The Fairy Feller’s Master-Stroke

オスカルはジャルジェ家の紋章の入った、最高級の便箋にいつもと変わらない内容を丁寧に書き連ね、丁寧に封をすると呼び鈴を鳴らし、使者に間違えの無いよう国王陛下にお渡しするよう言づけた。

そして、ため息をついた。いったい何通、嘆願書を書いたことだろう。

未だに宮廷からは、なしのつぶてで、宮廷に参上することも出来ずにいた。最近では、オスカル自身はこのまま生涯、衛兵隊所属でもいいかと、それより近衛隊よりも衛兵隊での方が、やりがいがあるとさえ思うようになっていた。

だが・・・息子たちの行く末を思うと・・・どうしたものかと、考え込んでしまう。特に長男であるレヴェは、温和すぎて衛兵隊ではかなり苦労をしそうである。ヴィーはまだ幼くて未知数だが勇ましいところもあるようだ。彼なら衛兵隊でもやっていけるだろう。その為にはまず、子どもたちの伯爵家の相続権を復帰させなければならない。

乱れていた衛兵隊をうまく纏めたら、アントワネットさまからもお許しがもらえると思っていたが、相変わらずであった。それよりも今では何の『お許し』なのかわからなくなっていた。

単なる、男の取り合いだけじゃないか!それを家督相続まで発展させるとは、何たるお方なのだ!オスカルは憤りを感じた。

そこに「ママン~~~!!!」。レヴェが、サンタさんのプレゼントのレゴが入った袋をズルズルひきずりながら飛び込んできた。もう7歳だが思わずオスカルも駆け寄り抱き上げてしまう。

「ママン・・・今日はママンがアナキン先生と剣の稽古をしたの?」
「ああ、今度衛兵隊に入ってきた士官が、両手使いでな・・・」

「ふ~~~ん、強いの?」
「未だ、私の方が強いが、油断して負けると困るからな・・・
アナキン先生に稽古をつけてもらった」

「なんて名前!?」
「アラン・ド・ソワソン少尉だ」
「どんな人?」

「う~ん、背は・・・結構高いな。それに、もみあげがあって・・・」
「アンドレとどっちが大きい?」
(なんで、この息子は直ぐにアンドレを引き合いに出すのだ?)
「アンドレの方が大きいな」

「わ~~~~い、アランは顎が割れてないの?」
「なんだ?それ?」
「ぼくも、何で言ったのか、わからない・・・」


「アランは士官学校を出ているんだ」わたしたちはレゴを組み立てながら話していた。
「ふ~ん、ママンは『中退』なんだよね!」

「・・・何でそれを知っているんだ?」
「だって、アンドレが言ってたよ!」
(・・・あいつ!わたしの事をそう見ていたのか!それにしても、わざわざ子どもに言うこともないだろうに・・・)

「ママン!聞いているの!?」

「ああ、悪い、悪い、なんだ?」
「アランは、ママンの事好きなの?」
「・・・う~ん、あまり良く思ってないみたいだな!」

「それって、ママンが嫌いだから?それとも、ママンが『女』だから?」
レヴェの言葉にハッとした。・・・

なんとうかつなんだろう!・・・兵士たちが最近命令に従うのですっかり忘れていたが、・・・女と言うだけで、嫌悪感を覚えるものもいるのだ!・・・特にアランの様な奴は・・・女の上司と言うだけで、・・・つまり!わたし自身を嫌っているのではないのだな・・・


と、考えていると、身近の小さな男が叫んだ!
「ママン!何を作っているの?!」
「え゛・・・秘密基地のつもりだが・・・」と手元を見ると、・・・基地と思われる、小屋から尻尾のようなものが伸びている・・・。
「それじゃあ!ネズミのお化けだよ!」

「ママン、秘密基地・・・本物の作ったことあるの?」

「ああ、あるさ!アンドレと木の上や・・・川っぷちや・・・あちこちに作ったな!・・・アンリ爺やも手伝ってくれた!」
「ふ~ん!い~な~!ぼくも作りたいな~」
「作ればいいじゃないか!ミシェルたちと仲良しなんだろう?」
「仲良しだけど・・・」

レヴェが言うには、レヴェの勉強時間と、ミシェルたちはもう少しずつ屋敷の仕事をしているのでの遊べる時間が、合わないそうだった。

「よし!では、みんなの遊ぶ時間が一緒になるようにしてやろう!」
「わ~~~~い!だからママンだ~い好き!」

「分かった、分かった。ところで今日は何を勉強したんだ?」
「今日はね~オビワン先生がジャンヌダルクの話をしてくれたよ!
オビワン先生
ママン、ジャンヌダルク知ってる?」
「当たり前だ!よく知っているぞ」
「ジャンヌダルクはね!ママンみたいに強くて、優しくて、カッコいいけど・・・」
「けど・・・?なんだ?」

「ママンと同じで、彼氏いないの!」
「いなくて、悪かったな!」

「別に構わないけど・・・佐藤賢一のジャンヌダルクは護ってくれていた男の人と最後に一緒になるんだよ!」
「一緒になってから、どうなったんだ?」
「忘れた・・・」

「男と女は一緒になってからが、重要なんだぞ!」
「オビワン先生も言っていた~一緒になってから、二人で努力して、仲良くして、成長するんだって・・・」
「ほ~~!なかなか良いことを教えてくれるんだな!」

「うん!だからね、ママンとアンドレも結婚していたの?」
「はあ~!?話が飛び過ぎていないか?」
「だって、ママンとアンドレも二人で努力して、仲良くして、一緒に大きくなったんでしょ?違うの?」

「ぐ!わたしとアンドレの間にあるのは、友情だ!愛情じゃない!(本当にそうだろうか・・・)」
「でも、友情が愛情に変わるんだって・・・アナキン先生が言っていたよ!」

(ドキ~~~~~~~ン)

「今度はアナキン先生か!それはアナキン先生の事か?」
「そうだよ!アナキン先生はパドメが好きなんだよ!」

「それでは、ダークサイドに落ちてしまうじゃないか!」
「え゛!ママン!なんて言ったの?」
「いや!わたしにも意味が分からない」

「パドメって誰だ?」
「ママン!知らないの~ヴィーの子守りだよ~も~
ママン、最近忙しすぎるんじゃないの?」

このところ、軌道に乗った衛兵隊での士気をもっと挙げようと、策を練っているのは確かだが、・・・この息子はなんなんだ!誰に似たのだ!?隣で寝ているレヴェ(相変わらずわたしのベッドに潜り込んでいる。今はもう、寒くはないのだから、・・・追い出したいんだが、・・・何となく追い出せない)の顔を眺めてみる。

顔は父親似だな!性格は、・・・アンドレはこんなにおしゃべりじゃなかったぞ!どちらかと言うと、落ち着いていて、控えめで、わたしの話をよく聞いてくれた・・・

では、わたしか?わたしに似たのか?まさか!わたしだって、こんなではなかった。・・・と、思うが、・・・自分の事は分からないものだな。・・・友情が愛情に変わるだって、・・・え゛!・・・アンドレは、いつから変わったのかな?・・・気づかなかったぞ!・・・

そう言えば、フェルゼンとデートしておもちゃを沢山買ってきた時、・・・わたしが報告していたのを・・・不機嫌そうに聞いていたな。・・・わたしは、・・・わたしが楽しい事はアンドレも楽しいと思っていたんだが、・・・もしかして・・・あいつを傷つけたのか?・・・

わたしの思考はまたレヴェによって妨げられた
「ママン!起きたり、寝たり、バタバタしないでよ!眠れないじゃないか!」
わたしは、考えに熱中して腹筋運動をしていたらしい。

横になって、レヴェの横顔を見てみる。ますますアンドレに似てきている。

・・・アンドレに・・・会いたいな~・・・大きな胸に包まれてほっこりしたいなぁ~・・・

イカン!ただ、アンドレに甘えたいだけではないか・・・そんな、わたしにアンドレは、・・・そんなわたしは、・・・友情と愛情って何が違うんだ?・・・う~~~~~~~~レヴェの横顔を見ているから、おかしな事を考えてしまうんだ・・・あっちを向こう!・・・・・・・・・ダメだ!なんか寂しい、・・・

オスカルはレヴェの肩に顔を寄せて、レヴェの(アンドレの)匂いに包まれて眠ってしまった。枕元には、レヴェの作ったレゴの、アンドレとオスカル、レヴェ、ヴィーとオスカルが作ったネズミのお化けのような秘密基地が並んでいた。
queenレゴ

 ↑この画像は筆者の趣味です
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By Justin Bieber
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