♪Fight From The Inside

オスカルが、風邪をひいて熱が高い。
おれのせいだ!中途半端な気持ちで、オスカルを舟遊びに誘って・・・・、
川に落ちてしまって、・・・・
濡れたまま夜風の中を歩かせて、・・・
おれの布団でうたた寝をして、・・・・

だから、いつまで逃げていればいいんだ!
こうして、走って、走って、走って、走って、・・・
滝に打たれて、打たれて、打たれて、・・・・
それで、オスカルと同じ苦しみを味わっている。・・・・と、思い込んで!
おれは、・・・・どうしたらいいんだ?!

親の仇を討ちたい!
でも、・・・・・
オスカルを・・・・あゝ、愛している!・・・・愛しているんだ!
修行に一生懸命に付いてくる、オスカル!
表情を変えて、くるくると動く瞳!
浴衣を着た、艶やかなオスカル!

しかし、おれには、やらなければならない事がある!
二兎を追う者は一兎をも得ず。・・・・だ!

それだけじゃない。
商人の出のおれが、武士を殺めたら、確実に死罪だ!

そんな事にオスカルを巻き込むことはできない。
だから・・・・断ち切らなければ、この想い。
すまない。・・・・オスカル!

  ********************

「もう、熱も下がって、ようございました。」
「そろそろ、外に出てみるか。・・・・身体がなまってしょうがない。
・・・・・アンドレは、どうしている?」
「それが・・・・・毎日、用事の時以外は出かけてばかりで、
何をしているんだか・・・・・汗びっしょりで戻って来るんですよ!

まあ、あのへなちょこだから、少しは、修行でもした方が良いんですけど、
元々無駄口ばかり叩いていたのが、最近は、とんと無口になって、
何を考えているんだか?

お嬢さまの看病もしないで!
あ、おしゃべりが過ぎましたね。

お起きになりますか?お嬢さま?」
「ああ、ばあや、少し庭でも散策してくるよ!」

  ********************

少し寝ていただけなのに、すっかり秋になってきたな!
あ!アンドレとジェローデルが、・・・・話してる?
き・・・・聞こえない!耳がダンボにならないかなぁ!
あ!なった!

「まさかこんな所で、会うとは思いませんでしたよ。
あの時はまだ、幼かったのに、・・・・良く私だと分かりましたね。」
「あゝ!その独特のワカメと瞳は、忘れる事は無かった!
しかし、20年経つのに見目が変わってないようだが?」

「ふふふ・・・・その答えの半分はオスカル嬢がご存知ですよ」
「オスカルが?」

「君もつくづく、愛する人を失う運命にあるようですね。
幼い時に両親を・・・・そして今度は、オスカル嬢」
「オスカルの事は、お・・・おれは別に、何とも思っていないが、・・・・」

「おや!そうですか?君の目が、雄弁に語っているのを知っていますよ!
そう、君の目は、幼い頃から言葉よりずっと正直だ!
フッ!そう、あの時も、その目でそうやって私を睨んでいましたね!

普段は穏やかなオトコを装っているのに、あの時は憎悪を剥き出しにして、
そして、・・・・ここ何日か、
オスカル嬢が夏風邪をひいてからは、恋をしたオトコの目をして、・・・・

イヤ!以前からかな、君のオスカル嬢を見つめる目は、慈しみに満ちている。
しかし、君はこの道場では、へなちょこだから。

でも、私も君が、私のネコちゃんと仲良くしてくれれば、
今のままでこの道場に住むことを・・・・・」
バシャ!
「わっ〜〜〜何をするんですか!」
「このお茶が、玉露だったのを幸いに思え!」

「相変わらずですね。『二兎を追う者は一兎をも得ず』を貫くのですか?
私なら、欲しいものは全て、手に入れますよ!
私には、それだけの力が有りますからね、ふふふふふ・・・」

スタスタスタ・・・・・ スタスタスタ・・・・・
スタスタスタ・・・・・ スタスタスタ・・・・・
スタスタスタ・・・・・ スタスタスタ・・・・・  ←ジェローデルが去る足音。


欲しいものは全て、・・・・・
それを手に入れるだけの『力』・・・・か、・・・・おれには、あるのだろうか?

「あ!アンドレ~~~アンドレ!何しているんだよ!
道場に来てみろよ!凄いのが来ているよ!」
「え゛!フランソワ・・・・何だ?」
「腕試し!二刀流だよ!」
「へえ!行ってみるか!」

アンドレ・・・・・・行ってしまった。
ジェローデルと過去に、何があったんだ?

二刀流か、道場に行ってみるか?!

それより、・・・・・調べなくては、アンドレの空白の2年4ヶ月。
それに、ここに来る前、何があったんだ?
20年前って言っていたな!
ここの、書庫には資料は無さそうだ!
町に行ってみるか!

  ********************

アンドレが、道場に行くと、来訪者と熊五郎が立ち合っていた。
来訪者はこの時代には珍しい短髪で、揉み上げがあった。
両方の手に其々、竹刀を持ち自在に操る。

普通、両手で一本の竹刀を持ち、構えて、振る!
それを、両手で打ってきた竹刀を、片手で受け止め、反対の手で攻めて来る。
どれだけの、修行を積んだのだろうか?
アンドレは、珍しく身を乗り出して、見入っていた。

あいつを攻めながら、・・・・・オスカルを手に守る?
ダメだ!あいつを殺せば、・・・・・死罪が待っている。

死罪が待っているこの身。
己の感情だけで、愛を告げて、また、捨てるなんて、できない!
そんな思いを、オスカルにさせたくない!
だから・・・

BGM Remember Me
By Journey
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