♪Liar

「オスカル!?」
「あ、アンドレか・・・・・・・・入っていいぞ!」

「読書中だったか、・・・・・・・・暑いだろう、麦茶を持ってきた。」
ほう!気が利くな!・・・・・・・・それに・・・茶碗も二個持ってきている。
一緒に飲めるのだな!・・・ふふふ( *´艸`)

「ほら!1つは一気飲み用。・・・・・・・・もう一つはちびちびやってくれ!」
なんだ、一緒に飲むんじゃないのか、つまらない。

「何を読んでいるんだ?」
「書庫の管理責任者殿にとっては気になる事か?」
「まあな!(。´・ω・)ん?・・・・・・・・『兵法』・・・・・・この太平の世に兵法か?
おまえ!・・・・・・・・時代遅れじゃないのか?」

え゛!?だって、・・・・・・戦うために、毎日稽古をしているんじゃないのか?

「大体、おまえ!・・・・・・・・何年戦らしい戦が、起こっていないか、考えてみろよ!
徳川さまが幕府を開いて、そろそろ200年になろうとしているんだぜ!」

「では、何のために、我々は修業をしているのだ?」
「う~~~ん、まあ、カッコ良く言えば、精神修行だが、
実際には見せかけ・・・かな?」
「見せかけ?武術の修業が・・・?」

「ああ!だって、・・・・・・実際に使う場がないだろう?
戦がないんだし、・・・・・・もめるとしたら・・・・・・百姓一揆の制圧かな?」

「苦しいのか?」
「かなりな!今年も不作だろうし、それなのに、年貢は高いし、不満は募っている」
「高台から見ると、田んぼは緑豊かに見えたぞ!?」

「見た目はな!近くに寄ってみろ、土にはひびが入っているし、稲穂はぺったんこだ!」
「米が実っていない、ってことか、深刻だな!」
そうか、・・・どこでも、同じだな。

「こっちの本は、なんだ?
・・・・・え゛!・・・・・『雨にも負けず、風にも負けず・・・・・・』って、
・・・・・・・・・おまえ・・・・・・・・最近、おかしいな?
これ、子どもの手習いの本だぞ!

さては!おれに隠れて、悪い物でも食べたのか?
食事の時は、おれが給仕しているからな!」
「な、・・・・・・なんでもない!ちょっと間違えて持って来てしまったんだ。」
「ハハハハハ・・・後でもっと面白いのを、持って来てやるよ!
おばあちゃんに用事を頼まれているから、行くからな!」

・・・・・・アンドレ、剣は、へなちょこだけど物知りなんだな!
書庫の管理責任者だけあるな!

でも、この宮沢賢治・・・・・・なかなか良い事を書いているぞ!
まあ、子供向けと言えば、そうだが、・・・・・
ジュニアとアリエノールに読ませたいな~
どうしているのだろうか?

  *************************

「ばあや、アンドレは?」
「あ!おじょうさま。・・・・・アンドレは、ちょっと町に使いにやりましたけど、
何か、用でも?」
「イヤ、良いんだ。・・・・・そうだ、わたしも、町に行って来る。」
「そんな、お一人で、・・・・・・危のうございますよ」
「大丈夫だ!竹刀を持って行く!」

  *************************

・・・・・ほう!結構にぎわっているのだな。
・・・・・庶民の町だが、
パリやヴェルサイユの下町よりずっと清潔で、活気がある。
それに全然臭くない!(くんくん)

(。´・ω・)ん?・・・・・あそこを歩いているのは、アンドレだ!
「アンド・・・レ・・・・・」
不味い!一人じゃない!女と歩いている!
誰だ!?ええい!先回りして、顔を見てやろう!

・・・・・・!!!!!・・・・・・ロザリーじゃないか!?・・・・・・何故?
楽しそうだ。
あんなに楽しそうに笑っているアンドレ、わたしは、まだ見ていない。
アンドレの笑顔は、いつもわたしだけのものなのに、・・・・・・

わ~~~~こっち来る!
その辺の店に入っちまえ!・・・・・・あ!本屋だ。

本屋なんて、向こうでも入った事ないなぁ!
( ´_ゝ`)フーン・・・・・・面白そうなのがたくさんあるぞ。

以前、アンドレが、言っていたハウツー本もある!

お!これ、これ、『オトコを振り向かせる方』
『貴女の好きなオトコが貴女だけを見る方』
『彼のハートを、ドキューン!』
『合コンでイイ男を見分ける方』
・・・・・・2-3冊買って帰るか・・・・・

テクテクテク・・・・・テクテクテク・・・・・
テクテクテク・・・・・テクテクテク・・・・・
テクテクテク・・・・・テクテクテク・・・・・
テクテクテク・・・・・テクテクテク・・・・・(←オスカルが歩いている音)

「お嬢ちゃん!」
「そこの、きれいな金髪のお嬢ちゃん!」
「聞こえないのかな~竹刀を持った、勇ましいお嬢ちゃん!」

「え゛!・・・わたしの事か?」
「お~お!や~っと振り向いた!」
「ふふふ・・・・・面白そうな、本を買っていたじゃないか?」
「クククククク・・・俺たちが、相手をしてあげるぜ、お嬢ちゃん!」

「結構だ!他をあたってくれ!」
不味いぞ!・・・・・・5人、・・・・・・イヤ、6人か、
・・・・・囲まれている。・・・・・・しかも、向こうは真剣だ!
・・・・・竹刀では太刀打ちできない!
・・・・・冷静になれ!オスカル!・・・・・輪の切れている所から、・・・・・

くそ!逃げる隙が無い!

「クククククク・・・」
「ふふふ・・・・・」

「ちょっと待った~!
      その女に手を出したら、
           おれが許さないぞ!」

タタタタタタタタ・・・・・
タタタタタタタタ・・・・・
タタタタタタタタ・・・・・(←アンドレが走ってくる音)

あ!アンドレ!

ダメだ!アンドレ、へなちょこだ!・・・・・それに、・・・丸腰じゃないか!
でも、来た!

・・・・・・・・あ!・・・・・え゛?・・・・・え゛?・・・・・ええええ!!・・・・・
「オスカル!逃げるぞ!」
わ!手を握られた!・・・・・大きな手だ!・・・・・

バタバタバタバタバタ・・・・・・・・・・
バタバタバタバタバタ・・・・・・・・・・
バタバタバタバタバタ・・・・・・・・・・
バタバタバタバタバタ・・・・・・・・・・(←オスカルとアンドレが逃げる音)

「ふう!この辺まで来れば、大丈夫だろう。
怪我はなかったか?オスカル!」
「この辺って、人混みじゃないか?大丈夫なのか?」

「ああ、人がいる方があいつら、手出ししてこないからな。
それにしても、運が良かったな~
あいつらが、隙を見せて輪が崩れたから、逃げられた・・・・・」

「輪が崩れた?・・・・・おまえが崩したんじゃないのか?」
「え゛・・・何を言っているんだ!おれは、何もしていないぞ!」

「おい!アンドレ!わたしの目が節穴だというのか?
しっかりと見せてもらったぞ!

懐の小刀、・・・・・居合・・・・・か?」

「うう!・・・・・見られていたか。・・・・・不覚!」
「何故、へなちょこのふりをしている?上に上がりたいと思わないのか?」

「おれは・・・・・今は道場の末席に加えてもらって、
先生にも家族同様の扱いをしてもらっているが、元は商人の出だ!
強くなったからと言って、・・・・・何がある?

それに・・・オスカル、知っているか?
下から3番目をキープするのも大変なんだぞ!」
「どういうことだ?!」

「少し歩きながら話そうか」
「ロザリーは置いてきていいのか?」
「え゛・・・見ていたのか?ロザリーは単なる友達だし、
ベルナールと結婚するらしい。」

「そうなのか、(ホッ!)」
な・・・・・なんで、ホッとするのだ?・・・・・わたし・・・・・。

「・・・・・・・・で、下から3番目までが、食事の時給仕するのは知っているな?
おれはなぁ!ホカホカの炊き立てのご飯を、おまえの元に持って行って、
すると、おまえが嬉しそうに受け取るのを見るのが、たまらなく幸せに感じるんだ!
・・・・・だから、・・・下から3番目なの!分かった?」

「だったら、・・・・・びりっけつになった方が、もっと簡単じゃないか?」
「それだと、・・・・・おばあちゃんに叩かれる!
何やってんだ!
お嬢さまの、護衛兼遊び相手だろう!って、
機嫌が悪いと、・・・・・ヤキを入れられる・・・・・」

ふ~ん、いかん!いかん!目がだんだん『はあと』になってきた。
不味い。

「何時、稽古しているのだ?」
「毎朝、おまえと走るだろう?その前!」
「え゛!?夜明けと共にか?それで、坐禅組みながら、居眠りか?」

「ハハハハハ・・・居眠りしたのは、前の晩、おまえと遅くまで吞んだからだ。
なんて、言い訳できないな!

それと、夜明けと共にではなく、・・・・・夜明け前だ!」
「何の為に・・・・・やっているんだ?」
「さあ?好きなのかな~~~

そういえば、オスカル、逃げている時、袂から本のような物が落ちたが・・・・・」
「あ!本を買ったんだが、・・・・・落としてしまったようだ・・・・・」
「もう一度、行って、買ってくるか?付き合うぞ!」

「・・・い、・・・・・イヤ、イイ!・・・・・大した本じゃないから!」(汗!)
「・・・????・・・・・」

「おねえちゃん!
おねえちゃん!本!本!落としてった!」

「おお!ぼうず!悪い!・・・・・痛い!・・・・・」
バシッ!ボカッ!
許せ!アンドレ!あの本を見せる訳にはいかないんだ!

「ありがとう!坊や!よく見ていたな!」
「(*・ω・)(*-ω-)(*・ω・)(*-ω-)ウンウン♪
きれいなおねえちゃん、だから・・・すぐわかった!
はい!ご本!」

(。´・ω・)ん?・・・・・1冊か・・・・・まあ、いいか!

「坊や、名前は?」
「レヴェ!」

「じゃあ、レヴェ、これで飴玉でも買って食べろ!」
「ありがとう!でもね。ママンが人から金子を貰っちゃダメだって!」
「ほう!良いママンがいるのだな!」
「うん、強くて、優しいママンだよ!」

「では、わたしが、飴玉を買って、それをレヴェにあげよう!
それならいいな?」
「(*・ω・)(*-ω-)(*・ω・)(*-ω-)ウンウン♪
おねえちゃんありがとう!ヴィー、弟にもあげるんだ!」
「バイバイ!」
「バイバイ!」

「おい!みぞおちに一発とは、・・・・酷いなぁ」
「うわ~~!アンドレ!いつの間に後ろにいたんだ!?」
「人をお化けみたいに言うな!どんな本を買ったんだ?
見せてみろ!書庫の管理責任者としては、知る権利と言うのがあるからな!」

「イヤ、・・・・・そんな書庫に置くような大層なものではないし、
おまえに見せると、また、おちょくられるからな!
見せない!教えない!知らなくていい!」

「何を隠しているんだ?怪しいぞ!さては『プレイガール』でも買ったか?」
「しつこいぞ!おまえ!そんなんじゃ、・・・・・イヤ、そんなもんだ!
ふん!あまりしつこいと、おまえの腕前の事ばらすぞ!」

「おい!脅すのか?・・・・・まあいいや、・・・・・帰ろうか?
さっき、豆大福を買ったから、お茶を入れて一緒に食べような!」
「お!いいなぁ!・・・・・よく、逃げた時落とさなかったな?!」
「ふふふ・・・・・鍛え方が違うからな!」
「好きに、言っていろ!」

う!・・・・・不味い!・・・・・どんどん、どんどん、目がはあとになってくる・・・・・。
アンドレの背中が、大きく見える。
わたしは、恋に落ちてしまったのか?

  *************************

「ねえ?レヴェ兄ちゃん、どうして、ママンにそっちの2冊返さなかったの?」
「うん!こっちのは、あまり上品じゃないから、

ほら、・・・・・『寝込みの襲い方』とか、『夜這いの仕方』なんかが書いてあるから、
・・・・・そんな事、ママンにさせたくないだろう?」
「そうだねぇ!ママンには上品でいて欲しいものね!
レヴェ兄ちゃん、この飴玉美味しいね!」
「(*・ω・)(*-ω-)(*・ω・)(*-ω-)ウンウン♪」

「でもさあ!レヴェ兄ちゃん!
ママン、アンドレ父さんの事を振り向かせることが出来るのかなぁ?
そういう事ってものすご~~~~~~く、
苦手のような気がするんだけど!」

「ぼくもそう思うけど、・・・・・ママンが向こうで言ってしまったんだもの、
『おまえに告って、告って、振り向かせるぞ!』・・・・・・ってね。
だから・・・ぼくらも見守って、助けなくちゃね!」
「(*・ω・)(*-ω-)(*・ω・)(*-ω-)ウンウン♪」

BGM Wake Me Up
By Ed Sheeran
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