馬車が勢いよく走っていく。
馭者台に乗る男は、本来なら馬を思いやって、
この様な走らせ方など決してしない。

馭者台の男は、アンドレ・グランディエ。
昨夜まで、計画していたパリ行きの予定が狂ってしまったのだった。

頭の中は、昨夜までの予定をぶっ壊しながら、これからの計画をあれやこれやと巡らせていた。その上、街道を行こうか、ここでわき道にそれた方がよいのか、判断しながら馬を追い立てていく。

アラスに向かった時は、大人が3人だけだった。
賊に襲われても、なんとかなる。
どんな安宿でも構わないと、予定など立てないで、ただアラスに向かって、馬を走らせてきた。

それが、今度は2人の子どもが同行する。万が一の場合、守りながら賊と向き合わねばならない。でも、剣がつかえるものが3人いる。しかも、オスカルは、2人分の働きが出来る。子どもをジェルメーヌに任せれば、賊など怖くないと思っていた。

だが、出発間際、彼の愛妻、オスカルがそっと耳打ちした。
万が一、賊が出て戦う羽目になった時、ジェルメーヌをあてにするな。と・・・。

まだ、遺憾が有るのかと渋い顔をする夫に、妻はそういう事ではない。
彼女の剣は、実戦には向いていない。練習用の剣だ。
オスカルは、昨夜、ゴミ置き場で、父親と剣を合わせているのを見て、確信した。

出来るとしたら、彼女自身を守る受け身の剣だ。
そう言われて、アンドレは、絶句した。
なんで、今頃になってそんな事を言うのだ・・・とは、言えなかった。

馬車は、連れて来た一頭の馬は、ジャルパパに取られたので、残りの一頭と、ヴェルサイユで見つけた、親子の馬。計、3頭という変わった構成で走っている。馭者台の後ろもまた変わっていて、往路の幌馬車ではなかった。

バンボディの4トントラックの改造車だ。まず、後ろからの賊に備え、窓を開けた。左右も、賊からの奇襲の為と言うよりは、中で子ども達の居心地がいいように、明り取りの窓が開けられていた。

正面は、いざと言う時、オスカルがすぐさま出られるよう大きく開いていた。
そう、馭者台には、左側に運転手のアンドレ(フランスでは、右側通行なので)そして、その隣にはジェルメーヌが座った。

オスカルも馭者台に座りたかったが、子ども達の世話、いざという時守る為、泣く泣く耐えた。

しかし、トラックの中は、思ったより楽しいものだった。子ども達は、早速持って来た『ベルばらカルタ』を始めた。勿論読むのは、オスカルだ。アリエノールは、文字が分からないが、絵の雰囲気で取っていく。

子ども達が、アラスから自分用に持ちだしたものは、オスカルには理解できたが、日々、パン焼き窯の製作に没頭していたアンドレには、全く不可思議なものだった。

プチ・アンドレは、画板にイーゼルスタンド、油絵具に、パステル、何処にあったのか、スケッチブックを山ほど、その他、絵画用品諸々。これだけで、トランクがいっぱいになった。その上、道々の風景も描きたいと、一冊手に持っている。

アリエノールは、プチ・アンドレに比べれば、シンプルだった。しかし、アラスに残った者も、『え゛・・・!』と、絶句した。分厚い医学書を、片手では持てずに、両手でしっかりと持ち、頭の上で、バランスを取りながら、色鉛筆を持っていた。彼女も、ドライブ中塗り絵をするそうだ。あ!勿論、アンジュちゃんも、一緒だ。

馬車は往路泊まった村を駆け抜けた。
次の村を抜けた所で、早めの昼食にする事とした。

子ども達も馬車を降りて、ピクニックシートを広げて、子ども達にとっては、楽しいランチタイムだった。

オスカルとアンドレは、周りの動きに目を光らせていた。
それと言うのも、通り過ぎた村に、目つきの悪い男どもがうろついていた。

子ども達を狭い荷台から解放し、馬たちに、水を与えゆっくり休ませているように、見せかけた。オスカルとアンドレは、悪い予感がしていた。

アンドレの目標では、パリに近い、やや大きな街に、今夜の宿を決めたいと目論んでいた。そこなら、かなり安全で、快適な宿が見つかるはずである。

人間、馬が、英気を養ったのを見計らって、アンドレは出発を決めた。次の村まではかなり距離があった。その上、うっそうとした森を通り抜けなければならない。始めの予定では、何も問題はなかった。だが、戦力が当初より下回ってしまった今、ここを通り抜けるのは、危険だった。

アンドレは、アラスからパリへの街道を頭の中に描いた。裏道を行けば、かなりの大回りとなり、下手をしたら、明日パリ到着は難しい。時間がかかれば、かかる程、危険も増すかもしれない。

ランチタイムにオスカルに相談したところ、森を突っ走れ!と妻らしい、提言だった。逃げても賊は付いてくる。だったら、早いうちに、叩きのめしてやろう。

任せろ!子ども達を守って、全員のしてやる!頼もしく言ってくれた。そのうえで付け加えた。但し、ハットリくんにはなるなよ!子ども達は勿論だが、ジェルメーヌに知られたくない。

その様な訳で、アンドレは、再び馭者台に乗り、馬を追い立てた。目前に森が迫って来る。隣に座るジェルメーヌに、剣をいつでも抜けるよう言った。後ろでも、オスカルがカルタを片付けているのが感じられた。見えぬ緊張が、走った。

いよいよ森に入った。
木々が乱立している間を、街道が走っている。廻りは、生い茂った樹木で、夕闇の様だった。

これでは、敵が見えないな。アンドレは、思った。後ろで控える、オスカルも思った。目が、この暗闇に慣れるまで、賊よ、出てこないでくれ!

しかしながら、その願いもむなしく、奇声が、前後左右から聞こえだした。
「アンドレ!馬車を止めろ!」背後からオスカルが叫んだ。

アンドレが、馭者台から降りると同時に、オスカルがプチ・アンドレをアンドレに投げた。
「プチ、おれの背中に回って、首に腕を回せ、絶対に落ちるなよ!」言うなり、アンドレは、斬鉄剣を抜いた。

オスカルは、アリエノールを抱いて、荷台から降りた。「アリエノール、わたしの脇に付け、そして、脇の下に手を回せ、そして、足を腰に巻きつけろ!落ちるなよ!」オスカルは、切羽詰まった声で言った。すると、アリエノールは、「ママンの、胸、ちっちゃいのね!」と、真実を述べた。

オスカルは、左右の賊を確認しながら、胸の内で、これでも子供を2人も生んで、乳を飲ませて、大きくなったのだぞ!と叫んだ。

ジェルメールも、剣を抜いて構えていた。

どうしてわかったのだろうか?頭領と思われる男が、
「あいつら、子ども連れだ!
その上、男は独りだけ。後は女だ。やっちまえ!」

何人いるのか、暗くて見えないが、大声で襲ってきた。
「アンドレ、不味い、あいつらこの暗闇に慣れている!」
オスカルが、珍しく焦って、一歩夫の方へ寄った。

うん。アンドレが答えた。

その時、アンドレ一家の方に、スポットライトが当たったから、一層、目だってしまった。それどころか、こちらの目が、余計に見えにくくなってしまった。

ダメだよ!ヴィー、父さんと、ママンを照らしたって・・・。
あ!そうか!敵を照らすんだ!

何処から出てきたのか?これまで何処にいたのか?
レヴェとヴィーが現れて、賊に明かりを向けた。

こうなると、オスカルとアンドレの独壇場である。
オスカルが、叫んだ!殺すなよ!面倒な事になる!
アンドレが、おう!と答え、刀を反転した。

オスカルが、右側を見ると、ジェルメーヌが苦戦していた。
やはり・・・と、オスカルは思った。

そして、ジェルメーヌ!こっちへ来い!わたしの左側について、守りに徹しろ!叫んだ。ジェルメーヌは、悔しく思いながらも、己の剣が、賊の相手にならない事を悟り、オスカルの脇についた。

アンドレの前に、頭領が現れた。
アンドレが、ニヤリと口角を上げた。

それに、挑発されて、頭領が切り込んできた。
アンドレは、冷静に今度は、刀を元に戻し、構えた。
肩の上から、プチ・アンドレの顔が覗いている。

や~~~~~~!アンドレが走った。
頭領も走ったが、アンドレの方が、勝った。
得意の、上段から斜めに、バッサリと刀を振り下ろした。

それから、見た目には、縦横無尽に刀を動かした。
頭領は、微動だ出来ない。

「また、詰まらぬものを、斬ってしまった」
アンドレは、言うなり、刀を鞘に納めた。
カチリ・・・。その音と共に、頭領の衣服が、パラリと落ちた。

頭領は、何処を隠していいのか分からず、手をあちこちと、回しながら、森の奥へと消えていった。それを見た、手下の者も消えてしまった。

三人の大人から、ため息が漏れた。アリエノールは、手をパチパチパチパチと叩いた。プチ・アンドレは、母さん、本当に強いんだね!と言って、アンドレをがっかりさせた。

  *******************

ねえ、レヴェ兄ちゃん、ママンにどうやって、ぼくたちの事知らせるの?

何を言ってんだ。明かりを照らした時、ママン、手を上げていたじゃないか?
ぼくたちの事、忘れていないし、気が付いているよ!

そうだったんだ!じゃあ、また、呼ばれるね。
スタンバイしておかなくちゃ!
また、ママンに会えるの楽しみだね!
うん!

こうして、レヴェとヴィーもパリに向かった。

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5人は、馬車に戻ると、予定の街へと向かった。
今夜は、ペニンシュラホテルに泊まる事にした。

ホテルでは、問題なく部屋に入った。
落ち着いたら、レストランに行く予定になっていた。
・・・大人の間では・・・。

しかし、アンドレが、プチ・アンドレと、オスカルがアリエノールの手を引いて部屋に入ろうとした。
すると、毎度おなじみの、大きな声が響いた。

「アリエノールちゃんは、パパのお嫁さんになるのだから、
パパと同じお部屋でなくちゃ嫌よ!」
オスカルとアンドレ、そして、プチ・アンドレが顔を見合わせた。
そして、まあ、いいだろう。

明日になれば、夫婦水入らずの部屋になるのだから・・・。
アンドレとオスカルは、同意した。

なので、しばしの別れと、オスカルとアンドレが口付けをした。
長かった。ペニンシュラの廊下よりも。
ヴェルサイユ宮殿の鏡の回廊よりも、長かった。

また、アリエノールが、大きな口を開けて、
「ママン!アリエノールちゃんのパパにそんなに、チューを・・・」
此処で、言葉が途切れた。
プチ・アンドレが、アリエノールの口を塞いだ。

オスカルは、おまえは、いい男になるぞ!
長男にエールを送ったが、口付けを辞めるつもりはやなかった。

すると、今度は、プチ・アンドレが、痺れを切らして、
「そろそろいいでしょ?ボク、お腹がすいたし、眠くなってきたよ」
この声で、やっと此処で、どう言う状況なのか、思い出した2人は、やっと離れた。

「では、荷物を置いて、レストランに行こう!
それまでの別れだ!darling」と名残惜しそうにもう一度、口づけをして別れた。

そしてまた、レストランから戻ったドアの前で、同じ光景が見られた。

そんな中、ジェルメーヌは、マイペースでゆったりと過ごしていた。レストランの食事は美味しかったし、部屋には、バスタブがある。アメニティも最高の物が揃っていた。ベッドは、懐かしいふかふかだった。

もう、パリに行ったらこのような物に会う事はないだろう。
ジェルメーヌは、この、一泊を思い切りエンジョイした。
同時に、これらに別れを告げた。

  *******************

翌日は、ホテルのブレックファーストを存分に楽しんだ。しかし、アラスでの暮らしの習慣か、早い時間に出発した。これからは、賊に会う事もなく、ゆっくりした旅だった。

アランのモンマルトルの裏の、下宿屋には、一般人にとってはかなり早い時間に到着した。

門前で待っていたアランが、絶句した。なんだ!なんだ!この大きなトラックは・・・。行く時は、貧相な幌馬車だったじゃないか・・・。ウチは、そんなに広くないぜ!

アランが、毒づいている間に、トラックは、空いている馬車置き場に強引に入って、止まった。

アンドレと、ジェルメーヌを押しのけて、オスカルが飛び出してきた。
「アラン!懐かしいなぁ!」言いながら、ハグした。

目を丸くしたのは、勿論、アンドレ、ジェルメーヌ、そして、ハグされて固まってしまった、アランだった。

アランに超接近したまま、オスカルは、アランの頬をピタピタと叩きながら、
元気だったか?
腹は、壊していなかったか?
一生分の片思いの相手は、未だパリにいるのか?

そこまで、言い出したので、アンドレはオスカルを、アランから引っ剥がした。
ブーブー(*´з`)いいながら、アランを一歩下がった所から眺め、変わりない事を確認すると、安心したようであった。

ジェルメーヌは、旅行鞄を一つ軽々と持つと、ひらりと馬車から降りた。
「おいおい!それだけか?
行く時は、重くて、ひーひー言ってたのに・・・。」
アランが、
ひゅ~~っと口笛を吹いて、からかい半分に言った。

「向こうで、余分な物を削ぎ落してきたのよ」
ジェルメーヌは、相手にせず、さばさばした表情で、自分の部屋を聞くと、消えた。

アランは、振り向いてトラックの扉を開けた。
山のような荷物にびっくりした。
「なんだ!なんだ!おまえらは、荷物が増えているじゃあないか!?
どこから、何をかっさらってきたんだ!?」

アンドレも、荷物を見て、ふう・・・。と、ため息をついた。
アンドレの、そのため息は、昨夜にも、聞く事が出来た。


「ふう、何とか終わったな」
もう出発の日の明け方近くだった。
部屋中に広がった、スーツケースの山を見たアンドレが、安どのため息をした。

そばで、やはり、汗をかきながら荷造りに励んでいたオスカルは、やっと取り掛かれるか、そう言うなり。
「では、始めるか!」
廊下から、衣装箱を次々と持ってきた。

やっと片付いた部屋に、次々と新たに空の衣装箱を持って来られたアンドレは、驚いて、声を上げた。なんだ、それ!

そんなアンドレを気にも留めず、平然とオスカルは言ってのけた。
「あ、手が空いているなら、廊下にまだあるから、中に入れておいてくれ!」

言うなり、オスカルは、真っ暗な廊下を、走って行ってしまった。
残されたアンドレは、廊下に出て、衣装箱の多さに驚いた。
部屋の中に入れると・・・何か、入れるんだろうなぁ?蓋を開けておくか!

普段は、何を言われても、何をどうするか分からない行動をしようと、アンドレは、オスカルの次の行動を理解していた。
しかし今回は、何を入れるのか、トンと分からなかった。

すると、オスカルが
ロザリーがジャルジェ家に来たときのばあやみたいに、ドレスをいっぱい持って来た。そして、バサッと、衣装箱に入れた。

そして、入いり具合を見ると、ふん!一箱、二回分か・・・。
そう言うと、また走って行ってしまった。
そしてこれを、アンドレから見たら、100回位繰り返した。

オスカルを理解しようと、いつも懸命になっていたアンドレは、今回ばかりは見ているだけで、うちの嫁さん、気が狂ったのか・・・。アンドレが、真剣に思っている間も、オスカルは、ドレスを運んでくる。

たまらず、アンドレは、どうするのだ?こんなにドレスを・・・?
母上が好きなだけ持って行って構わないと、おっしゃったから。
流石のオスカルも、ふうふうしながら、答えた。

オスカルの最大の理解者である、アンドレは、さっぱり分からない。
分からないから、首を振り振り、言った。
「理由になってないな。
兎に角、ハンガー外すのでも、手伝うか?」

「イヤ、直ぐに吊るせば、シワにならない。
なんと言っても、わたしは、アイロン掛けの名人だからな」

こうして、オスカルの健闘は、ようやく終わった。
そして、アンドレ一家の荷物は、オスカルの物が、半分以上を占めた。

こうして、アラン宅に到着し、荷物を見たアランが叫んだ。
「なんだ、この荷物?どうして、増えたんだ?」

アンドレは、正直に。
「これは、オスカルの・・・・・・・」

すると、オスカルが、慌てて、アンドレを羽交い絞めにして、
「言うな!言ったら殺す!」
すごい剣幕で言った。

先ほどから、呆気に取られているアランは、
「へーへー、相変わらず、不思議な夫婦だ」
どれから、運び出すのだ?と言いつつ、仕事にかかった。


取りあえずの荷物と、子ども達を連れて、アランと4人は3階へと昇って行った。
オスカルが割り当てられた部屋のドアを開けた。

ダブルベッドと、テーブルがあるのは、予定通りだった。
だが、部屋の隅にある2つのシングルベッドを見つけてしまった。

前にいたオスカルが、振り向いた。
なんだ?と、アンドレが、オスカルの頭越しに覗いた。

今度は、アンドレが、振り向いてアランに言った。
「3部屋用意してくれと、手紙に書いてあっただろう?」

すると、アランはムッとして、
「何言ってやがるんだ?ジャルジェのおっさんが、チョロっと顔を出して、帰ってくるから、部屋を頼むな!そう言って、どこかに消えようとしたから、慌てて、呼び止めて、いつ帰って来るか、こっちから聞いたくらいだ!

手紙なんざ、受け取ってないぜ!
おっさん急いでいるようで、直ぐに消えちまったぜ!」

オスカルは、今更ながらだが、父に頼んだことを悔やんだ。
引退したとはいえ、まず、するべき事はきちっとやって、それから、物見遊山に出かけると踏んでいた。

では、手紙は、まだ父上の上着かズボンのポケットに入っている。
若しくは、洗濯をする母上が、見つけて呆れているかもしれない。

賃金を惜しんだばかりに、父に革命後のパリを見せたい、という母の願いを聞いたばかりに、この始末だ。

それ以上に、ガックリ来ていたのはアンドレだった。
ここで、のんびりオスカルと、2人っきりで、イチャイチャと過ごす予定が、狂ってしまったのである。

一方の、オスカルもせっかく、アンドレと和睦が出来たのに・・・。
ペニンシュラホテルでは、アンドレではなく、プチ・アンドレと同室になる・・・まあれは、子ども同士を同じ部屋には出来ないので仕方がなかった。

しかし、廊下での、チュウを、子どもに邪魔されて、気分が悪く、落ち込みもした。

そんな夫婦の落ち込みも知らずに、フランソワ、ジャン、ラサールも帰って来て、
アンドレ一家の荷物が次から次へと運んでくれた。

アンドレが、かなりうんざりしてオスカルに聞いた。
「この途轍もなく沢山ある衣装箱、上に持って行くのか?」

オスカルは、平然と答えた。
「此処では、見つかってしまう。それに、ドレスをどこに吊るすというのだ?
ふふふ!」

日頃から、オスカルの考えている事を理解しているアンドレにも、不可思議だった。
アンドレは、自信を無くし始めていた。
何を考えているのだ?・・・。聞かずにはいられなかった。

アリエノールのお色直し!と言って、笑った。
幼なじみの、護衛兼遊び相手で、今は妻であるオスカルは、ニヤリと笑った。

何を考えているんだ?ジェローデルの話の何処に反応したのだ?
アンドレは、思案に暮れた。

「勝手にやってくれ!おれは、従うだけだ」
これしか言えなかった。

すると、ジャルジェ准将は、意外に素直に、
「悪いな!少し考えたいのだ」と出た。

そう言われては、
「分かった!」としか言えないアンドレだった。

「お~~~い!?この箱、やたら重いけど、何が入っているんだ?
こんなの、3階まで運ぶのか?!」
アランが、ふてくされて言う。

アンドレが、近づいて、
「ああ、これはヴィトンの冷蔵仕様のケースだ。
開けてみろ!びっくり、驚き!大喜びだぞ!」

アランが、おっかなびっくり開けてみると、
中に、アラスで取れた、野菜、果物、燻製肉が入っていた。

アランを始め、みんな大喜びだ。アランは、おまえ達、何処かに行くと、たんまり食べ物を持ってくる。また何処かへ行ってこい!とまで、言い出した。

一方の、ジェルメーヌは、かなり狭い1人部屋の床に、所持品を全て並べてみた。
使いかけの、ハンドクリーム、UVローション、数枚の下着、ノミ色のドレス。
それだけだった。

だが、暗くはなかった。
これで、満足していた。
そして、これからの事を思った。


そして、天井裏では、
やっと出番が来たね。
これから、もっと忙しくなるね。
いつでも、登場できるように、スタンバイしておかなくちゃね。
レヴェとヴィーが、ひっそりと、これまた自分たちの居場所を作っていた。

つづく