タイトル曲は、ブライアン・メイとケリー・エリスと言う、We Will Rock You のミュージカルに出演していた、シンガーとの楽曲です。
ブライアンのギターが鳴いています。最高です!


Parisienne Walkways

屋敷に帰ると早速、レヴェとヴィーが、駆け寄ってきた。

「ママン!おかえりなさい!早かったね~」
「ママン!ママン!抱っこ!抱っこ!」
オスカルは、満面の笑みで子どもたちを抱きしめる。

そして、ヴィーを抱き上げてレヴェと手をつないで自室へと向かった。・・・
自室の扉を開けると、オスカルは悲鳴を上げた!

「なんだ?これは!おもちゃだらけじゃないか!
わたしの部屋はロンパールームか!?」
「じいじ、ばあば・・・プレゼント」ヴィーが言う。

レヴェが言うには、ジャルジェ将軍と夫人からプレゼントを貰い、更に今までのサンタさんのプレゼントと祖父母からのプレゼントを全部出したらしい。

「ママン!遊ぼう!遊ぼう!」ヴィーが誘う。
レヴェもオスカルの手を引っ張る。

アンドレサンタの贈り物に囲まれてオスカルも幸せ気分で子どもたちと過ごした。子どもたちと過ごしている時間は目まぐるしく言葉が飛び交い、おもちゃも飛び交い心の中にしこっているものに気を留める余裕もなかった。

  **************************

晩餐の時間になった。今日はオスカルとレヴェの誕生日である。
将軍も夫人も盛装して現れた。
五人揃う事は久し振りで、子どもたちは、またまた、大はしゃぎで、
ヴィーは食堂の中をショベルカーで走り回り、
レヴェは食事が終わったらトランプをしようと祖父母を誘っていた。

料理が運ばれ始めると、オスカルはいつものようにヴィーがたどたどしく食べるのを手伝っていたが、
・・・手が、進まない。・・・
何度もヴィーに「ママン!お肉、・・・切って!」と言われ、
余りにも様子がおかしいので、
夫人からも「オスカル、貴女少し疲れているのではないですか?」
と、言われる始末だった。

「いえ、そんなことございません。少し考え事をしていただけです」
と、答えせっせと食べ物を口に運ぶ。
が、・・・また、手が止まってしまうのである。
・・・レヴェまでも「ママン!ごはんが終わったらトランプするんだけど、大丈夫~?」と、言われてしまった。

そんなこんなでどうにか晩餐が終わると、場所を変えてトランプ大会が始まった。
勿論、将軍も夫人も同席である。トランプが始まると、勝負事にはなぜかむきになるオスカルはかなり本気になってきた。

相変わらずヴィーはショベルカーで遊んでいる。

先ずは手慣らしと『ババ抜き』。それから大本命の『大貧民』になった。何度も繰り返しカードが配られ、勝敗が決定するのだが、将軍が大貧民になる確率が高かった。オスカルとレヴェが大富豪を争っている。

「大貧民になると、上に上がるのは難しいなぁ!!(^^ゞ 」
と、将軍は苦笑いしながら、つまらなくなってきたのか、部屋に引き上げると言い出した。夫人も夫に従って引き上げる事にしたので、オスカルも子どもたちを連れて、自称ロンパールームに引き上げていった。

トランプも二人になると始まるのは『スピード』である・・・。
初め、オスカルは、子ども相手と手加減をしたが、
レヴェもなかなかの手をしていたので、
その内母子で本気のゲームとなっていった。

二人とも勝つと本気で喜び、負けると本気になって悔しがった。ゲーム中は相手の手元しか見ていない。・・・

オスカルには、レヴェの手が『アンドレの手』に見えてきた。・・・
また、オスカルの心が浮遊し始めた。

本気の勝負をしているレヴェが、怒り出した。
「ママン!何しているのさ~本気でやってよ~
ママン、クリぼっちだから、ぼく、相手してあげてるんだから~・・・」

「クリぼっち?『クリぼっち』ってなんだ?美味しそうだな?レヴェ?」

「まったくも~ママン、食べ物じゃないよ~
『クリぼっち』はね!独りでクリスマスを過ごす寂しい人の事!

ママン、恋人いないでしょ!?」
「・・・ん・・・」
「ママン!どうしたの?そんなに悲しいの?ママンにはヴィーもぼくもいるよ!
子持ちでも恋人作っていいんだよ!ママン、好きな人、いないの?」

ドキ~~~~~~~ン!
(^^♪ All I want for Christmas is・・・is・・・ Andre!

そうだ!わたしは、・・・アンドレを愛している!・・・
なんで、今まで気づかなかったのだ?・・・

多分きっと、ずっと前から・・・愛していた・・・
憑き物がストンと落ちたようにオスカルは、ホッとした。
昼間アランからアンドレの嫁にディアンヌはどうか?と言われてからずっと不快な気分がして、体のずっとおくのほうからなにか熱っぽいものがこみあげてきて、気持ちをおちつかせてくれなくなっていた。

窓際に寄り、空を見上げる。
・・・星がきれいだ!・・・アンドレが良く言っていた。・・・

あいつもこの星空を見ているかな?
・・・今夜この夜空を一緒に眺めたいな!・・・
わ・・・わたしは・・・何を言っているんだ!・・・

ママン、眠い・・・ヴィーがぐずりだした。・・・
わたしは、パドメに子どもたちの寝る仕度をさせ、
わたしも添い寝をするべくアニェスを呼び、着替えをした。

  *************************

レヴェとヴィーに挟まれてベッドに横になると、
漸く、オスカルは落ち着いてきた。
・・・ような気がしてきた。

・・・が、・・・
隣から懐かしい香りが漂ってきた時、再びオスカルの心はざわめいた・・・。

アンドレの香りは一体何なのだろう?・・・宮廷に行く時は、ほんのりとコロンをまとっていたが、控えめだったから、コロンの香りではないな。・・・

反対側のヴィーの方を向いてみる。・・・フェルゼンは・・・香水の香りしか覚えていない!・・・本当はどんな匂いなんだろう?・・・ヴィーの匂いを嗅いでみる。・・・乳臭い、この子はもう4歳になるのに、・・・乳臭い!・・・

近衛隊は、隊員たちのそれぞれの香水が混ざってもの凄かった。・・・
衛兵隊は、勿論、彼らは何も付けていない、男のムンムンした臭いでこれまた凄い!・・・

アンドレは・・・アンドレのあの香りに包まれると、とてもゆったりと安心した。
それでいて、・・・それでいて、どうだったのだ?

わたしは、・・・わたしは、あの香りに抱かれたい!

・・・え゛!・・・ええ゛!・・・会いたい!
・・・会いたい!・・・・・・・・・・・アンドレ・・・・・・・・・・


気が付くと、わたしは、ベッドから抜け出し服を身に付けていた。
ベッドの中からレヴェが、
「ママン!お出かけ?ぼく、ヴィーと待っているから、・・・いってらっしゃい!」
と声をかけてくれた。

部屋をそっと出て、玄関の方へ向かおうとしたが、こちらではない、と使用人棟を抜けて裏口から外に出た。
裏庭を抜けると、確かこの辺りにあったはずだと、鉄柵の方へ寄っていった。

昔アンドレと下町にこっそりと遊びに言った時抜け出た、仕掛けを探す!
・・・あった!柵の5-6本が取り外し出来るようになっていてそこから出入りできる。
・・・わたしなら4本も外せば通れるだろうと試み、無事脱出成功した。

アンドレに一歩近づいた。
心が躍る思いだった。

これからは貴族の屋敷街を抜けて下町へと続く・・・先ほどジャックが渡してくれた地図を見ておいて良かったと思った。・・・通りは月明りと満天の星空だけが頼りであった。・・・わたしは、足が飛ぶように動くのを感じていたし、飛ぶように動くのに、なかなか下町に近づかないのにもどかしさも感じた。・・・

アンドレに会ったら、・・・抱きしめてもらおう!・・・
アンドレに会ったら・・・それだけ?・・・
イヤ、口づけをして、抱きしめてもらって、わたしも抱きしめて・・・

そして、そして、・・・
なんなんだ!こんなに寒い夜なのに、
わたしは・・・熱いぞ!?


その角を曲がって、この店か?・・・覗いてみる。
・・・違うようだ(ガッカリ・・・・・)
・・・こっちか?・・・ここも違うようだ(ガッカリ・・・・・)
・・・それでは、ここか?・・・やけに窓が高いな!飛んでみるか!・・・

ピョンピョン・・・ピョンピョン・・・
     マサイ族になった気分だ!・・・
ピョンピョン・・・
     あ!あれは!アンドレか?・・・

ピョンピョン・・・
     髪、切ったのか・・・
     いい男になったじゃないか・・・
ピョンピョン・・・
     この寒いのに、腕まくりして・・・
     あいつも熱いのか・・・

ピョンピョン・・・
     あ!グラスを持った・・・
     グビグビ飲んでいる・・・
ピョンピョン・・・
     腕、逞しいな・・・
ピョンピョン・・・

疲れた、ドキドキしてきた。・・・
飛んだからドキドキしているのか?・・・

それにしては動悸が激しいぞ!・・・
入ってみようか?今、入ったら迷惑か?・・・

少し落ち着いてきたぞ、もう少し、敵を観察だ・・・

今度はマサイ族じゃなくてシャンジュマンで行こう・・・

ピョンピョン・・・
     お!裏口、発見!・・・
ピョンピョン・・・
     アンドレが動いた!
     あ!誰か帰るのか?出て来るぞ!

隠れろ!オスカル!隠れるんだ!

「何時も、ありがとう!」
「こっちこそ、また来るぞ、おやすみアンドレ!」
「おやすみ、メリークリスマス!」
「メリークリスマス!」

・・・わぉ~!2年振りに(正確には2年と4か月だ!)声を聴いたぞ・・・
低くなっている・・・
でも、いい声だ・・・
あの声で呼ばれてみたい!・・・『オスカル』・・・と


「オスカルさま!」・・・呼ばれた・・・違う声で、・・・
「オスカルさまじゃないですか?」、急に呼ばれてわたしは、ドキッとした。


見ると・・・ジャックと3-4人、我が家の使用人のようだ。・・・

わたしがきょとんとしていると、ジャックが近づいてきて・・・アンドレに、ですか?・・・と、声をかけてきた。・・・あ・ああ、・・・今夜はやめた方がいいですよ。・・・なんて、言うものだから、わたしは、ムッとしてしまった。

わたしが、黙っていると、・・・今夜の客は貴族の屋敷に勤める者ばかりですから、オスカルさまが顔を出したら噂になってしまいます。それに、残っている奴らは明日休みの者だから、夜明けまで帰らないですよ。・・・

それにしては、アンドレの奴飲んでいるようだが、大丈夫なのか?と、わたしは、アンドレが心配で聞いてみた。・・・

ジャックは笑いながら、あいつが飲んでいるのは水ですよ!お客を白けさせないよう、自分は酔わないように水を飲んでいるんですよ。・・・わたしはほっとした。と同時にアンドレに会えない事にがっかりした。

わたしの気持ちが分かったのか、ジャックが、・・・明日の昼過ぎに来ればアンドレ独りだからゆっくり話が出来ますよ。今夜は私らと一緒に帰りましょう。

明日は私が、坊ちゃん方を見てますから、ゆっくり出かけてください。と言ってくれた。
わたしは・・・ツーステップで屋敷まで帰っていった。

BGM Let Me Go
By Avril Lavigne
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