♪Another One Bites The Dust
話しを少しだけ戻そう。
アンドレが衛兵隊で療養している間にオスカルは、
近衛隊で同じく療養しているジェローデルを訪ねて、
今後の事を取り決めた。
ジェローデルの方も、アンドレの店、二階の住居を調べさせたが、
何の証拠物件も発見されなかった・・・。
オスカルの提案。
ジャルジェ家のヴェルサイユの屋敷を、フローリアン・F・ド・ジェローデルに譲る。
ジャルジェ伯爵領については、国王陛下の沙汰があるまで、ジャルジェ将軍がこれまで通り治める。それに伴ってジャルジェ夫妻はアラスの領地へ移る。
また、移るにあたって、領地では使用人の数が足りないので、ヴェルサイユの屋敷からモンブラン家の使用人を連れていく。
(ここでオスカルは、ニヤリと笑いたかったが最大限の努力をして耐えた)
ジェローデルは、これを承諾した。
(全ては、母親ジャルジェ夫人の入れ知恵だった)
ジェローデルが晴れて、己のものとなったジャルジェ家もとい、
ジェローデル家に入る日になった。
門前まで来て、広大な屋敷を見上げる・・・。
今日からこの屋敷が自分のものになる!!
もうもう、ねこちゃんを抱き上げて飛び上がりたい気分である。
のぼせ上っていたから、門が開いたままになっているのには、気付かなかった。屋敷へと入っていく、・・・玄関も自分で開けたのに気づかないほど、有頂天になっていた。
玄関ホールでコートを脱ぎ、手渡そうとしたが、誰もいない・・・。
しばらく、きょろきょろとしてみたが、誰か出てくる気配がない・・・・・・・・・。
仕方がないので、その辺に置いて、居間に入っていく・・・・・・・・。
元々将軍が座っていた・・・主の椅子・・・に腰掛けてみる。
満足である。
が、誰も来ない・・・・・・・・・。
呼び鈴を鳴らしてみる・・・・・・・・・。
・・・・・・・・しーーーーーーーーーん・・・・・・・・・
その内、遠くから少女の調子っぱずれな鼻歌が聞こえてきた・・・・・・・・・。
もう一度、呼び鈴を鳴らしてみる・・・・・・・・・。
十代前半だろうか幼い黒人の少女が顔を出した・・・・・・・・・。
「誰かいないのか?疲れた。お茶を持って来させてくれ!」
「そ~れは、無理だで、・・・その係はモンブランさんだで・・・」
「では、葉巻を持って来てくれ!」
「そ~れも無理だで、・・・それもモンブランさんだで・・・」
「では、いい!少し部屋で休むから、・・・身の回りの世話をするものを寄こしてくれ!」
「そ~れも無理だで、・・・それもモンブランさんだで・・・」
「おまえの言っている、モンブランさんと言うのは、一人の人間を指しているのか?」
ジェローデルが、イライラと言った。
「おらには、あ~んたの言っていることが良くわかんねえだよ。
ただ、このお屋敷にお勤めなさっているのは、ほとんど、モンブランさんだで・・・」
「では、おまえは、何が出来るのだ?」
「おらは、ここでは、な~~~~~んも出来ねえだ。
おらは『風と共に去りぬ』のプリシーだ。特別出演だでな」
「では、他のものを呼んでくれ!」
「み~~~~んな、居なくなっちまっただよ。
旦那さまと奥様がモンブラン家の者全部連れて行ってしまっただで、
他の者も仕事が出来ねぇってんで他の屋敷にとらばーゆしたり、
付いて行ってしまっただよ。」
・・・・・・・私のネコちゃんのエサは?・・・・・・・・・
「どこでも勝手に開けてくれと、ばあやさんが言ってたで.
おらは、そろそろスカーレットさまが呼んでなさるから、いくだで・・・・・・・・」
こうして、ジェローデルは可愛いネコちゃんに囲まれて、どの様に暮らしていたのかは、杳として知れぬままであった。(のかな?ふふふ( *´艸`))
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一方、ジャルジェ家とモンブラン家の大移動は、江戸時代の参勤交代のような、ゲルマン民族の大移動のような状態になっていたが、みんな幸せいっぱいでゆっくりとのんびりと物見遊山をしながら北へと向かっていった。
勿論、アンリ爺やも一緒である。幸せそうに訳の分からない歌を、
「お嬢ちゃんは、ハッピー、アンドレも、ハッピー・・・・・・・・・」と、歌っていた。
ばあやがアンリ爺やに話しかける。
「おまえさん、向こうへ行ったら、どこで暮らしましょうかねぇ?
奥様がもうそろそろゆっくり暮らしてくださいね。と仰って下さったよ」
「ばあさんや、シモーヌの所がわしはいいなぁ・・・。
アンドレと嬢ちゃんの話でもしながら、仲良く暮らそうな~」
「あんれまぁ!おじいさん!正気に戻っちまったよ!」
BGM End Game
By Taylor Swift
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