「あ・・・あなた達・・・。」
そう言って、ジャルママは、顔を覆ってよろけた。
オスカルが、
おくさま・・・、と声をかけた。
アンドレも、
母上・・・、と声をかけた。
ジャルママが、キリッとして、母親であり、ジャルジェ家の、女主人として、言った。
「なんて事なの?
あんなに、国王陛下から、
妊娠だけは、ダメだと、キツク言われていたのに・・・」
オスカルが、
奥さま、そうではないのです。
わたしと・・・
まで、言うと、ジャルママが、
「分かっているわよ。
貴女は、わたしの娘。
そして、アンドレも、8歳からだけど、わたしが、育てたも同然。
あゝ、オスカル!」
そう言うと、ジャルママは、アンドレの身体に抱きついた。
オスカルは、目を白黒させながら、アンドレを見た。が、
「母上、分かっていらっしゃるなら、わたしですが・・・今は、身体は、わたしのアンドレです。いつまでも、抱きついていないでください。」
そう言って、母親を引き剝がした。
すると、ジャルママは、アンドレに向かい、
「アンドレ、まあ、貴方・・・」
と言って、また、抱きついた。
そうすると、オスカルが、また、
「母上、わたしの身体を、こねくり回さないでください。それに、中身は、わたしのアンドレなのです。離れていただきたい。母上は、父上と抱き合って下さい!」
苦情を述べた。
「ほほほ・・・、まあ!つまらない!」
ジャルママは、微笑みながら、2人を、ソファーの方にいざなった。
そして、言った。
「いったいどうしたのですか?
詳しく話して下さい、オスカル、アンドレ」
「はい、母上、
わたしが、ふり向きざま、アンドレを殴ったのです」
オスカルは、それだけ言った。
そして、口を閉じた。
ジャルママは、次の言葉を待った。
オスカルの方からは、出てきそうもないので、
アンドレの方を見て、促した。
はい、それだけです。
アンドレも、そうなのです。とだけ言った。
「たった、それだけなのですか?」
ジャルママが、耐えきれず、尋ねた。
オスカル、アンドレが、うんうんと、首を縦に振った。
「その前に、何かなかったのですか」
ジャルママが、イライラしながら言う。
昼間、散々遊び歩いてきた疲れもあった。
それに、外出する時、2人が会いたい・・・と、言ってきたが、こんなに、込み入った話しだとは、思ってもいなかった。(思う人は、誰もいないと、思うが・・・。)頭も、痛くなってきた。あくびも出そうだ。
また、オスカルが、
「その前に、アンドレと言い合いをして、頭に血がのぼっていました。
The end.」
娘たちの、多分最大級の危機と言うのに、ジャルママは、イライラをもう隠しもせずに、
「それは、いつの事なのですか?
もうこれ以上、一問一答をする気はないのです。
初めから、最後まで、きちんと話して下さい。
オスカルには、無理なようですので、
アンドレ、彼方が、こうなってから、今までの経緯を話してちょうだい!」
迷った。アンドレは、迷った。
オスカルとの、口論は、お互いの誤解から・・・ただし、オスカルが、アンドレの気に入らない、男とダンスをした事も、女殺しとキスをした事も、事実だった。だが、こうなってしまうと、もうどうでもいい事に、思えてくる。
そこで、こうなった経緯は、オスカルが言った通りで、と、言い。
続けて、その後の、対応を伝えた。
2人は、お互いの事に精いっぱいだったので、気づかなかったが、ジャルママは、2人が話していることを、必死にメモっている。
そして言った。
「ずっと、このままだったのですね?
それとも、明日の晩には、元に戻れるのですか?
そうなってくれれば、結構なのですが・・・
戻らなかった場合を考えて、明日の朝・・・
そうねぇ、わたしもオスカルの部屋で、朝食を頂きます。
そこで、これからの事を、考えましょう。
今日は、遅いし、わたしも疲れました。
頭の働きも、鈍っているようです。
あなた達も、もうおやすみなさい。
ただし、思いっきり、ケンカしてもいいから、
戻れる、努力は怠らないように・・・。」
こうして、3人は、まんじりともせず、一夜を明かした。
************************
翌朝、ジャルママが、清々しい様子で、オスカルの部屋に入ってきた。
昨夜より、さっぱりとしている。
食卓が整い、給仕の者が、退室した。
ジャルママは、2人を見て、
「やはり、戻っていなかったのですね」
予想圏内であったようである。
給仕の者達が出ていくと、オスカルとアンドレは、席を交代するのかと、ジャルママが首を傾げた。見かけは、オスカルが、上座に座って、アンドレが入口の方に座っていた。
「味覚は、外側の人間になったままのようなのです。
皿を交換するより、この方が、早いのです。
これも、慣れないものの一つです」
オスカルが、そう言った。
オスカルが、
「今まで、あんな甘ったるいショコラなんて、飲んでいたのが、信じられない。それも、生ぬるいんだ。アンドレ、おまえが、言っていたのが、正しかったな」
すると、アンドレが、反論した。
「何を言っているんだオスカル!この世に、生ぬるいショコラほど、美味しい飲み物は、ないと、おれは認識したぞ。元に戻ったら、鍋一杯に作ってやるからな!」
「やめてくれ、胸くそ悪い」
オスカルが、いかにも、胃がもたれそうな顔をした。
「ほほほ…」ジャルママが、朗らかに笑った。
それを聞いたオスカルが、母上、笑い事では有りません。笑ってる余裕があったら、どうしたら戻るのか、考えてください。
「考えているわ。でもね、あなた達が、当事者で、その時の様子も知っていて、散々戻るよう、試したのですよね。
でも、残念ながら、戻らなかったようですね。
ですから、私は、あなた達が、このままで、明日から、どのように、暮らしていけばいいか、考えています」
オスカルと、アンドレが自分を見た。
そして、それぞれが思った。
明日から、アンドレとして、振る舞う…もしかしたら、一生、このまま、生きて行かなければならない。
明日から、オスカルとして、振る舞う…もしかしたら、一生、このまま、生きて行かなければならない。
2人とも、そこまで、考えていなかった。
マジで、この、月誕生日が過ぎれば戻れるとおもっていた。
ジャルママが、そんな2人を見ながら、話し始めた。
「先ず、オスカルになっている、アンドレ。貴方は、いつも、オスカルの仕事を見ているから、衛兵隊でも、何とか、やっていけると思います。
問題は、オスカルね。
アンドレの仕事は、多岐に渡っているわ。
今日、1日では、覚えるのは、無理だわ。
貴女は、当分、私の手伝いをする。と言う事で、一日中私の部屋で、過ごしなさい。
それと、ばあやね。ばあやなら、一目で2人を見分けます。見分けるだけなら、よろしいですが、アンドレが入っている、オスカルの身体に、ヤキを入れるかもしれません」
アンドレが、真っ青になった。
己の身体に、ヤキを入れられるのなら、とっくに慣れている。
だが、オスカルの身体に、ヤキなんて入れられたら、オスカルの身体に、傷がついてしまう。
改めて、祖母の恐ろしさに、おののいた。
「パリの別邸が、かなり傷んでいます。
そちらの方に、行っていただきましょう。
今夜の24時を過ぎたら、あなた達は、もう会えないのだから、もとに戻るチャンスは、1ヶ月後になるわね。
ばあやにも、年内パリで過ごすよう、命じます。
それから、アンドレ。貴方、ロジェと、ジョルジュを騙し通す自信はあるのですか?」
う!アンドレは、ロジェとジョルジュの姿を思い起こした。
そして、自分がオスカルについていた時の事も、思い出した。
かなりの、演技力が必要だ。コメディフランセーズ並の。
それと、ジャルママが、更に真剣に、おどろおどろしく、言い始めた。
アンドレは、何事かと、腰かけながらも、一歩引いた。
「アンドレ、彼方、3ショコラを、だます事は、出来ますか?
毎日、オスカルの、ありとあらゆる身の回りの事をしてくれています。オスカルの、メンタル面、体調を見ながら、お世話をしているのですよ。」
アンドレから、血の気が引いた。
すっかり忘れていた。
ショコラ3侍女!恐るべき相手が、いた。
アンドレが、オスカルを見た。
泣きそうな顔をしている。
誰よりも、そんな顔をして欲しくない、愛しい女性。
今は、自分の姿をしているが、心は、オスカルだ。
アンドレは、決意した。そして言った。
「やりましょう。
次の、月誕生日まで、オスカルを演じます。
オスカル、今日一日、細かな事を教えてくれ」
アンドレが、ジャルジェ准将の顔で、断言した。
「先ずは、その話し方を変えるんだな!
全て、命令口調、上から目線だ。
今までの、おまえの話し方を、全て忘れろ!」
オスカルが、厳しく言った。
アンドレの口から、そのような言葉が出たので、ジャルママは、キョトンとしたが、気を取り直した。
テキパキと、指示を出しているつもりだったが、この状態にまだ、慣れていないようだ。
「それから、オスカル。
貴女には、私の部屋で過ごすように言いましたが、
それでも、使用人たちが、手を貸してくれ、と来ることは、間違いないでしょう。
それには、どう対応したらいいのか・・・
オスカル、足の一本も折りますか?」
ジャルママから、このような提案が出るとは、思っていなかった。
「わたしの、アンドレの身体を、痛めつけるような事は、絶対に嫌です!」
オスカルが、立ち上がって抗議した。
「ほほほ・・・折らなくても、ギブスでもしていればいいわ。
序でに、腕も三角巾で、吊っておきましょうか?」
ジャルママが、朗らかに言った。
アンドレは、それはいい案だと、ニコニコした。
オスカルは、そんな窮屈な姿で、一か月も過ごすのか・・・と、天井を見上げた。が、
ふと、思い立って、ジャルママに母娘にしか通じない、指令を送った。すると、ジャルママが、驚いたが、そっと、頷いた。
これで、ジャルママとオスカルの間では、アンドレの身体を、一か月間誰にも、分からないよう、過ごさせるめどが立った。
そうして、この月誕生日の、ラストディは、お互いの、生活を教えあいながらも、元に戻るべく、奮闘もして終わってしまった。
そう言って、ジャルママは、顔を覆ってよろけた。
オスカルが、
おくさま・・・、と声をかけた。
アンドレも、
母上・・・、と声をかけた。
ジャルママが、キリッとして、母親であり、ジャルジェ家の、女主人として、言った。
「なんて事なの?
あんなに、国王陛下から、
妊娠だけは、ダメだと、キツク言われていたのに・・・」
オスカルが、
奥さま、そうではないのです。
わたしと・・・
まで、言うと、ジャルママが、
「分かっているわよ。
貴女は、わたしの娘。
そして、アンドレも、8歳からだけど、わたしが、育てたも同然。
あゝ、オスカル!」
そう言うと、ジャルママは、アンドレの身体に抱きついた。
オスカルは、目を白黒させながら、アンドレを見た。が、
「母上、分かっていらっしゃるなら、わたしですが・・・今は、身体は、わたしのアンドレです。いつまでも、抱きついていないでください。」
そう言って、母親を引き剝がした。
すると、ジャルママは、アンドレに向かい、
「アンドレ、まあ、貴方・・・」
と言って、また、抱きついた。
そうすると、オスカルが、また、
「母上、わたしの身体を、こねくり回さないでください。それに、中身は、わたしのアンドレなのです。離れていただきたい。母上は、父上と抱き合って下さい!」
苦情を述べた。
「ほほほ・・・、まあ!つまらない!」
ジャルママは、微笑みながら、2人を、ソファーの方にいざなった。
そして、言った。
「いったいどうしたのですか?
詳しく話して下さい、オスカル、アンドレ」
「はい、母上、
わたしが、ふり向きざま、アンドレを殴ったのです」
オスカルは、それだけ言った。
そして、口を閉じた。
ジャルママは、次の言葉を待った。
オスカルの方からは、出てきそうもないので、
アンドレの方を見て、促した。
はい、それだけです。
アンドレも、そうなのです。とだけ言った。
「たった、それだけなのですか?」
ジャルママが、耐えきれず、尋ねた。
オスカル、アンドレが、うんうんと、首を縦に振った。
「その前に、何かなかったのですか」
ジャルママが、イライラしながら言う。
昼間、散々遊び歩いてきた疲れもあった。
それに、外出する時、2人が会いたい・・・と、言ってきたが、こんなに、込み入った話しだとは、思ってもいなかった。(思う人は、誰もいないと、思うが・・・。)頭も、痛くなってきた。あくびも出そうだ。
また、オスカルが、
「その前に、アンドレと言い合いをして、頭に血がのぼっていました。
The end.」
娘たちの、多分最大級の危機と言うのに、ジャルママは、イライラをもう隠しもせずに、
「それは、いつの事なのですか?
もうこれ以上、一問一答をする気はないのです。
初めから、最後まで、きちんと話して下さい。
オスカルには、無理なようですので、
アンドレ、彼方が、こうなってから、今までの経緯を話してちょうだい!」
迷った。アンドレは、迷った。
オスカルとの、口論は、お互いの誤解から・・・ただし、オスカルが、アンドレの気に入らない、男とダンスをした事も、女殺しとキスをした事も、事実だった。だが、こうなってしまうと、もうどうでもいい事に、思えてくる。
そこで、こうなった経緯は、オスカルが言った通りで、と、言い。
続けて、その後の、対応を伝えた。
2人は、お互いの事に精いっぱいだったので、気づかなかったが、ジャルママは、2人が話していることを、必死にメモっている。
そして言った。
「ずっと、このままだったのですね?
それとも、明日の晩には、元に戻れるのですか?
そうなってくれれば、結構なのですが・・・
戻らなかった場合を考えて、明日の朝・・・
そうねぇ、わたしもオスカルの部屋で、朝食を頂きます。
そこで、これからの事を、考えましょう。
今日は、遅いし、わたしも疲れました。
頭の働きも、鈍っているようです。
あなた達も、もうおやすみなさい。
ただし、思いっきり、ケンカしてもいいから、
戻れる、努力は怠らないように・・・。」
こうして、3人は、まんじりともせず、一夜を明かした。
************************
翌朝、ジャルママが、清々しい様子で、オスカルの部屋に入ってきた。
昨夜より、さっぱりとしている。
食卓が整い、給仕の者が、退室した。
ジャルママは、2人を見て、
「やはり、戻っていなかったのですね」
予想圏内であったようである。
給仕の者達が出ていくと、オスカルとアンドレは、席を交代するのかと、ジャルママが首を傾げた。見かけは、オスカルが、上座に座って、アンドレが入口の方に座っていた。
「味覚は、外側の人間になったままのようなのです。
皿を交換するより、この方が、早いのです。
これも、慣れないものの一つです」
オスカルが、そう言った。
オスカルが、
「今まで、あんな甘ったるいショコラなんて、飲んでいたのが、信じられない。それも、生ぬるいんだ。アンドレ、おまえが、言っていたのが、正しかったな」
すると、アンドレが、反論した。
「何を言っているんだオスカル!この世に、生ぬるいショコラほど、美味しい飲み物は、ないと、おれは認識したぞ。元に戻ったら、鍋一杯に作ってやるからな!」
「やめてくれ、胸くそ悪い」
オスカルが、いかにも、胃がもたれそうな顔をした。
「ほほほ…」ジャルママが、朗らかに笑った。
それを聞いたオスカルが、母上、笑い事では有りません。笑ってる余裕があったら、どうしたら戻るのか、考えてください。
「考えているわ。でもね、あなた達が、当事者で、その時の様子も知っていて、散々戻るよう、試したのですよね。
でも、残念ながら、戻らなかったようですね。
ですから、私は、あなた達が、このままで、明日から、どのように、暮らしていけばいいか、考えています」
オスカルと、アンドレが自分を見た。
そして、それぞれが思った。
明日から、アンドレとして、振る舞う…もしかしたら、一生、このまま、生きて行かなければならない。
明日から、オスカルとして、振る舞う…もしかしたら、一生、このまま、生きて行かなければならない。
2人とも、そこまで、考えていなかった。
マジで、この、月誕生日が過ぎれば戻れるとおもっていた。
ジャルママが、そんな2人を見ながら、話し始めた。
「先ず、オスカルになっている、アンドレ。貴方は、いつも、オスカルの仕事を見ているから、衛兵隊でも、何とか、やっていけると思います。
問題は、オスカルね。
アンドレの仕事は、多岐に渡っているわ。
今日、1日では、覚えるのは、無理だわ。
貴女は、当分、私の手伝いをする。と言う事で、一日中私の部屋で、過ごしなさい。
それと、ばあやね。ばあやなら、一目で2人を見分けます。見分けるだけなら、よろしいですが、アンドレが入っている、オスカルの身体に、ヤキを入れるかもしれません」
アンドレが、真っ青になった。
己の身体に、ヤキを入れられるのなら、とっくに慣れている。
だが、オスカルの身体に、ヤキなんて入れられたら、オスカルの身体に、傷がついてしまう。
改めて、祖母の恐ろしさに、おののいた。
「パリの別邸が、かなり傷んでいます。
そちらの方に、行っていただきましょう。
今夜の24時を過ぎたら、あなた達は、もう会えないのだから、もとに戻るチャンスは、1ヶ月後になるわね。
ばあやにも、年内パリで過ごすよう、命じます。
それから、アンドレ。貴方、ロジェと、ジョルジュを騙し通す自信はあるのですか?」
う!アンドレは、ロジェとジョルジュの姿を思い起こした。
そして、自分がオスカルについていた時の事も、思い出した。
かなりの、演技力が必要だ。コメディフランセーズ並の。
それと、ジャルママが、更に真剣に、おどろおどろしく、言い始めた。
アンドレは、何事かと、腰かけながらも、一歩引いた。
「アンドレ、彼方、3ショコラを、だます事は、出来ますか?
毎日、オスカルの、ありとあらゆる身の回りの事をしてくれています。オスカルの、メンタル面、体調を見ながら、お世話をしているのですよ。」
アンドレから、血の気が引いた。
すっかり忘れていた。
ショコラ3侍女!恐るべき相手が、いた。
アンドレが、オスカルを見た。
泣きそうな顔をしている。
誰よりも、そんな顔をして欲しくない、愛しい女性。
今は、自分の姿をしているが、心は、オスカルだ。
アンドレは、決意した。そして言った。
「やりましょう。
次の、月誕生日まで、オスカルを演じます。
オスカル、今日一日、細かな事を教えてくれ」
アンドレが、ジャルジェ准将の顔で、断言した。
「先ずは、その話し方を変えるんだな!
全て、命令口調、上から目線だ。
今までの、おまえの話し方を、全て忘れろ!」
オスカルが、厳しく言った。
アンドレの口から、そのような言葉が出たので、ジャルママは、キョトンとしたが、気を取り直した。
テキパキと、指示を出しているつもりだったが、この状態にまだ、慣れていないようだ。
「それから、オスカル。
貴女には、私の部屋で過ごすように言いましたが、
それでも、使用人たちが、手を貸してくれ、と来ることは、間違いないでしょう。
それには、どう対応したらいいのか・・・
オスカル、足の一本も折りますか?」
ジャルママから、このような提案が出るとは、思っていなかった。
「わたしの、アンドレの身体を、痛めつけるような事は、絶対に嫌です!」
オスカルが、立ち上がって抗議した。
「ほほほ・・・折らなくても、ギブスでもしていればいいわ。
序でに、腕も三角巾で、吊っておきましょうか?」
ジャルママが、朗らかに言った。
アンドレは、それはいい案だと、ニコニコした。
オスカルは、そんな窮屈な姿で、一か月も過ごすのか・・・と、天井を見上げた。が、
ふと、思い立って、ジャルママに母娘にしか通じない、指令を送った。すると、ジャルママが、驚いたが、そっと、頷いた。
これで、ジャルママとオスカルの間では、アンドレの身体を、一か月間誰にも、分からないよう、過ごさせるめどが立った。
そうして、この月誕生日の、ラストディは、お互いの、生活を教えあいながらも、元に戻るべく、奮闘もして終わってしまった。
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