♪BIJOU


裏口から入ろう、というアンドレの後ろを歩こうとしたオスカルは、
「レディ・ファースト」とアンドレに、言われた。

進んでいくと、アンドレが、後ろから、
「おまえ、きっとビックリするから、今からドキドキする覚悟をしておけ!」
と訳の分からない事を言い出した。

路地を抜けると、裏口だ。
「(。´・ω・)ん ?なんか、暗いなぁ?!」と、オスカルが、言うと・・・。
アンドレが
「上を見てみろ!」

「あ!屋根を作ったのか?」
「イヤ!2階を増築した・・・。2階でゆったりと過ごせるようにな!」
「いつも間に?そんな事おまえに出来るのか?」

「まさか!近所の大工に頼んだんだ。
おまえが構ってくれなくて寂しい間にな!
さあ!中を見てくれ!」

オスカルが、階段を上っていくと、今までは右手にベッドルームがあるだけで、
左側は壁だった所が、すっかり壁が取り払われて、ダイニングキッチンになっていた。
大きなダイニングテーブルが置いてある。

オスカルは、そっと手で触れながら・・・、
「アンドレ、このテーブルはゆっくりできると思うけど・・・、
わたし達には大きすぎるのではないか?」
「そう言えば・・・そうだなぁ・・・なんで、こんなに大きなテーブルにしたんだろう?」

テーブルに面して今までは、ぽっかりと穴の開いていた階段の周りには、
ぐるっと柵が廻らされていて、降り口には開閉式の柵まであった。

オスカルは、満足そうに開閉式の柵を試してみたが、
「・・・・・?・・・・・アンドレ!?この柵は、・・・・・子供用のようだが・・・・・、
わたしが、身ごもったと告げたのは、ジェローデルに拘束される直前だった・・・・・。
なんで、もう、付けようとしたのだ?」

「・・・・・?・・・・・なんでだろう・・・・・覚えがない・・・・・」
アンドレも不思議な顔をしながら、2階を歩き始めた。

階段を挟んで台所と反対側に、アンドレはオスカルを誘導した。

見た事のある、アンドレの机、ドレッサー、クローゼットにダブルベッド・・・・・・・・・。

・・・・・・・・見た事のない、シングルサイズのベッドが2つ並んでいる。
オスカルが、これは?と、目でアンドレに尋ねる・・・・・・・・・。

「イヤ!覚えがない。・・・と言うか、なんで、あるのか分からない・・・」
「わたしが、妊娠したと告げたのはつい先日だぞ・・・。

それに、子どもが使うまでには、まだ何年も掛かる・・・」
「まあ、あるものは、使えるから、良しとしよう!
それに、お腹の子は一人とは限らないぞ!」

二人の頭の中には『??????????』が、一杯飛び交っていた。
もう、二人には、レヴェとヴィーの記憶が全く無くなっていた。

「ジェローデルの部下が捜索したと言っていたが・・・、
やけにキレイだな?」
「そう言えば、そうだなあ!ここら辺の新聞は見つからなかったのかな?」
「なんか・・・不思議だな・・・」


ジェローデルの部下たちが踏み込んできた時、天使のレヴェとヴィーが慌てて、ヤバイものを抱きかかえて、天井をパタパタと飛んでいたのである。
ヴィーは重たい紙を、ふうふう言いながら、汗だくでアンドレ父さんの為に頑張った。


ふと、オスカルが床を見ると見事なラグが幾つも敷いてあった。
窓を見るとカーテンが掛かっている。カーテンを手に取り。
「アンドレ、このカーテンは・・・、ラグも・・・、極上品だぞ!?
すっごく無理をしたんじゃないのか?」

「ばれたか!おじいちゃんが持って来たんだ。
おまえの所に行く前の日・・・。

突然、おじいちゃんが来て、
『嬢ちゃんが来るから、これを使って寒くないようにしてやりなさい』
って、置いていった」
「アンリ爺やが・・・」

オスカルは、サンルームのロッキングチェアに座る、アンリ爺やの姿を思った。
涙が出てきた。
アンドレが、そっと抱きしめてくれた。

「アンリ爺やが、・・・わたしが、悩んでいたら、・・・ポンポンとしてくれたんだ・・・。
だから、・・・おまえの所に来る決心がついた・・・」
「そうだな!小さい頃からおじいちゃんは、
いつもポンポンしておれたちを励ましてくれたな。
『それで良いんだ!そのまま進みなさい!』ってね」
「うん!うん・・・」

うおっほん!

突然の咳払いに二人は身を抱き合ったまま振り向いた。
おかみさん連が大小のお鍋を持って、並んでいた。

「アツアツなのもいいけど、お腹が空いただろう!
何にもないけど、みんなで作ったから、食べておくれ!」

2人が台所の方に行くと、今度は男衆がスーツケースを抱えて上がってきた。
「アンドレ、よお!この山のようにあるスーツケースはどこに置こうか?」

取り敢えず、何であるのか分からない2つのベッドの側に置いてもらうようにした。
男衆はなんでこんなにあるのか、とか、空っぽのように軽いのもあるぞ!
とブツブツ言いながら仕事を終えると後を、女衆に任せて出ていった。

「台所を勝手に使わせてもらうよ!」
「口に合うといいんだけどねぇ!」
と言いながら、何か温めたりしている。

アンドレが、何か手伝いましょうか?と言うと、けが人は座ってなさい!と言われ、
オスカルは、興味津々でのぞき込むと、今日はアンドレの側にいておやり!
と言われてしまった。

湯気の立った野菜のゴロゴロと入った、具沢山スープが二人の前に置かれた。
アンドレが、先ず一口食べてみて、親指を立てた!
オスカルも続いて食べてみる。
美味しかった!

オスカルが、にっこりするとおかみさんたちは、ホッとした様だった。
「良かったよ~口に合って、貴族のお嬢さまっていうから、

どうしようかと思ってたんだよ!」
「とても美味しいです。」
「ああ!とても美味い!オスカルは、二人分食べなくちゃいけないから、良かったなぁ!」

おかみさんたちは、驚いて
「おや!オスカルさんはおめでたかい?!」
「はい!多分、年が明けてから生まれると思います。

それから、その、『オスカルさん』はやめていただきたい。
『オスカル』と呼んで下さい!」
「ああ!その方がいい!その方がオスカルも此処に馴染みやすくなるとおれも思うな!」

「そうかい?でも、なんとなく、・・・恐れ多くてね・・・」
「イヤ!もう、貴族の身分は捨ててきましたので・・・。
アンドレと同じように扱ってください」

「じゃあ、そうしようかね。
それじゃあ、オスカル、わたしらはそろそろ出ていくから・・・、
鍋にあるものを、適当に食べとくれ!いっぱい作ったから夜の分もあるよ!
鍋は明日返してくれればいいから・・・。

今日はゆっくりイチャイチャしておいで
もう、邪魔はしないから・・・」

と言ってウインク(^_-)して階段を降りて行った。
残された、二人は真っ赤になっていた。

BGM Friends Will Be Friends
By Freddie Mercury and John Deacon
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