ロドリゲが、オスカルの執務机に寄って来た。
手元を見ると、ちょっとサインしてみろ!と声を掛ける。
オスカルが、書類にサインすると・・・、

「ふむふむ。この山は、サインするだけでいいのだな?
それでは、おれが、担当しよう」
と、一山まるごと、どっさりと書類を持って、空いている机に移動した。

「ああ、そうだったな。
ロドリゲは、筆跡を真似るのが得意だった!」
ラ・トゥールが、感心したように言いながら。

「こっちは、返信が必要な物か、・・・
よしよしヾ(・ω・`)おれが、返信の下書きをしよう!」
またまた、ドサッと一山持って、移動した。

「さて、・・・おれは、どうしようか?
おれではないと、出来ないものはあるか、オスカル?」
ド・ギランドが、楽しそうに聞いてきた。

それならば、と、オスカルは隊員たちの、とんでもない要望書やら、感想文、果ては、恋文を見せてみた。

ド・ギランドは一枚を取り上げて、サッと目を通すと、
「ふん!おまえ、この程度が、読めないのか?
船の上では、このくらいのしょっちゅうだぜ!
任せとけ!」

ド・ギランドも、書類と格闘を始めた。

オスカルの目の前が、スッキリとした。
スッキリすると気分もよいものである。
オスカルも、今日初めて、気分良く、『目を通してからサイン』の山に、挑んだ。

司令官室はし~~~~~~~~んと、ペンの走る音だけが聞こえていた。

暫くすると、1人が声を上げた。
「お~し!」
すると、ほかの2人も、
「終わったぞ!
オスカル!そっちはどうだ?」
異口同音に、声を掛けた。

ロジェは、長い一日の終わりかと、ホッとした。
しかし、・・・・・・

オスカルは、
「こちらも、だいたいOKだ!
よし!出かけるとするか!

お前ら、それが目的で、此処に来たのだろう?!」
「ふん!相変わらず、察しが良いな!」

「ああ、俺たちは、おまえの、・・・
おまえが、晴れて女に目覚めたのを、祝いに来たのだ!
今までの、事務仕事は、ご祝儀と思えよ!」

「うん・・・、分かっている。
さあ!店は押さえてあるのだろう!
ロジェ、馬車の支度をしてくれ!」

「おいおい!オスカル、俺たちは、豪華なベルリン馬車で来ている。
皆で乗り込んで、行こう。
勿論、帰りもちゃんと送るから、心配するな!」

「・・・と、言う事だ。ロジェ、馬車は屋敷に帰して、
おまえは、・・・・・・」

これで、やっと、帰宅かと思っていたロジェは、めまいがしてきた。
しかし、ここでオスカルさまと別れたら、大好きな兄貴分のアンドレに面目が立たない。
何処に行くのか、分からないが、付いて行くしか仕方があるまい。

「お供させて、頂きます。」と、告げた。

「ふむ、では、馭者にはそのように伝えておまえは、付いてくるがいい。
こいつらとなら、アンドレも公認だ。心配する事はない!

美味い酒と、料理にありつけるぞ!」
美しい女主人にこう言われて、始めてロジェは顔をほころばせ、自分がかなり空腹である事に気付いた。

「はい、私は、オスカルさまがお屋敷に帰るまで、お供せよと、アンドレの言いつけでございます。お邪魔かと思いますが、お供させていただきます。」

こうして、一見、訳の分からない、・・・ロジェから見たら、・・・オスカルと、3人のいかついオトコと、その侍従たちは、ベルリン馬車に乗って、ヴェルサイユの歓楽街へと向かった。

  *************************

馬車が走っている間に、この訳の分からない、読んでいらっしゃる方にとっても、初めての3人の紹介をしよう。

4人は、陸軍士官学校の同窓生という事は、先に書いたとおりである。
しかし、年齢はまちまち、所属している軍も、違う。
が、どこか馬が合う4人は、軍務についてからも、たびたび集まっては、旧交を重ねてきた。

勿論、そこにはアンドレの姿があったのは当然である。
当然、LINEのグループもある。
名称はかつて、彼らが豪語していた4人組の名。
・・・・・・ヴェルサイユ四剣士隊・・・・・・である。

また、オスカルは知らないが、男たち3人と、アンドレのグループも出来ていた。

そして、
先ずは、ロドリゲ・・・彼は、近衛連隊長付きの副官で、大佐である。オスカルより5歳年上の38歳。妻子はあるが、親が決めた結婚の為か、夫婦仲は、冷ややかで、愛人を何人も持ち、王宮警護の合間にも宮殿内の女性に目を配る事を、楽しみにしている。・・・まさに、有閑貴族を絵にかいたような男である。

次は、ラ・トゥール・・・陸軍連隊長、こちらも大佐であり、38歳。男盛りだが、ヴェルサイユでは珍しく、妻を愛しているらしく、愛人も持たず、つつましく暮らしている。また、一男一女に恵まれ、これまた、ヴェルサイユの貴族では、珍しく手元に置いて、育てている。このような点が、ジャルジェ家に似ているのかもしれない。

最年長が、ド・ギランド・・・陸軍士官学校を卒業し、陸軍に配属されたが、ある時、男に目覚め、男に囲まれていたいと、船に乗る事に決め、海軍に鞍替えした。42歳の豪傑である。

先のアメリカ独立戦争にも、艦隊を率いて、勇ましく活躍したのは、今でも、ヴェルサイユの人々の語り草になっている。
おっと、忘れていましたが、勿論、こんな訳であるので、独り身である。
付け加えれば、彼の従者は、彼の寝室までも出入り自由なのは、公認の秘密である。

だが、3人とも、オスカルに対しては、女扱いはしないものの、紳士であった。飲みに行っても、椅子を引く事もなく、オスカルが手酌で酒を飲もうと気にせずにいたが、反対に、男ばかりで飲むと、必ずといっていいほど出てくる、猥談、下品な物言い、などは決して口にしなかった。

無論、そんなことオスカルは、気付かなかったが、アンドレは、鋭く気付いて、この3人とオスカルが付き合う事には、口を挟まなかった。

  *************************

さて、そろそろ、馬車が店に着いたようである。
最初に馬車から飛び出してきたのは、ラ・トゥール。
従者を待たずに、店のドアを勢い良く開けた。
店主が飛び出してきて、予約しておいた席へと案内した。

そこは、宮殿からほど近いが、気取った貴族は近寄らない。
畏まって食事をするよりは、大いに呑んで、食べて、そして大いに騒げる店だった。

いつもなら、4人も、従者を従えて、広間に陣取るのだが、
今夜は、ラ・トゥールが気を利かせて個室を押さえていた。
洒落た内装の、落ち着いた雰囲気の部屋に通された。
丸テーブルが2個あり、それぞれに4客ずつ椅子が置かれていた。

当然のように、手前のテーブルに従者たちが座り、四剣士隊の面々は奥に座った。

ラ・トゥールが、乾杯にとシャンパンの、メガボトルを持ってくるよう、給仕に伝えた。
ド・ギランドは、勝手知ったる、この店のメニューも見ずに次々と料理をオーダーする。

メガボトルと8個のシャンパングラスが並ぶと、ド・ギランドが、乾杯の音頭を取った。
珍しく、畏まっている。

「おっほん!
え~、本日は、お忙しい中、また、恋人と逢引きをしたい中、
このような席にお集まりいただいて、はなはだ恐縮でございます。

が、私達の、弟分オスカルが、晴れて、半分妹分になったのであります。
お相手は、皆さまもご存じのアンドレですが、
本日は、しかるべき事情にて、出席する事が、かなわず、
ここに居るオスカルも、寂しく思っている事と思いますので、
皆さまも、そこの所よ~~~~~~くわきまえて、
オスカルを悲しませないよう・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・」

「もう、前置きはいいぞ~乾杯だ!乾杯だ!
シャンパンの気が抜けるぞ!」×2

「では、そう言う事なので、愛に目覚めた、我らがオスカルに、
乾杯!」

「乾杯!」×4+従者4

「ありがとう、諸君、だが、改めて席を設けるような事ではないし、
特別、祝うような事でもないと思うが、・・・・・・・・・・・・」
オスカルが、まんざらでもなさそうに、頬を染めながら、言った。

「そんな事はない!」×3
「そうだ!そうだ!」×3

「今まで、おまえだけが、色恋沙汰から無縁だったのだ。
今夜はた~~っぷりと、これまでの経緯を聞かせてもらうからな!」
兄貴分らしく、ラ・トゥールが、頷きながら詰め寄った。

運ばれてきた、料理と格闘を始めた、ロジェは、またまた、青ざめた。
呑んでいる場合ではない!ゆっくり食事をしている場合ではない!
この女主人の、今日一日の様子を、全てアンドレに報告しなくてはならない使命があった。

そっと、椅子を主人たちの方に向け、話し声が聞こえるようにした。
他の3人の従者を見渡すと、皆顔見知りの様で、雑談しながら、のんびりと過ごしている。
この場で、気を抜けないのは、可哀想なロジェだけであった。

が、その中の一人が、話しかけてきた。
「おい!アンドレの代わり!名は何というのだ?」
「おお!これから、しばらくは、アンドレの代わりに来るのだろう?
仲良くやろうぜ!」

「そうそう、あっちは勝手にやっているし、主たちの話を聞いちゃあ、不味いぜ!
まあ、アンドレなら、特別待遇で、iPhoneも持っているしで、
あっちのテーブルについていたが・・・俺たちは、俺たちだけで、楽しもうぜ!」

こうして、哀れなロジェは、オスカル達の囲んでいるテーブルから、関心を離され、侍従たちと、呑んで、食べる事になってしまった。

もっとも、彼らも気のいい奴らばかりで、楽しい時間を過ごしたのは、勿論だった。また、屋敷に帰ってからも、アンドレから、この会合については、何も聞かれなかったので、一応、ホッとした。

  *************************

ロドリゲが、何杯目かのシャンパンを口にしながら、聞いた。
「何時頃から、アンドレを『男として』意識し始めたのだ?オスカル?
おまえたちは、ずっと幼い頃から一緒で、しかも、おまえは、アンドレを男としてみていなかったと、俺たちは、思っていたが、・・・・・この辺は、間違いないな?」

いきなりの、的を付く質問にオスカルは、一瞬うろたえた。

うろたえながら、・・・・・はて、自分は一体何時から、アンドレを異性として、思い始めたのだろうか?と、考え始めてしまった。

まだ、恋愛に対して、初心なオスカルであった。しかし、アンドレとの事は、今現在オスカルにとって、最大重要事項であり、真剣に向き合うべき事柄でもあった。

考えてみる。・・・・・ずっと、幼馴染みであった。
それが、壊れたのは、・・・・・アンドレが、少々乱暴な愛の告白をした時。

その時の事を、思い出すと、オスカルは、自然と頬が赤くなり、
頬に両の掌を当てた。

カシャ!

スマホの音がした。
「おっ!撮ったのか!?」
ロドリゲが、感嘆の声を上げた。
ド・ギランドが、おお、決定的な瞬間を収めたぞ!と、得意そうに言った。

「こんな、オスカルを見た事ないものなぁ!」
ラ・トゥールも、嬉しそうである。
「見せろ、見せろ!」

当の、オスカルは、まだ、己の思考の中を漂っていて、こちらの世界に戻って来ていない。

「ちょっと待て!これを・・・・・LINEで、アンドレに・・・・・送信!」

アンドレの、名前に反応した、オスカルが、やっと戻って来て言った。
「おい!なんで、何をアンドレに送ったんだ!?」

「おまえの、アンドレを想う、乙女な姿!」
「え゛!?」
「いいの、いいの、おまえは知らなくて、
アンドレは、これから、次の月誕生日まで、恋するおまえの写真を見て、メロメロしながら、過ごせるんだから、俺たちに感謝しろ!」

「イヤだ!馬鹿にされてる!なんか・・・馬鹿にされているような、気がする!
それになんで、おまえ達が、アンドレに、LINEが送れるのだ?」
まんざらでもない様に、オスカルは口を尖らせた。

「ハハハハハ・・・知らないのか?俺たち3人と、アンドレはLINEのグループになっているんだ。おまえと飲みに行く時、おまえにLINEするより、アンドレに、初めに確認した方が、手っ取り早いからな!それから、おまえと、俺たち、4人のグループにLINEしていたんだ。」

「そんな事より、おまえの、恋愛遍歴だ!・・・・・と言っても、可愛いものだがな!
俺たちは、おまえの初恋。北欧の騎士への甘い初恋の頃から、おまえを見守ってきたんだぞ!」

『北欧の騎士』と、聞いて、オスカルは、飛び上がった。
「何を驚いている?
アントワネットさまを見つめる、フェルゼンを、さも、アントワネットさまを護衛しているふりをして、フェルゼンの事を恋する瞳で見ていたのを、俺たちが知らないとでも思っていたのか?」

「まあ、あれは、・・・・・恋に恋する乙女って感じだったけれど、その後ろで、おまえを見ていた、アンドレが、可哀想だったなぁ!?」

「ああ、そうだったな!」×3

「ア・・・・・アンドレが?アンドレは・・・・・その頃から、わたしを見ていたのか?」
「ハハハハハ・・・そこに、反応するか?」
「ああ、アンドレは、いつの頃から、おまえを見ていたんだろうな?」

「うん・・・気が付いたら、恋する男の目をしていた」
この言葉に、オスカルは、今度は頬のみではなく、顔を真っ赤にしてしまった。

カシャ!

また、シャッター音が響いた。
「今夜は、いいショットが、多いな!
嬉しくなってしまう!」

「もう、止めてくれ!
あいつの胸には、わたしの姿が、焼き付いているはずだ!

わたしだって、こうして目をつぶれば、
アンドレの姿が、・・・・・・・・・・・・」
オスカルは、うっとりと目を閉じたものの、アンドレの姿が、おぼろげにしか浮かんでこなかった。

焦り始めた。どうしてなんだろう!愛しいオトコの顔が、出てこないなんて、
・・・・・アンドレ・・・・・思い浮かべてみた。
・・・・・自分の後ろを歩く、気配を感じた。

そうか、・・・いつも、わたしの後ろを護って、歩いているから、姿を見る事も、顔を見る事も、あまりなかったのだ。・・・・・とすると、アンドレは、わたしの後姿しか知らないのか?
ショックだった。こんなにも愛しているのに・・・・・。

静かになってしまったオスカルを心配して、ド・ギランドが、声を掛けた。
「ごめん、ごめん。やり過ぎたか?」
「イヤ、ありがとう、ド・ギランド。アンドレも喜ぶと思う。
陛下から禁止されているから、わたし達はLINEも出来ないんだ。

それに、出会ってから、こんなに長い時間、離れていたのは初めてだから、
わたしの写真を見て、たらしでこましのアンドレも安心していると思う」

「え゛・・・」×3

「おまえ、何を言っているのか、分かっているのか?」
ラ・トゥールが慌てふためいた。

「え゛・・・だって、アンドレは、『たらしでこまし』なんだろ?
意味は分からないが、今朝ばあやが、言っていた。
どういう意味なんだ?

『イイオトコ』か?『品のある、優しくて、頼りがいのあるオトコ』の事か?」
至極真面目にオスカルは、聞いてくる。

呆気にとられた、3人のオトコは、何と答えてイイやら、目を白黒させて、お互いを見回し、誰が答えるか、無言で示し合わせていた。
しびれを切らした、ド・ギランドが、意を決して口を開いた。

「オスカル、その時、誰が居たんだ?」
「う~ん、ばあやに、母上、それからアンドレが給仕をしてくれていた。」

「そうか・・・その時、誰か、何か言わなかったか?」
「あ!母上が、『たらしでこまし』は、使わない方が良いと仰っていた。
そうしたら、アンドレも頷いていた。

だから、意味が分からないままなのだ。
おまえ達なら、知っているだろう?
教えてくれ?アンドレを形容する言葉だから、知りたいんだ!」

ロドリゲは手を額に当てながら、神妙な顔をして、
「オスカル、良く聞け、『たらしでこまし』は、本当は
『ろくでもないオトコ、しょうもないオトコ』の低俗な言い方だ。
おまえなんかが、使うような言葉ではない、
それに・・・アンドレにもふさわしいとは言えないな!」

オスカルは、この親友の言葉を聞いて、首を傾げた。
「ろくでなし!は、ばあやがいつもアンドレに言っているぞ!」

「ハハハハハ・・・おまえが、『たらしでこまし』の見本じゃないか?ロドリゲ!」
思わず言って、ラ・トゥールは慌てて口を閉じた。

オスカルの頭の中では、【最愛で、品のいいアンドレ=身持ちの悪いロドリゲ】と、ならず、渋い顔をしていた。

「だから、アンドレは、『たらしでこまし』じゃないんだよ!
それに、オスカル、おまえが使うような言葉でもない。
これで、十分だろう?」ド・ギランドが、年長らしく、話を締めた。

その時、ド・ギランドのスマホが、カチョンと音がして、着信を知らせた。
「お!アンドレから、返信が来ているぞ!

『写真、ありがとうございます。オスカルが、楽しそうで何よりです。
私からは、直接伝えられないので、主人にお伝えください。
楽しい夜を過ごすように・・・・・と、アンドレ』
だとよ!良かったなぁ!オスカル!」

「(*・ω・)(*-ω-)(*・ω・)(*-ω-)ウンウン♪」
「・・・・・で、何時からなんだ?オスカル?」
「え゛・・・話が戻るのか?聞くのか?」

「去年の、結婚騒動の時は、どうなんだ?」
「あ~~、少しは、意識していたと思う。
ジェローデルを、断った理由に、アンドレが存在していたから、・・・・・」

「ほ~~~う!あの舞踏会は、見事だったなぁ!
俺は、おまえが次々と女性と踊るのを見て、
もしかしたら、おまえとなら俺は、結婚できるかと思ったもんだ!」

「え゛・・・あの舞踏会に、来ていたのか?ド・ギランド」
「え゛・・・って、え゛?!おまえ、知らなかったのか?3人とも居たぞ。
おまえの将来がかかっている舞踏会だ。見届ける義務がある。」

「そうか、気が付かないで、済まなかった。・・・で、なんで、おまえとわたしが結婚するのだ?ド・ギランド」

「おう!おまえは、女性を相手にする。
俺は、男と楽しく暮らす。

これ以上の似合いの夫婦はないだろう。・・・・・って、思ったんだが、・・・・・ロドリゲに、止められた。オスカルのあれは、茶番だとな!」

「ふふふ( *´艸`)本気にならんで、良かったな。
で、なんで、茶番だと分かった?ロドリゲ?」
「女心を知らずに、俺様がやっていけると思っているのか?
あの時、おまえは、女たちと踊りながら、誰かを探していた」

オスカルの目が、見開いた。
「わたしが?・・・・・誰かを?」

「ああ、列席している、プロポーズ待ちの貴族ではなく。多分、もっと奥に控えた、誰かを探していた。俺もあの時は、分からなくて、思い違いかと思ったが、やっと、分かったよ。
あの頃既に、アンドレがおまえの心に住んでいたんだな」

「へ~~~~~~~~え!」×2+オスカル

「おい!なんで、『+オスカル』なんだ?オスカル?」
「わたしも、気づいていなかったから・・・・・」

「ワハハハハ・・・・・オスカルらしいや!」×3

「でもな、オスカル」
突然、ラ・トゥールが、まじめに切り出した。

宴席に一気に、緊張した空気が流れ込んだ。

つづく

スポンサードリンク


この広告は一定期間更新がない場合に表示されます。
コンテンツの更新が行われると非表示に戻ります。
また、プレミアムユーザーになると常に非表示になります。