルは、愛しい男の普段知ることの出来なかった、体験を味わう事にした。

キュッキュッと、身体を磨いていく。

あゝ、愛しい男の身体を洗うのは、何て気持ちがいいのだろう。

この胸・・・ここに、わたしだけが、顔をうずめるのだ。
逞しい、二の腕・・・この腕で、抱きしめられ、この腕を枕にして、眠るのだ。
オスカルは、恍惚感に見舞われた。

粗方、洗い終わると、仁王立ちのまま、固まってしまった。
後は、大事な所だけが、残った。
これまで、太ももを洗う時も、ふくらはぎを洗う時も、無視してきた。

とうとう、無視するわけには、いかなくなった。
オスカルは、任務だ。
自分に言い聞かせた。

そして、マルセイユ石鹸の影に隠れていた、歯ブラシを、取り出した。

ブラシをマルセイユ石鹸で、泡立て、多分この辺りであろうと目算する。件の物を見ずに、歯ブラシを当てて、動かした。そして、こんなもんで、良いだろう、とシャワーを終了した。

誰が来るわけもないのに、オスカルは、長椅子の上のタオルを取った。身体を拭いていく。その時数人の男たちの声が聞こえてきた。オスカルは、身体を硬直させ、存在感を消した。

しかし、シャワー室の灯りは、外に漏れている。オスカルは、益々、存在感をなくそうとしたが、無駄な努力だった。

外から声がした。
「アンドレ！入っているのか？
シャワー室が、満杯になるぞ！」

オスカル、万事休す！いくら、身体は、アンドレの姿をしていようと、誰が見ても、アンドレにしか見えなくても・・・男たちの前に、裸のまま、出るのは躊躇われる。

タオルを、胸から巻いてみた。何か不自然だった。アンドレと、過ごす月誕生日を思い出して、腰に巻いてみた。しっくり来た。これでいるしかないのか・・・。

男たちが、入ってきた。
アンドレの姿を見ても、誰も何とも言わなかった。
当然である。男同士なのだから。
いつもの、姿なのだから。

しかし、オスカルは、見られるのも、見るのも、耐えられなかった。

その時、辺りが急に暗くなった。
男たちの中でも偉そうな者の声が聞こえた。
「おい！ろうそくが、消えたぞ！
誰か、取って来い！」

オスカルは、この時だ！と、アンドレの服を抱えて、シャワー室を出ると、猛ダッシュした。後ろから、「アンドレ！今晩、飲みに行くんだ！おまえもたまには、付き合え！裏門で待っているからな！」

オスカルは、反射的に答えた。
「おう！」と。

　　　つづく

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		<dc:subject>-</dc:subject>
		
		<dc:date>2022-06-20T09:29:17+09:00</dc:date>
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		<title>（1）１１月２７日</title>

		<description>アンドレは、恐々と見慣れている衛兵隊の…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ アンドレは、恐々と見慣れている衛兵隊の司令官室へ入った。
休みの間に溜まった書類関係は、午前中に終わった。

予定通り腹が減った。
予定通り、フランソワが、３人分運んできた。
予定通り、兵士と同じ食事だった。

アンドレは、テーブルに付き、薄い肉を大きめに切り始めた。
ジョルジュが、驚いて、お飲み物は、どうしましょう？
困惑しながら聞いて来た。

アンドレは、此処のところの、オスカルの細々とした日常は、把握していなかった。
それなので、いつもので良い。とだけ、答えておいた。

ワインが運ばれ、アンドレがようやく周りを見る事ができ、数ヶ月前までオスカルが、していたように、どっしりと座り直した。

ジョルジュが、遠慮がちに、
「アンドレが、此方に来られなくなってから、ここの食事を頂いていますが、まだ、慣れる事は出来ませんね」

やはりそうか！アンドレは、考えた。
オスカルが、兵士と同じ食事をする。
そう聞いた時、どうなるかと思った。
しかし、オスカルは、難なく食していたようだった。

アンドレは、先程切った肉を口に放り込んだ。
吐き出したくなった。
あゝ、そうか！味覚は、オスカルなのだ。

ジャルジェ家では、使用人とは言え、使用人用のシェフがいる。
食材も主人たちと同じ店から仕入れるから、美味しかった。

そうだ、オスカルも初めは、ワインで流し込もうとしていたが、そのワインすら飲めずにいた。でも、そのような事は、決して表情に出さなかった。
表情に出さなかったから、アンドレも、何も言わなかった。

それに、その時はおれ自身も、同じ思いで兵士食と格闘していた。
もっと、食事の事でも、けちょんけちょんにして、笑いながら流し込めば良かったな〜

アンドレが、感慨に耽っていると、ロジェが、

「オスカルさま、アンドレもコレを口にしていたのですか？
それよりも、此方の兵士たちは、これでは、可哀想過ぎないでしょうか？」

アンドレの胸に、グサリと言葉が突き刺さった。
そして、アンドレは、使命感に燃えだした。

昼食後、アンドレは、帳簿を調べる為、衛兵隊の経理部へと向かった。

衛兵隊の事務関係は、出入り口付近にあった。
つまり、司令官室を出て、練兵場の脇を通り…とにかく、兵士たちが、ゴロゴロといる所を、通過しなければならない。

司令官室では、なんとか誤魔化せた。
はたして、兵士たちは…。

アンドレは、少し緊張して、オスカルが何時もするように、軍服の襟を正してみた。不思議な事に、落ち着いてきた。
オスカルの気持ちが、分かったようで、嬉しかった。

そのような事を考えていると、1番苦手なヤツが、渡り廊下で、のんびりと、こちらを見ていた。

アンドレの、気が一層引き締まった。
しかし、彼の前を通ると、その人物は、オスカルに対してと、同様に、直立し、敬礼した。

アンドレは、ホッとして通り過ぎた。
その途端。
「よう！アンドレ！」
振り向いてしまった。しかも、オスカルの姿で…。

アンドレ…オスカル…の、顔が、真っ青になった。
アランは、ニヤリとした。

　　**************

その頃、ジャルジェ家では、オスカルが、ジャルママの部屋で、のんびりと…過ごしていなかった。

目をしきりに、こすり、瞬きをする娘ではなく…アンドレの姿をした、オスカルに、ジャルママが、声を掛けた。

すると、オスカルが、
「目が、霞むのです。
先程は、庭園に出ようとしたら、太陽の光を浴びた途端、真っ暗になりました。しばらくしたら、戻りましたが、何かが、おかしいです」

オスカルの心臓は、これまでにない程の、スピードで動いていた。
アンドレの、様々な場面が浮かんだ。

あの時、あの場所で…彼は、戸惑っていた。
なんで、わたしは、気付かなかったのだろう…。

アンドレに怒りを覚えると共に、気付かなかった自分を責めた。
目の専門医を呼んでください。
ジャルママに、伝えた。

ジャルママは、おっとりと驚いたが、行動は、素早かった。
「今、医大に寄付をしている友人にLINEしました。
返信が来るまで、ちょっと、待って下さい」

続々と名医と称する者が、やって来たが、肩を落として、帰って行った。彼らの中には、ジャルジェ家で、お役目を果たして、名を上げようと、自己中心的な者もいた。オスカルは、そういう者を、蹴飛ばすように追い返す。

何百人目かで、やっと名医が現れた。アンドレの目の状態を、的確に把握し、治療法を、ジャルママとオスカルに伝えた。

先ず、検査をしなければ、ならなかった。
オスカルは、アンドレには、内密に事を運びたいと、ジャルママに伝えた。ジャルママも、その方が宜しいでしょう。ジャルママも同意した。

それに、お屋敷の人にも、知られない方が、いいですね。
私の侍女に、口の堅い者がいます。
彼女に貴女の身の回りの世話をするように、致しましょう。

そうして、オスカルは、ジャルママの侍女と、病院の検査にせっせと通った。この様な事は、オスカルにとっては、苦痛だった。早くしてくれ！と心の中で叫んだ。

けれど、アンドレの為であり、元々、オスカルの不注意で、アンドレに怪我をさせた。と言う、責任感もあった。

検査の結果、アンドレの目は、手術で治りそうだと、伝えられた。オスカルは、アンドレの為に、ホッと安心した。

ジャルママも、次の月誕生日まで、オスカルを、病院に入れておけば、誰の目から見ても不審がられる事なく、日々を過ごせると、これまたホッとした。

　　つづく


 ]]>
		</content:encoded>
		<dc:subject>-</dc:subject>
		
		<dc:date>2022-06-18T20:17:19+09:00</dc:date>
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		<title>（3）司令官、ジャルママ</title>

		<description>「あ・・・あなた達・・・。」
そう言っ…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ 「あ・・・あなた達・・・。」
そう言って、ジャルママは、顔を覆ってよろけた。

オスカルが、
おくさま・・・、と声をかけた。
アンドレも、
母上・・・、と声をかけた。

ジャルママが、キリッとして、母親であり、ジャルジェ家の、女主人として、言った。
「なんて事なの？
あんなに、国王陛下から、
妊娠だけは、ダメだと、キツク言われていたのに・・・」

オスカルが、
奥さま、そうではないのです。
わたしと・・・

まで、言うと、ジャルママが、
「分かっているわよ。
貴女は、わたしの娘。
そして、アンドレも、８歳からだけど、わたしが、育てたも同然。

あゝ、オスカル！」
そう言うと、ジャルママは、アンドレの身体に抱きついた。

オスカルは、目を白黒させながら、アンドレを見た。が、
「母上、分かっていらっしゃるなら、わたしですが・・・今は、身体は、わたしのアンドレです。いつまでも、抱きついていないでください。」
そう言って、母親を引き剝がした。

すると、ジャルママは、アンドレに向かい、
「アンドレ、まあ、貴方・・・」
と言って、また、抱きついた。

そうすると、オスカルが、また、
「母上、わたしの身体を、こねくり回さないでください。それに、中身は、わたしのアンドレなのです。離れていただきたい。母上は、父上と抱き合って下さい！」
苦情を述べた。

「ほほほ・・・、まあ！つまらない！」
ジャルママは、微笑みながら、2人を、ソファーの方にいざなった。
そして、言った。
「いったいどうしたのですか？
詳しく話して下さい、オスカル、アンドレ」

「はい、母上、
わたしが、ふり向きざま、アンドレを殴ったのです」

オスカルは、それだけ言った。
そして、口を閉じた。

ジャルママは、次の言葉を待った。
オスカルの方からは、出てきそうもないので、
アンドレの方を見て、促した。

はい、それだけです。
アンドレも、そうなのです。とだけ言った。

「たった、それだけなのですか？」
ジャルママが、耐えきれず、尋ねた。
オスカル、アンドレが、うんうんと、首を縦に振った。

「その前に、何かなかったのですか」
ジャルママが、イライラしながら言う。
昼間、散々遊び歩いてきた疲れもあった。

それに、外出する時、2人が会いたい・・・と、言ってきたが、こんなに、込み入った話しだとは、思ってもいなかった。（思う人は、誰もいないと、思うが・・・。）頭も、痛くなってきた。あくびも出そうだ。

また、オスカルが、
「その前に、アンドレと言い合いをして、頭に血がのぼっていました。
The end.」

娘たちの、多分最大級の危機と言うのに、ジャルママは、イライラをもう隠しもせずに、
「それは、いつの事なのですか？
もうこれ以上、一問一答をする気はないのです。
初めから、最後まで、きちんと話して下さい。
オスカルには、無理なようですので、

アンドレ、彼方が、こうなってから、今までの経緯を話してちょうだい！」
迷った。アンドレは、迷った。

オスカルとの、口論は、お互いの誤解から・・・ただし、オスカルが、アンドレの気に入らない、男とダンスをした事も、女殺しとキスをした事も、事実だった。だが、こうなってしまうと、もうどうでもいい事に、思えてくる。

そこで、こうなった経緯は、オスカルが言った通りで、と、言い。
続けて、その後の、対応を伝えた。

2人は、お互いの事に精いっぱいだったので、気づかなかったが、ジャルママは、2人が話していることを、必死にメモっている。

そして言った。
「ずっと、このままだったのですね？
それとも、明日の晩には、元に戻れるのですか？
そうなってくれれば、結構なのですが・・・

戻らなかった場合を考えて、明日の朝・・・
そうねぇ、わたしもオスカルの部屋で、朝食を頂きます。
そこで、これからの事を、考えましょう。

今日は、遅いし、わたしも疲れました。
頭の働きも、鈍っているようです。

あなた達も、もうおやすみなさい。
ただし、思いっきり、ケンカしてもいいから、
戻れる、努力は怠らないように・・・。」

こうして、３人は、まんじりともせず、一夜を明かした。

　　************************

翌朝、ジャルママが、清々しい様子で、オスカルの部屋に入ってきた。
昨夜より、さっぱりとしている。

食卓が整い、給仕の者が、退室した。
ジャルママは、２人を見て、
「やはり、戻っていなかったのですね」
予想圏内であったようである。

給仕の者達が出ていくと、オスカルとアンドレは、席を交代するのかと、ジャルママが首を傾げた。見かけは、オスカルが、上座に座って、アンドレが入口の方に座っていた。

「味覚は、外側の人間になったままのようなのです。
皿を交換するより、この方が、早いのです。
これも、慣れないものの一つです」
オスカルが、そう言った。

オスカルが、
「今まで、あんな甘ったるいショコラなんて、飲んでいたのが、信じられない。それも、生ぬるいんだ。アンドレ、おまえが、言っていたのが、正しかったな」

すると、アンドレが、反論した。
「何を言っているんだオスカル！この世に、生ぬるいショコラほど、美味しい飲み物は、ないと、おれは認識したぞ。元に戻ったら、鍋一杯に作ってやるからな！」

「やめてくれ、胸くそ悪い」
オスカルが、いかにも、胃がもたれそうな顔をした。

「ほほほ…」ジャルママが、朗らかに笑った。
それを聞いたオスカルが、母上、笑い事では有りません。笑ってる余裕があったら、どうしたら戻るのか、考えてください。

「考えているわ。でもね、あなた達が、当事者で、その時の様子も知っていて、散々戻るよう、試したのですよね。

でも、残念ながら、戻らなかったようですね。
ですから、私は、あなた達が、このままで、明日から、どのように、暮らしていけばいいか、考えています」

オスカルと、アンドレが自分を見た。
そして、それぞれが思った。

明日から、アンドレとして、振る舞う…もしかしたら、一生、このまま、生きて行かなければならない。

明日から、オスカルとして、振る舞う…もしかしたら、一生、このまま、生きて行かなければならない。

2人とも、そこまで、考えていなかった。
マジで、この、月誕生日が過ぎれば戻れるとおもっていた。

ジャルママが、そんな2人を見ながら、話し始めた。

「先ず、オスカルになっている、アンドレ。貴方は、いつも、オスカルの仕事を見ているから、衛兵隊でも、何とか、やっていけると思います。

問題は、オスカルね。
アンドレの仕事は、多岐に渡っているわ。
今日、１日では、覚えるのは、無理だわ。

貴女は、当分、私の手伝いをする。と言う事で、一日中私の部屋で、過ごしなさい。

それと、ばあやね。ばあやなら、一目で2人を見分けます。見分けるだけなら、よろしいですが、アンドレが入っている、オスカルの身体に、ヤキを入れるかもしれません」

アンドレが、真っ青になった。
己の身体に、ヤキを入れられるのなら、とっくに慣れている。
だが、オスカルの身体に、ヤキなんて入れられたら、オスカルの身体に、傷がついてしまう。

改めて、祖母の恐ろしさに、おののいた。

「パリの別邸が、かなり傷んでいます。
そちらの方に、行っていただきましょう。

今夜の２４時を過ぎたら、あなた達は、もう会えないのだから、もとに戻るチャンスは、１ヶ月後になるわね。

ばあやにも、年内パリで過ごすよう、命じます。
それから、アンドレ。貴方、ロジェと、ジョルジュを騙し通す自信はあるのですか？」

う！アンドレは、ロジェとジョルジュの姿を思い起こした。
そして、自分がオスカルについていた時の事も、思い出した。

かなりの、演技力が必要だ。コメディフランセーズ並の。

それと、ジャルママが、更に真剣に、おどろおどろしく、言い始めた。
アンドレは、何事かと、腰かけながらも、一歩引いた。

「アンドレ、彼方、３ショコラを、だます事は、出来ますか？
毎日、オスカルの、ありとあらゆる身の回りの事をしてくれています。オスカルの、メンタル面、体調を見ながら、お世話をしているのですよ。」

アンドレから、血の気が引いた。
すっかり忘れていた。
ショコラ3侍女！恐るべき相手が、いた。

アンドレが、オスカルを見た。
泣きそうな顔をしている。

誰よりも、そんな顔をして欲しくない、愛しい女性。
今は、自分の姿をしているが、心は、オスカルだ。

アンドレは、決意した。そして言った。
「やりましょう。
次の、月誕生日まで、オスカルを演じます。

オスカル、今日一日、細かな事を教えてくれ」
アンドレが、ジャルジェ准将の顔で、断言した。

「先ずは、その話し方を変えるんだな！
全て、命令口調、上から目線だ。
今までの、おまえの話し方を、全て忘れろ！」
オスカルが、厳しく言った。

アンドレの口から、そのような言葉が出たので、ジャルママは、キョトンとしたが、気を取り直した。

テキパキと、指示を出しているつもりだったが、この状態にまだ、慣れていないようだ。

「それから、オスカル。
貴女には、私の部屋で過ごすように言いましたが、
それでも、使用人たちが、手を貸してくれ、と来ることは、間違いないでしょう。

それには、どう対応したらいいのか・・・
オスカル、足の一本も折りますか？」
ジャルママから、このような提案が出るとは、思っていなかった。

「わたしの、アンドレの身体を、痛めつけるような事は、絶対に嫌です！」
オスカルが、立ち上がって抗議した。

「ほほほ・・・折らなくても、ギブスでもしていればいいわ。
序でに、腕も三角巾で、吊っておきましょうか？」
ジャルママが、朗らかに言った。

アンドレは、それはいい案だと、ニコニコした。
オスカルは、そんな窮屈な姿で、一か月も過ごすのか・・・と、天井を見上げた。が、

ふと、思い立って、ジャルママに母娘にしか通じない、指令を送った。すると、ジャルママが、驚いたが、そっと、頷いた。

これで、ジャルママとオスカルの間では、アンドレの身体を、一か月間誰にも、分からないよう、過ごさせるめどが立った。

そうして、この月誕生日の、ラストディは、お互いの、生活を教えあいながらも、元に戻るべく、奮闘もして終わってしまった。

　　　　　　




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		<dc:date>2022-06-14T11:00:11+09:00</dc:date>
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		<title>（2）絶対に、戻るぞ！</title>

		<description>「で、パンチを受けるのは、どっちなんだ…</description>
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			<![CDATA[ 「で、パンチを受けるのは、どっちなんだ？
外側に準じるのか？それとも、中身か？」
体育会系の、オスカルがアンドレの声で、言った。

しかし、アンドレは、慎重に慎重を重ね、考え込んでいた。
そして、顔を上げた。

「おまえの、黄金の長い髪…美しいと、思っていたが、結構うっとうしいな！この際『おりぼんオスカル』になっては、どうだ？」

オスカルは、真っ赤になった。
真面目に、元に戻る方法を考えていると思っていた恋人が、よりによって、わたしの自慢の、フランス一美しいと言われているブランドの髪を、『うっとうしい』と言った。

オスカルは、思いっ切り、拳を作り、振りかぶり、殴ろうとして、止まった。殴る相手の顔が、自分だった。

アンドレが、優しく言った。
「だろう？自分を殴るのは、難しい。
先ず、初めから、考えてみよう」

おまえが、入ってくるのを、わたしは、イライラと待っていたんだ。だから、時計を見なくても、おまえの足音が聞こえて、ドアの前に立ったのがわかった。オスカルが、言った。

あゝ、おれは、ワイン2本を後ろに隠し、ドアをノックした。

ちょっと待て！それは違うぞ！わたしの方から、待ちきれずに、ドアを開けたんだ。

え゛！おれの記憶と違うぞ。
おれが、先にノックしたんだ。

あの時は、お互い、頭に血が上っていたから、言ったことも、聞いたことも、一言一句間違えずに言うのは無理そうだな。

では、ワインを呑もう。
オスカルが、ボトルに手を伸ばそうとした。

アンドレが、
何で、呑まなくては、いけないんだ？
頭に血が上る。のと、酔うのは、全く違うぞ！

馬鹿だなぁ！呑めば、血行が良くなる。
そうすれば、頭にも血が巡って、同じ状態になるはずだ。

ちょっと、違うぞ。
アンドレは、あくまでも、冷静に事を、荒立てる事なく、この状況を脱しようとしていた。

一方のオスカルは、サッサと思いついた事を、やって、片付けたかった。
それなので、オスカルは、すっくと立ち上がった。

そして、一言だけ、言った。
殴ってみよう！

オスカルの言う事には、最後の最後はいざ知らず、最初からも、逆らえないアンドレも、渋々、立ち上がった。

お互い、向かい合った。
でも、どうしていいのか、分からなかった。

「見た目で、やるのか？それとも、中身が優先か？」
アンドレが、再び聞いた。

「見た目で行こう」オスカルが、即答した。

オスカルが、開け放ったドアの前に立った。
誰が見ても、先ほどと、一ミリも違っていなかった。
劇場の、一か月公演の、初演から、完璧な演技だ。

アンドレは、オスカルに向かって立ち、振り向いて歩く真似をし、振り返り様、オスカルの頬を、ペチョンとした。

これに、オスカルが、怒り出した。
「何で、思いっ切りやらない！
わたしは、おまえを、思いっ切り、殴ったぞ！」

「おれには、たとえ、おれの姿をしていようと、おまえを殴る事なんて、出来ない。許してくれ、オスカル」
アンドレが、心底言った。

オスカルは、仕方がない、と、
「では、わたしがやる！思いっきり、歯を食いしばれ！」

アンドレが、ドアの外に立った。
オスカルが、部屋の中にいる。

はた目には、丸っきり、逆だったが、2人には、心地よい立ち位置だった。
だが、オスカルが、アンドレと見合ったまま、言った。

「ちょっと、距離感と、高さを、見させてくれ。
ほお、おまえから見ると、わたしはこの角度にあるのだな。

わたしが、振りかぶって、おまえを殴る時、手を上げたが、
今度は、振り下ろさないといけない」

そう言って、オスカルは手を振りかぶると、
ゆっくりとアンドレの頬に当てた。
「感覚は、分かった。外さないようにいくからな！
いいか？わたしは、おまえの様に、手加減などしない、歯を食いしばれ！」

アンドレが、頷いた。

オスカルは、言葉通り、思いっきりこぶしを、振り上げると、そこから振り下ろし、アンドレの頬に、ポコンと、当てた。

歯を食いしばっていたアンドレが、
「おまえこそ、何をやっているんだ！？散々、大口を叩いて、それだけか？」

「だって、おまえの最大限の力で殴ったら、多分、わたしの顎が砕けてしまう。自分の容姿には、あまり拘らないが、顎が砕けるのは、イ・ヤ・だ！」

「この作戦は、ダメだな！」
アンドレが、ホッとしたように言った。
だが、オスカルが殴った時に、入れ替わったのだ。
それ以外に、元に戻る方法があるのだろうか？

2人とも、自分の顔を見ながら、考えた。

戻れる！絶対に・・・わたしたちなら、おれたちなら・・・戻れると、確信した。

確信したが、
では、どうやって？
では、どうしたら？

書斎に行ってみよう。
もしかしたら、この様な事例があるかもしれない。
オスカルが、提案した。

アンドレが、ぶっきら棒に、そんなの、あったら、語り草になっているはずだ。国王陛下曰く、前例のない事なんだ。

だいたい、女が・・・それも、恋人の男に、思いっきりパンチを食らわせるのは、おまえ位だ。

悪かったな！わたしは、そのように育てられたのだ。その位、おまえだって、承知のはずだ。だから、そんな、わたしでもいいって、愛してくれたのじゃないか？・・・オスカルが、半ば、涙声で言った。


アンドレが、ブチブチと、言い出した。
承知していたけど、まさか、話もろくにしないうちに、殴るような、女だとは、思っていなかった。それに、おれに対しては、あくまでも、女性として、優しく接してくれるのかと、思い込んでいたおれが悪いのだな。

その時、オスカルが、思いっきり、アンドレを殴った。
殴られた、アンドレは、頬を抑えて、笑っていた。

が、その笑いも、瞬く間に消えてしまった。

「ダメだったか・・・。
本気で、おまえを怒らせれば、思いっきりやれて、元に戻るのかと、思ったが・・・この方法では、やはりダメなようだ。

もしかしたら、言い合いを始めた時から、それぞれの、心が、幽体離脱し始めて、本来なら戻るはずだったのが、何らかの形で、入れ替わってしまったのだ」
アンドレが、冷静に分析した。

傍らでは、オスカルが、シャドウボクシングをしていた。
自分でも、分からないまま…。

　　　************************

オスカルの為の、屋敷の一画は、静まり返っていた。
誰かがそっと覗いたとしても、仲の良い、ラブラブな、カップルがベッドに横たわっている。それだけだった。

が、2人とも、息が絶え絶えだった。
考えられる、ありとあらゆる方法を、試した。
考えられない、こんな事で、と言うような事も、試した。

そして、あんなことやこんなこと、決して、ここには、書けないような事は、していないが、全てやり尽くした。

オスカルは、アンドレの優しい顔を見たくて、手元に置いてある手鏡を見た。そして、アンドレの、包み込むような、温かい手に触れたくて、手を組んだ。

アンドレも、同じような事をしていた。

虚しかった。

アンドレが、相変わらず、冷静に、言った。
「オスカル、もし、月誕生日を、過ぎてもこのままだったら、どうなるのだ？」

今まで、言い出したかったが、言えば、現実になってしまいそうで、黙っていた。しかし、耐えられなくなった。

だが、オスカルは、違った。
なにしろ、天下のオスカルさまなのである。

「な～に、大丈夫だ！
そんなに、長い事、このへんてこりんな、姿のままなんて、ありえない！」
きっぱりと、言った。

そして、
「明日の朝になれば、元に戻っているさ！
わたしは、疲れた。
寝るぞ！」
と、男らしい、寝息を立てて、爆睡してしまった。

アンドレも、そんなものなのか？と、半信半疑だったが、慣れない体の中に入っていたので、いつもよりも、ずっと、疲れていた。

寝よう・・・と、いつものように、胸の上に、両手を組んだ。
うわ！

起き上がってしまった。
隣には、おれが、寝ていた。
アンドレは、思った。

普段、チョメチョメの時は、普通に（？）触れていた。
オスカルのささやかな胸に、触れてしまった。

触れたけど、自分で触れるのは、変だ。
だけど、おれが触れると、オスカルから、艶めかしい声が聞こえるんだ。
どんな感じだか、試してもいいかな。

アンドレは、罪の意識を、感じた。
アンドレの思考は、ここで止まった。

そして、手のひらを、シーツの上に置いた。用心深く。そして、明日には、元に戻って目覚める事を、祈った。

　　　************************

翌朝は、いつもと変わらず、東から日が昇り、オスカルの部屋にも、薄日が差しこんできた。

アンドレの方が、早く目を覚まし、眩しさに、目を細めた。朝日は、こんなにも、眩しいものだったのか・・・。そんな思いが、去来したが、隣に眠る、アンドレの姿に、ぶっ飛んでしまった。

昨夜と同じに、おれが、おれを見ている。
朝になれば、戻ると、オスカルが言って、先に寝てしまった。

だから、しょうがないから、手が、身体に付かないよう、最大限の努力をしながら寝た。そして、元の姿に戻る、夢も見た。

隣に寝ていたオスカルも目覚めた。
そして、自分を悲しそうな目で、見ている、自分を見た。

そして、途方に暮れた。

　　　************************

オスカルが、コーヒーカップを取った。持ち手が、熱かった。こんなの、飲めるか！そう思っていると、アンドレが、やはり、コーヒーカップを持って、首を傾げていた。

目が合うと、カップを、取り替えた。
お互い、満足だった。
が、一口、飲んだら、もの凄い、違和感があった。

なので、また、カップを取り替えた。
満足した。

オスカルの前に、固焼きのオムレツが、あった。
ただし、見た目では、分からない。

オスカルは、いつも、半熟のオムレツに、先ず、ナイフを入れて、オムレツを、広げる。トロッとしたその上に、バターを乗せる。そして、ケチャップで、ハートを描いているうちに、もう、口の中が、オムレツを催促してくる。

オスカルが、オムレツにナイフを入れた。感触が違ったので、チョット焦って、周りを見渡した。バターもケチャップも無かった。向こうを見ると、アンドレの前にあった。手を伸ばそうとすると、思っていた通り、アンドレが、渡してくれた。

オスカルは、今朝も、楽しそうに、鼻歌など歌い出したい気分を、抑えて、オムレツにナイフを入れた。

一方のアンドレは、堅焼きのオムレツに、たっぷりと、塩胡椒をして、シンプルに食べる。

だから、今朝もそうした。

無言のまま、お互いのプレートが、交換された。
こうして、お互いの、前にあった、食べ物が、全て行き交った。

初めから、席を変わった方が早かったが、味覚は、外側・・・外見に従っているのに、気づいた。

わたしの味覚は、おまえなのだな！
ああ、おれの味覚は、おまえらしい。

一晩経っても、戻らなかったな。
アンドレが、言った。

オスカルは、
なあに！もう一晩寝れば、元に戻るさ！
こんな事、普通に起きる事じゃない。
だから、普通じゃなく、戻るのだ。

能天気な、お嬢様に、アンドレはほとほと困った。
考え方は、そのまま、オスカルが持って行ってしまったようだ。

だが、アンドレは、もし、おれがオスカルの思考を、持ってしまったら、これはこれで、可笑しなことになると、考えた。

考えたから、チョットだけ、妄想してみた。おれが、オスカルに我がままを言うのだ。それに、命令口調で、話すのだ。

だが、それの方が、周りの者は気づかないだろう。
ここで、アンドレは、気づいてしまった。

このまま、この休暇が過ぎて・・・
おれは、衛兵隊の隊長として、振る舞うのか？

そうすると、オスカルは、おれになって、お屋敷全般の仕事を、できるのか？それに、おばあちゃん・・・きっと、一秒で見抜かれるだろう。

アンドレは、食後の生ぬるいショコラを、飲みながら、オスカルに説いた。オスカルは、相変わらず、初めは笑っていたが、段々と、真剣になってきた。

それまでも、オスカルが、のほほんと、していたのは、かなり、焦っていたのを隠すためであった。なので、アンドレに言われて、心が折れそうになっていたのを、打ち明けた。

誰か、味方に付けなければならない。
2人が、一致した。

ジャルパパか、ジャルママ・・・。
それが、最もいいだろう。
この屋敷のトップから、指図が届けば、コトは、この屋敷内だけで、外には漏れない。

しかし、残念ながら、ジャルパパは、アラスに行っていた。
当分戻らないと、聞いていた。

では、ジャルママだ。
オスカル付の侍女を、呼んだ。
フォンダンが、来た。

ジャルママに、会いたい。それも、出来るだけ早く。
予定を、聞いて、会えるように、取り次いでくれ。
そして、お目にかかる時は、人払いを、お願いしてくれ。

そう伝えて、2人はホッとした。
ホッとしたので、手を握ろうとした。
しかし、自分の手だったので、慌ててひっこめた。

やがて、フォンダンが戻ってきた。
フォンダンが言うには、
ジャルママは、ジャルパパがいないので、羽を伸ばすようです。

気さくな友人仲間とランチをして、その後、刺繡のサロン、それから、珍しく、ディナーパーティーに、出席なさるので、日付が変わってからの、ご帰宅になるようです。

でも、2人が、わざわざ、申し出てくるなんて、珍しいわ。
帰ったら直ぐに、侍女を向かわせるから、会いしましょう。
との事だった。

オスカルは、ガッカリした。
アンドレは、初めからあれこれと心配していたので、そんなには、落ち込まなかった。

しかし、オスカルは、アンドレに、言われて、自分が考えていたより、事態はややこしいと感じ始めていた。それなので、かなりショックを受けた。

アンドレの、胸に顔をうずめたかった。だが、目の前の、アンドレは、わたしの姿をしている。だから、オスカルは、体育会座りをして、頭を垂れてみた。

だが、アンドレの優しい心が入っていない、見かけだけの胸だったので、しっくりこなかった。

そして、日付が変わるころ・・・。
オスカルとアンドレは、着慣れない服で、身なりを整えた。
だが、その服は、ずっと着ていたように、身体にしっくりした。

ジャルママの居間へと向かった。

ジャルママ付の侍女が、扉を開けてくれて、2人が入室した。

「母上、お疲れの所、申し訳ありません」アンドレが、普段のオスカルの様に、ハッキリと言った。

「奥さま」オスカルが、一応言った。
だが、その声は震えていた。

その途端、ジャルママは、一歩下がった。
そして、顔が、真っ青になった。

つづく



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