♪Action This Day
6月20日 会議場が閉鎖された。しかし、平民議員たちは、決してめげることなく、ジュー・ド・ポームに集まった。アンドレもあの中にいるはずである。今、わたしの心の中にはアンドレの思いと共に、平民議員たちの思いも、流れ込んでくる。
そのお陰で、わたしは自身の任務に誇りをもって、取り組む事が出来る。ただ一つ、現在進んでいる事態が、決して平和な方向に向かっているとは言えない事が、わたしを不安にさせる。
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混乱した状態を、いっきに解決しようと、国王は3つの身分の議員たちを、ふたたび一堂にあつめた。それは6月23日、しのつく雨が、黒い空からふりつづける日であった。
平民議員は正面入り口から、入場する事が出来ず、雨の中をジッと耐えて待っていた。もちろん、わたしのアンドレも、・・・彼を見ると、6月の雨をものともせずに、マントの肩先に溜まった雨粒が、じゅーじゅーと湯気を立てて、蒸発しそうなほどの熱気を見せていた。もともと、熱いオトコだとは思っていたが、ここまで熱いとは恐れ入った。
そして、司令部に戻ると、ブイエ将軍が命令を携えて父上の元に来ていた。・・・と、同時に激しくやり合う声がわたしの部屋にまで聞こえてきた。何事かと廊下に出ると、父上の部屋から出て来るブイエ将軍に出会った。・・・・・・・・ジャルジェ将軍の軍務証書は預かった。・・・兵士たちには私から命令する。・・・・・・・・と、言って立ち去った。その先には、ソワソン中尉も居た。
わたしとソワソン中尉が父上の部屋に入ると、ブイエ将軍とのやり取りを聞かされた。愕然となったわたしは、思わずアンドレの姿を探してしまった。そうだ!彼があの中にいるのだ!
練兵場からは兵士たちの叫ぶ声が聞こえた。・・・・・・・・ブイエ将軍の命令を拒否したようだ。・・・・・・・・戻ってきた、ブイエ将軍が言った。見せしめのために兵士12人を銃殺にすると。そして、代わりに近衛兵が、件の命令を実行していると。
わたしは、部屋を飛び出そうとした。
すると、たまには老兵に花を持たせろ!と父上がソワソン中尉を従えて飛び出していった。
父上、・・・・・・・・貴方は、最大のわたしの見せ場を、奪ってしまうのですか、・・・・・・・・
仕方なく、わたしは屋敷に戻った。・・・・・・・・間もなく、父上もソワソン中尉を従えて戻ってきた。「後は、・・・頼んだぞ!」と、父上は言い残して自室に籠った。
わたしは、ソワソン中尉に夜更けにパリに行く、供をしろ。と、告げると久し振りに子ども部屋に行った。待っているのは嫌いだ。直ぐにでも行動に移したい気性のわたしだが、今はまだ、動く時ではない。そんな時に、子どもたちと言うのは、何も問わずわたしを受け入れてくれる。どちらが育てられているのか分からなくなる。
漸く暗くなると、わたしはソワソン中尉を従えて、馬と共に門を出ると、そこにジェルメーヌが居た。
「わたしも、一緒に行くわ!」
「牢やぶりをするわけではないぞ!」と言うと、
「分かっているわ。・・・フランソワたちを助けるのでしょ!それには、ジャルジェ将軍の権威は無くなったわ。公爵家の権威もあった方がいいかもしれない。・・・だから、・・・連れて行って!」
心強い味方が出来た。・・・女二人でアランを見た。・・・護衛だな。・・・と思った。
30日ベルナール・シャトレの助力で、フランソワら12人はアベイ牢獄から釈放され、護送馬車でヴェルサイユまで運ばれてきた。そこには、班の垣根を飛び越えて衛兵隊勢ぞろいで、釈放された1班を歓迎する輪が出来ていた。むろん、アンドレも姿を見せ、フランソワ、ラサール、ピエール、ジャンに囲まれていた。
それからしばらくは、それらに比べればだが、平穏な日々があった。
・・・・・・・・・・・が、7月11日夕涼みをしていると、チュイルリー宮広場への出動命令が出た。2個中隊を選ばねばならなくなった。だが、わたしの心はすでに決まっていた。もしもの場合、どの隊を選ぶのか。・・・
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いざ、出動の前の晩となると、わたしは何時までも、寝付けないでいた。軍人として育てられ、生まれながらの武官、とは言っても、実戦経験は皆無だった。果たして、その時、わたしは、冷静に指揮を執る事が出来るのだろうか、・・・気持ちは昂るばかりだった。
眠らないと、・・・と、焦るほどに目は冴えてきた・・・。
そこに、懐かしいぬくもりが忍び込んできた。
もう、何日も顔を見ていない、最愛の夫。
「おれも、行くぞ!!!!」
「アンドレ!!!」
「どうして、おまえが行くのだ?おまえは、議員だろう?」
「議員の前に、・・・おまえの、『遊び相手兼護衛』だ!
それに、・・・今日は、結婚記念日だ!一緒に過ごしたい!」
こんな非常時に、こいつは何て明るく言うのだろうか・・・。
思わずこちらまで吸い込まれて、
『よしよしヾ(・ω・`)一緒に行こう!』と言いだしたくなってしまう。
・・・・・・・・・・・言いだしたくなって、言ってしまった。
翌朝、父上、母上が玄関ホールまで、見送りに出ていた。
むろん、父上の手にひかれてジュニアと、母上と手をつないでアリエノールも居た。
「ママン、パパ・・・ぼくも大きくなったら、ママンやパパみたいにカッコよく出動して、2人を助けるからね」とジュニアが言う。
わたしは、
「ありがとう、ジュニア。
だけどな、ジュニア。
おまえとアリエノールが大きくなる頃、
平和な世の中になる為にわたし達は、出かけるのだ。」と、答えた。
「子どもたちの事は、任せなさい。・・・但し、一時的だ!」と父上が仰った。
「もちろんです。わたしは、母親です。子どもの為にも、生きて戻ります」
「旦那さま、奥さま、わたしが、必ずオスカルを連れて帰ります。」
「うむ、戦闘が始まったら、私達は、一旦アラスに向かう。
モンブラン一族と共にな、・・・
おまえ達も落ち着いたら、そちらに向かうがいい!
いくがいい、おまえのえらんだ道を
その情熱の命ずるままに、・・・・・・・・」
わたしは、相変わらずシロノワールに、アンドレはキタサンブラックが引退したので、ヤジサンブラックに乗り、衛兵隊へと向かった。
わたしの心に迷いはなかった。
「 前 進 ! 」
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アンドレが、逝ってしまった。
それなのに、わたしは、何をしているのだろう・・・・・・・・。
目の前にある、巨大なバスティーユに向かって、感情をぶつけている?
イヤ、違う、わたしは司令官だ!隊員達とシトワイヤンの安全を確保しながら、
バスティーユを落とすことに、専念するのがわたしの任務だ。
身体を何かが貫いた。
強烈すぎて感覚もなかった。
ソワソン中尉が、走って来る。・・・・・・・・ああ、そうか、・・・わたしは、撃たれたのか・・・・・・・・。
これで、アンドレの元へ行ける。また、アンドレと共にいられる・・・・・・・・。
子ども達は・・・・・・・・?
父上が、いる。・・・母上も。・・・
シモーヌもいる。・・・パパアンドレもいる。・・・
元気に育って欲しい・・・・・・・・。
アラスで・・・・・・・・。
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Be my partner
Be my pal
Be my gal
Be my rock
Be my friend
Till the end
「イヤ!今度はわたしの方からだ!
わたしの方が、先におまえを愛して、告げて、
そうだなぁ、姿をくらましたりしないで、告って告って・・・
おまえを振り向かせるんだ!」
「ジャルジェ家を出たこと、気にしているのか?悪かった・・・・・・・・
それから、おれは、お前に会った瞬間に恋に落ちるから、おまえが手練手管を駆使して落とす必要はなさそうだな」
「おまえが屋敷を出たのは・・・ショックだったけど・・・
今では、その選択しかなかったと理解できる。
わたしに会った瞬間に恋してくれるのは嬉しいが、少しは迫ってみたいな」
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「おじょうさま!起きてくださいな!朝でございますよ!」
「(。´・ω・)ん?・・・・・・・・」
「いくら夕べ、アンドレと飲んでいたと言っても、もう起きてくださいませ!」
ば、・・・ばあや?
「アンドレは、もう玄関でおじょうさまを待ってますよ!」
え゛!?アンドレ!?
BGM It’s gonna be All Right
By Brian May & Kerry Ellis
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