♪Death On Two Legs

日々が一見、穏やかに過ぎていく・・・オスカルも世情の変化に対応しながら、仕事をこなし、育児もこなしている。体力的にきついだろうから、少しは人に任せた方が良いのではないか・・・と、おれは、思ったが、仕事のストレスが、子どもたちを相手にしていると発散出来て良いそうだ。

まあ、平民の母親とは違って、雑用がない分だけましだろうと、おれは、見守る事にした。始め、オスカルだけを見守っていれば良かった。しかし、そのうちジュニアが自己主張をし始めた。長女が生まれる前はオスカルも余裕で、かわしていたが・・・アリエノールが生まれ・・・彼女も喋れないながらも、自己主張を始めた時・・・オスカルは、2人の子ども相手に、むきになって応戦を始めた。

いつの間にか、おれは、三人の子持ちになってしまったようだ。

オスカルは、子ども相手の応戦に勝つと得意げに、ガッツポーズを決める。子どもたちも、これはもっぱらジュニアだが、・・・勝つと嬉し気に、母親譲りの口角をキュッと上げて得意そうな顔をする。しかし、負けると、おれに向かって突進して、おれの片足にしがみついて、男泣きをする。

一方、言って聞かせる事が出来ない、アリエノール相手でも、オスカルはムキになって、身振り手振りで、戦を仕掛ける。そうすると、まだ、話す事が出来ないアリエノールも、う~、とか、あ~~~あ~~~、と、言って応戦する。

おれが見ていても、全く、会話になっていないようだが、当の2人にとっては、通じているようだ。暫くすると、アリエノールが、根負けして、ヨチヨチとおれの方に、顔をしかめながら歩いてくる。しかし、おれの方を向く前に、しっかりと、オスカルの頬を、パチンと殴る事・・・しかも、グーでだ!・・・を忘れない。

そして、歩きながら、泣き顔になり、おれに抱きついてくる。一方のオスカルも、まだ幼い娘に殴られたのが悔しいのか、こちらも、四つん這いになりながら、おれに抱きついてくる。

おれは、アリエノールを抱きとめながら、もう一つの手でオスカルの背中をなでなでして、気持ちを落ち着かせる。そうしていると、泣き止んできた、アリエノールが、オスカルに気づいて、オスカルの頭をなでなでする。

娘になでなでされて、ムキになった事を、済まなく思った、オスカルが、アリエノールを抱きしめる。

ほとんど、毎日がこれの繰り返しだ。勿論、司令官室でも、起きる。

世の中の父親とは、こういうモノなのだろうか?
はたはた疑問だが、これもまた、幸せというのだろう。

そんなある夏の日、アリエノールが初めての誕生日を迎えて盛大にお祝いをした数日後、衛兵隊では面会日を迎えていた。

兵舎の方からは楽しそうな声が聞こえてくるが、ここ司令官室は相変わらず、ロンパールームだ。ジュニアも年が明けて誕生日が来たら、家庭教師を雇って、そろそろ勉強を始めなければならないので、この夏がわんぱく出来るラストチャンスだ。

書類仕事をしているオスカルも、時たま手を休めて、子どもたちを見守り、また、兵舎の方の声を聞いて、微笑んでいた。

「少し疲れた。・・・気分転換に外に出るか。
今日なら子どもたちを連れて行っても構うまい!」

オスカルが、伸びをしながら言った。ああ、今日は和やかなムードだ、構わないだろう。・・・とおれは、アリエノールを抱き、オスカルはジュニアの手を取り司令官室を出た。
旦那さま、・・・もとい、ジャルジェ将軍の部屋も気持ちがいいのだろう、扉が開け放してある。

すると、前方の部屋から女の悲鳴が聞こえた。
と、同時に一人の兵士が勢い良く走って来ると、件の部屋に飛び込んだ。

オスカルと目が合った。旦那様も部屋から出ていらした。
おれとオスカルは、子どもたちを旦那様に渡すと、その部屋に向かって走った。

男が二人殴り合っている・・・。
ヴィザビエ中佐とソワソン少尉だった。
ソファには、ソワソン少尉の妹、ディアンヌが真っ青な顔をして恐怖で、震えながら座っている。

おれは、オスカルにディアンヌを頼むと、2人の男を止めに割って入った。おれが入る頃には、ヴィザビエ中佐は殆どノックアウトされていて、顔が血だらけだった。

それでもなお、ソワソン少尉は、「この野郎!よくも、よくも、大事なディアンヌを・・・」と、言いながら殴り続けていた。

ソワソン少尉こと、アランをようやっと引きはがすと、戸口に旦那さまを先頭に野次馬がわんさかと、群れていた。

オスカルが、
「何でもない・・・諸君、各々の持ち場に帰れ!」と、一言言うと、旦那さま、衛生班を除いてみんな蜘蛛の子を散らすようにいなくなった。

「わしが、・・・ヴィザビエ中佐から話を聞こう。・・・衛生班、衛生室に運んで手当を頼む。」
と、ジャルジェ将軍は言って、子どもたちをオスカルに渡した。

オスカルは、アリエノールを抱いてジュニアを促し、ディアンヌの肩に手をやって、司令官室へと連れて行った。
アンドレは、ようやく落ち着いてきたアランを伴って、アランの部屋へと向かった。

  *************************

それぞれから話を聞き終わった三人が、司令官室に集まった。
話をすり合わせていくと、大体の見当がついた。

面会に来たディアンヌに、ヴィザビエ中佐が「お兄さんは、わたしの部屋に居るから、一緒にいらっしゃい」と、誘い出し、部屋に入れ暴行をはたらこうとしたようだ。

一方のソワソン少尉は、ディアンヌが見当たらないので、面会室にいた兵士たちに聞いたところ、ヴィザビエ中佐と奥に向かって歩いて行った。と、聞き慌てて、ヴィザビエ中佐の部屋に向かったとのことだった。

ただ、ヴィザビエ中佐の発言に違和感があったので、おれは、中佐とディアンヌが会話をした面会室にいた、隊員何人かから証言を集めた。

結果、旦那さまもオスカルも有無を言わさず、ヴィザビエ中佐の営倉入りを命じた。そして、アランには自宅謹慎という名目で、ディアンヌの側にいられるよう配慮した。

オスカルが、宮廷に行って来ると言った。おれも供をすると言ったが、アントワネットさまにお会いするだけだ。・・・子どもたちを頼む。・・・と言って、出かけていった。

  *************************

「まあ!なんですって!?オスカル!
そんな、年端も行かない、若い娘を、・・・なんて事でしょう!
それで?その男はどうしているのです?」
「今は、営倉に入れています。」

「そうですか。顎を砕かれては、もう女性を口説くことはできないわね!
でも、悪さをすることは出来るのよねぇ?!
その男の素性はどうなの?」

「はい、このヴェルサイユでは、当然の事ですが、・・・愛人や妾は何人も・・・
他にも、面会の度に、面会に来る隊員の家族にちょっかいを出しているようで、
隊員達も上官故、困っていたようです。」

「そう、それは困った上官だことね。
ねぇ!オスカル?どんな、罰を与えたらいいと思いますか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・終身刑・・・ですか?
・・・・死刑と言いたいところですが、・・・・・・・・」


「う~ん、それじゃあ、生ぬるいわ!
周りに美しい女性がいるのに、・・・・
・・・・手が出せない!・・・・
・・・・そんな、状態にしてしまうのは、どうかしら?」
「え゛!?いったいどういう事ですか?アントワネットさま?」

「ふふふ( *´艸`)、貴方は、まだまだ未熟ね!オスカル!
・・・・取っちゃえば良いのよ!」

「取る。・・・・・・・・ですか?・・・・・・・・何を?・・・・・え゛!・・・・・」

「そう、中国では後宮に勤める殿方が、するのだそうですけど、
・・・・・・・・宦官・・・・・・・・
っていうそうですが、・・・・・・・・ちょん切っちゃうのよ!」

「・・・・・・・・あの~棒の方だけですか?・・・・・・・・」

「まさか!両方よ!
・・・・・・・・命を落とす人もいるそうだけど、・・・
女を人間と思わない人間には丁度いいわ。
・・・・・・・・で、刑の執行は、・・・・・・・・オスカル、やりますか?」

「・・・・・・・・い・・・いいえ、血を見るのは構わないのですが、・・・・・・・・」

「そうよねぇ。あんなの、愛する人のじゃなきゃ、見たくないわよねぇ!」

「ア…アントワネットさま!((+_+))」

「ふふふ( *´艸`)、適任者がいるわ。
マリー・ジョセフ・サンソン、『プレヴォテ・ド・ロテル』
彼女なら、殺さずに上手くやってくれるわ。

そして、その男には、退役軍人として、このヴェルサイユで
のんびりと暮らしてもらう事にするわ。
美しい女性たちに囲まれてね・・・でも・・・ふふふ( *´艸`)」

「それから、・・・・・アントワネットさま、被害者の兄ですが、
自宅謹慎を申し付けておりますが、どういたしましょうか?」
「可哀想に・・・・・・・・優秀な隊員ですってね。そうねぇ~
もう、人事には首を突っ込まないって決めたのですけど、・・・・・・・・
今回だけは特別という事で、・・・・・・・・

ソワソン少尉、でしたね。中尉に昇進としましょうね。
それで、妹さんの傷が癒えるまでは、側にいるよう、
オスカル!
気遣ってあげてくださいな」


「そうそう!オスカル!宦官になろうとする人の中には、切り取ったのを、ホルマリン漬けにして大事に持っている人もいるそうよ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あちゃぁ!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

  *************************

その晩の、若夫婦の寝室では、
「なあ!アンドレ、あそこをぶった切るのは・・・・・・・・痛いのか?」
「ブッ!当ったり前だろう!オトコの急所だ!死んじまう!」
「うん・・・王妃様も死ぬかもしれないって言っていた。・・・」
「でも、これで、アランも少しは、気が収まるんじゃないかな」

「(。´・ω・)ん?なんだ?オスカル?」
「おまえは、浮気なんてしないよな!?」
「もちろんだとも!」

「でも、おまえは、・・・わたし以外の女を知っている。・・・」
「そ・・・それは、・・・オトコなんだから、しょうがないじゃないか、・・・」
「なんか・・・それは、違うような気がする。・・・

じゃあ、おまえは、わたしが、おまえが初めてのオトコじゃなくても、愛したか?」
「え゛!?変わらずに、愛したさ!
だけど、・・・おまえがおれの為に、大切にしていてくれていた。
と思うと、もっと愛しくなるな!」
「・・・・・・・・なんか・・・複雑だな、・・・・・・」


BGM Give You What You Like
By Avril Lavigne
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