♪Staying Power
寒い夜だった。
空は冴え渡り、星が降って来るように瞬いていた。
オスカルとアンドレは、向かい合ってこたつに入っていた。
間にある徳利には熱燗が入っていたが、
まったりしていたのはオスカルだけだった。
アンドレは、夢中になって『ポーの一族』『メリーベルと銀の薔薇』を読んでいる。
オスカルは、徳利が空になると日本酒を注ぎ、火鉢にあるやかんに入れていく。
そして、手酌で飲みながら、アンドレのお猪口にも適当なタイミングで注いでやっている。
つまみは、これまた、火鉢の端に置かれた網で焼かれた『くさや』。
それから今日出入りの魚屋から仕入れた、いくらのしょうゆ漬け、イカの塩辛、野菜スティック・・・・・などなど・・・・・
アンドレは、一通り読み終えると、
「ポーについては、分かったが、
ジェローデルとポーとの関係がわからないな!」
「それは、こちらの本にある」
と、オスカルは、
こたつの中で、ほかほかになった『ベルサイユのばら14巻』を出して、アンドレに渡した。
「それは、付箋が挟んである所だけ読めば分かる」と告げた。
アンドレは、お猪口を手にすると、
一息で熱燗を飲み干し、くさやをくわえて、又、本に没頭した。
暫くすると、顔を上げて、
「おい!この書物によると、ジェローデルがイギリスのポーの村に行くのは、
寛政5年(1793年)以降だぞ!
それに、エドガーもメリーベルも永遠の命を生きるが、
時の流れと共にだ。
逆行することは、ないぞ!
どうして、ジェローデルは、今の寛政元年(1789年)に現れた?
それに、20年前のジェローデルはなんだったんだ!?」
「それは・・・・・わたしにも分からない。
今度また会う事があったら、聞いてみるか?」
「あいつ・・・・・蘇るのか?」
「さあ?
それより、酒が無くなった。
厨(くりや)で何か見繕ってくるから、待っていろ!」
と、オスカルは、ニヤリとして厨へと消えていった。
残されたアンドレは、昼間のジェローデルとの決戦を思い出していた。
********************
アンドレが、道場に行くと、まだジェローデルは現れていなかった。
暫くして、薄笑いを浮かべながら、
いつものように、ネコ軍団を従えて登場した。
↑いつの間に『軍団』になったのだろうか?
クックロビンだけだったはずなのに・・・
試合が始まった。
アンドレは、一撃でジェローデルの刀を真っ二つにする予定でいた。
しかし、ガシッと刀を合わせたまま、ぶった切る事が出来なかった。
え゛!何故だ!?戦車でも斬れる『斬鉄剣』ではないのか?
オスカルは、『あちゃ~』と声を上げた。
やはり、Amazonでぽちった『斬鉄剣』はコピー品か、・・・・・と、
ため息をついた。
アンドレは、焦ったが体勢を立て直し、両者は一度、離れた。
間合いを取って、相手の隙を探る。
少しずつ、少しずつ円を描いて動き出した。
アンドレは、隙を作らないようにしながら、左手で脇差を持った。
アランに伝授された二刀流だ。
両手で大小の刀を逆ハの字にして構えていると、
頭の中にオスカルの声が聞こえてきた。
・・・・・アンドレ!刀を交差させろ!・・・・・と、
不思議な事を・・・・・と、思いながらも、ハの字になっている刀を合わせてみた。
すると・・・・・
「うわ~~~~~~」
突然、ジェローデルがよろめいた。
アンドレには意味が分からなかったが、
脇差を投げ捨てると、
ジェローデルの左肩から右脇腹にかけて、
ズバッと刀を振り下ろした。
ジェローデルの右腕を付けた上半身が、まるで漫画のように、斜めに滑り落ちた。
そして、左腕を付けた下半身が、後ろへとバタリと倒れた。
「また、つまらぬものを斬ってしまった。・・・・・」
アンドレが、呟いた。
道場中がしーーーーーーんと静まり返っていた。
次の瞬間、歓声が上がった!
アンドレが、破顔した。
オスカルは、アンドレに飛びついた。
********************
ジェローデルの身体は、いつの間にかネコ軍団が集まって来て、
上半身と下半身を元の通りにくっ付けた。
道場中が、歓喜の喜びに沸く中、ポー家の者が、
真紅のバラが敷き詰められた棺桶を持って来て、その体を入れた。
誰かが、仏事にバラでは駄目じゃないか!菊にしろ!
と言ったが、取り合わず。
そして、静かに持ち去っていった。
********************
あの時は、分からなかったが、そうだったのか。
あの時、二本の刀が、十字架を作ったのだろう。
それで、ジェローデルは、うろたえた。
そしてまた、棺桶に入ってバラからエネジーを得て、
再生するのかもしれない。
どちらにしても、もういい事だ。
おれは、親の敵を討った。
真っ二つに・・・・・
そんな事を考えていると、厨に行っていたオスカルが、
ちょこちょこと戻ってくる可愛い足音が聞こえてきた。
また、三等身になってしまったのだろう(笑)。
おれは、気持ちを切り替えた。
BGM Perfect
By Ed Sheeran
寒い夜だった。
空は冴え渡り、星が降って来るように瞬いていた。
オスカルとアンドレは、向かい合ってこたつに入っていた。
間にある徳利には熱燗が入っていたが、
まったりしていたのはオスカルだけだった。
アンドレは、夢中になって『ポーの一族』『メリーベルと銀の薔薇』を読んでいる。
オスカルは、徳利が空になると日本酒を注ぎ、火鉢にあるやかんに入れていく。
そして、手酌で飲みながら、アンドレのお猪口にも適当なタイミングで注いでやっている。
つまみは、これまた、火鉢の端に置かれた網で焼かれた『くさや』。
それから今日出入りの魚屋から仕入れた、いくらのしょうゆ漬け、イカの塩辛、野菜スティック・・・・・などなど・・・・・
アンドレは、一通り読み終えると、
「ポーについては、分かったが、
ジェローデルとポーとの関係がわからないな!」
「それは、こちらの本にある」
と、オスカルは、
こたつの中で、ほかほかになった『ベルサイユのばら14巻』を出して、アンドレに渡した。
「それは、付箋が挟んである所だけ読めば分かる」と告げた。
アンドレは、お猪口を手にすると、
一息で熱燗を飲み干し、くさやをくわえて、又、本に没頭した。
暫くすると、顔を上げて、
「おい!この書物によると、ジェローデルがイギリスのポーの村に行くのは、
寛政5年(1793年)以降だぞ!
それに、エドガーもメリーベルも永遠の命を生きるが、
時の流れと共にだ。
逆行することは、ないぞ!
どうして、ジェローデルは、今の寛政元年(1789年)に現れた?
それに、20年前のジェローデルはなんだったんだ!?」
「それは・・・・・わたしにも分からない。
今度また会う事があったら、聞いてみるか?」
「あいつ・・・・・蘇るのか?」
「さあ?
それより、酒が無くなった。
厨(くりや)で何か見繕ってくるから、待っていろ!」
と、オスカルは、ニヤリとして厨へと消えていった。
残されたアンドレは、昼間のジェローデルとの決戦を思い出していた。
********************
アンドレが、道場に行くと、まだジェローデルは現れていなかった。
暫くして、薄笑いを浮かべながら、
いつものように、ネコ軍団を従えて登場した。
↑いつの間に『軍団』になったのだろうか?
クックロビンだけだったはずなのに・・・
試合が始まった。
アンドレは、一撃でジェローデルの刀を真っ二つにする予定でいた。
しかし、ガシッと刀を合わせたまま、ぶった切る事が出来なかった。
え゛!何故だ!?戦車でも斬れる『斬鉄剣』ではないのか?
オスカルは、『あちゃ~』と声を上げた。
やはり、Amazonでぽちった『斬鉄剣』はコピー品か、・・・・・と、
ため息をついた。
アンドレは、焦ったが体勢を立て直し、両者は一度、離れた。
間合いを取って、相手の隙を探る。
少しずつ、少しずつ円を描いて動き出した。
アンドレは、隙を作らないようにしながら、左手で脇差を持った。
アランに伝授された二刀流だ。
両手で大小の刀を逆ハの字にして構えていると、
頭の中にオスカルの声が聞こえてきた。
・・・・・アンドレ!刀を交差させろ!・・・・・と、
不思議な事を・・・・・と、思いながらも、ハの字になっている刀を合わせてみた。
すると・・・・・
「うわ~~~~~~」
突然、ジェローデルがよろめいた。
アンドレには意味が分からなかったが、
脇差を投げ捨てると、
ジェローデルの左肩から右脇腹にかけて、
ズバッと刀を振り下ろした。
ジェローデルの右腕を付けた上半身が、まるで漫画のように、斜めに滑り落ちた。
そして、左腕を付けた下半身が、後ろへとバタリと倒れた。
「また、つまらぬものを斬ってしまった。・・・・・」
アンドレが、呟いた。
道場中がしーーーーーーんと静まり返っていた。
次の瞬間、歓声が上がった!
アンドレが、破顔した。
オスカルは、アンドレに飛びついた。
********************
ジェローデルの身体は、いつの間にかネコ軍団が集まって来て、
上半身と下半身を元の通りにくっ付けた。
道場中が、歓喜の喜びに沸く中、ポー家の者が、
真紅のバラが敷き詰められた棺桶を持って来て、その体を入れた。
誰かが、仏事にバラでは駄目じゃないか!菊にしろ!
と言ったが、取り合わず。
そして、静かに持ち去っていった。
********************
あの時は、分からなかったが、そうだったのか。
あの時、二本の刀が、十字架を作ったのだろう。
それで、ジェローデルは、うろたえた。
そしてまた、棺桶に入ってバラからエネジーを得て、
再生するのかもしれない。
どちらにしても、もういい事だ。
おれは、親の敵を討った。
真っ二つに・・・・・
そんな事を考えていると、厨に行っていたオスカルが、
ちょこちょこと戻ってくる可愛い足音が聞こえてきた。
また、三等身になってしまったのだろう(笑)。
おれは、気持ちを切り替えた。
BGM Perfect
By Ed Sheeran
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